[ 6 ]
「あら、ロック。お仕事は良いの?」
「あぁ、アイバートも来てくれたから押し付けてきた。」
お父さん...ファイト!えーと、この人は...王妃様の隣に座ったって事は...あれですね。うん。
「この可愛らしい姫君は誰だい?」
「可愛いわよねぇ、この子はカメリアちゃんよ。ねぇユリシェ、カメリアちゃん今日明日だけで良いから貸してくれない?」
「カメリアは物では無いのよ。それにまだ3歳なの。お母様と離れるのは嫌よねぇ?」
これお母さんを取ったら不敬罪にならない?...大丈夫そうよね。
「...あい、お母ちゃまと離れるのは...イヤでしゅ。」
上目遣いで王妃様を見上げる。
「うっ、そうよね...まだ3歳だものね。...我慢するわ。でも、カメリアちゃんならいつでも遊びに来て良いのよ!毎日でも良いの!ね!ロック?」
「あぁ、こんな可愛い姫ならいつでも大歓迎だよ。君はカメリアと言うのだね。」
キリッとした目元にはヴィヴィアンナと同じ優しいアーモンド色の瞳がありシュッとした鼻筋が特徴的な美丈夫が此方を覗き込む。
「あい、シャーチェ伯爵、が娘、カメリアと申ちましゅ。」
ヴィヴィアンナが一向に降ろしてくれないので仕方なくカメリアは顔だけを男性の方に向けて挨拶をした。
「うむ、私はヴィヴィアンナの夫でザイードとクリフトの父、ロックコーディだ。アイバートとは学生時代からの友人なんだよ。そして、この国の王様だ。」
「お父ちゃまとお友達?...王ちゃま...」
やっぱり王様だったぁー!うん、なんとなく、なんとなくね、そうかなぁって思ってた。どうしよう王様まで来ちゃったよ。そんな高貴な人達がバンバン来ちゃって良いの!?
「私の事はロックで構わないよ。アイバートが毎日自慢しているから気になっていたんだ。今日会えて納得したよ。ザイードもクリフトも会いたがっていたから2人と仲良くしておくれ。」
「ロックだけカメリアちゃんに名前で呼ばれるとかズルいわ!カメリアちゃん、私の事も名前でいいのよ。」
「ヴィ...ヴィ、アン、ナちゃま?」
「長いわよね。ヴィヴィとか、大変ならヴィーだけでも良いわよ!カメリアちゃんだけ特別よ。」
「えーと...ヴィーちゃま?」
「可愛い、可愛いわ。ユリシェ、毎日カメリアちゃん連れてきて!」
「もう無茶言わないで。そうポンポンお城へは来れないわ。」
「なら、アイバートと一緒に来たら良い。アイツもカメリアが一緒なら仕事も捗るだろう?それにそこの双子も側近としてクリフトの所へ来るではないか。」
「「陛下、まだ僕達は候補です。」」
「もう良いじゃないか。なぁクリフト?」
「ええ、僕もそう言ってるのですが...」
クリフトがルイディルとアランディルを見るが『候補は候補です。』と頑なである。
「母上、私にもカメリアを抱かせて下さい。」
それまでただ微笑んで聞いていただけのザイードがヴィヴィアンナの近くに行き、カメリアを抱っこしたいと言ってきた。
「えぇー...しょうがないわね。気を付けて抱っこするのよ?」
ヴィヴィアンナから今度はザイードの腕の中に移動させられた。
整った顔がすぐ側に!!!どうしたら良いの!?前世の時なんて父親以外の男性と会う機会そうそう無かったから免疫無いの!学校の男の子達だって話した事無かったし...お父様やお兄様達でさえ記憶が戻った最初はどう接していいか戸惑ったというのに。
「...柔らかい...。カメリアはマドレーヌが好きなの?」
カメリアを抱っこしてザイードは自分の席へと戻りマドレーヌをカメリアの口元へと差し出す。
「あい!とっても美味ちいから、しゅきでしゅ。」
「そう、ならはいあーん」
なっなっ、なんですか!?これはどんな試練ですか!?
「...え、あ、あーん?」
とりあえず口を開くとマドレーヌの甘さが口いっぱいに広がりカメリアは幸せな顔をする。
幸せいっぱいのカメリアの顔を見たその場の全員が頬が緩んでいる事にカメリアは気付いていない。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
ロック・ワルドー
ワルドー国の王
栗色にアーモンド色の瞳で色気がある
妻や子供達を大切にしている
ヴィヴィアンナとユリシェの学生時代の先輩
アイバートと同い年で親友