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「ファ、ファージー、速いよ〜。それに何処に行くか決まってるの?」
「「あ!カメリア」」
ファージーにずっと手を握られ早足だった為、カメリアは少し息が上がっていた。呼吸を落ち着かせる為にファージーに止まってもらうようお願いすると階段を登ってきたアランディルとルイディルに会ったのだ。
「ファージー嬢もどうした?」
「げっ、お猿さんまでいる。」
アランディルがカメリアとファージーの様子を伺っているとルイディルはカメリアと手を握っていたノアの傍に行き、繋いでいた手を離してカメリアの手をハンカチで拭いた。
「ごめんなさい、カメリア!はしたなかったわ。アラン様、大丈夫ですわ。お兄様やザイード殿下が勝手に生徒会へ勧誘して来たので逃げてきましたの」
「ルイディル様、百歩譲って僕は猿の獣人なのでお猿さん呼びは許しますが、僕が汚いかのようにリアの手を拭くのはどうかと思います。」
と、ノアが無表情で淡々とルイディルに抗議する。
「ううん、大丈夫だよ。これからゆっくり部活の見学に行こう?ルイ兄様もノアに意地悪しないで。今から部活見学に行くの。アラン兄様とルイ兄様は何の部活に入ってるの?」
「「僕達は生徒会だよ。」」
「初等部、中等部、高等部とそれぞれ生徒会があって高等部の生徒会が主にこの学園を取り仕切るんだ。」
「高等部の時期会長がザイード様で副会長はレッキス様で、中等部の時期会長はクリフトだ。」
「じゃあ、副会長はアラン兄様とルイ兄様のどっちかなの?」
「「ああ」」
「凄いわね、普通、次の会長って2年がやるのでは?」
「まあ、それが普通なんだけどね。高等部と中等部に殿下がいるから将来国を統べる者として」
「この学園をちゃんと納める為にも長めに会長をやる事になったらしい。付き合わされるこっちの身にもなって欲しいよね。」
「「初等部はカメリア達が入ってくれるなら安心だと思って誘ったんだと思う。」」
「私はそんな重要な役割果たせる自信が無いよ。兄様達みたいに優秀なら...」
「無自覚」
「ノア、カメリアの無自覚は今に始まった事じゃないわ。」
「「そこがまた可愛いんだよ」」
「シスコン」
「それも同じよ」
アランディルとルイディルはカメリア達が先程いた合同の生徒会室へと行くと言うので別れを告げた。
「ねえ、ファージー何処に行くか決まった?」
「そうねぇ、園芸と手芸かしら?」
「僕、乗馬クラブ行きたい」
「じゃあ、順番に巡ろう!」
「カメリアは?行きたい所ないの?」
「うーん...あ!私ここ行きたい!飼育クラブって書いてある所!」
「カメリアらしいわね。じゃあ、今日は生徒会に行って時間が少ないから園芸に行きましょう!明日は時間に余裕があるはずだから乗馬と飼育クラブね。その次は手芸よ、どう?」
「うん!良いと思う。」
「異論は無い」
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「ただいま〜...って、え?え?」
園芸クラブを見学して寮の門の前でノアと別れ、寮に入ってからは階段の所でファージーと別れた。
部屋の前には護衛していたルカとグレナーにカフェで買ったお菓子を渡して部屋へと入ったカメリアは、アンナとマリーがいると思い声を掛けたが出迎えてくれたのは、アンナとマリーでは無く
「リヒトにあやめ、もみじ、それからうめとかえでまで!?どうしたの!?」
「カメリアお嬢様、たぶん皆、カメリアお嬢様と離れているのが寂しくてここへ来てしまったのかと」
「帰すのも可哀想なので...」
そっか...そうだよね。今までずっと一緒にいたんだもん!
寂しいに決まってるよね!...確か寮の規則には動物ダメとは書いてなかったよね?
この部屋から出なければ大丈夫かな。
なかには、動物が苦手な子とかアレルギーがある子とかいるかもしれないもんね!
「私も寂しかったから皆が会いに来てくれて凄く嬉しい!この部屋は広いから皆がいても狭くないけど、この部屋から出ちゃダメだよ?約束出来る?あやめともみじは小さいからお外に出ても平気かもだけど、うめは危ないし、かえでは少し大きいから他の人がビックリしちゃうかもしれないからね!リヒトも野良と間違われたら大変だからね!窮屈かもしれないけど...」
『にゃー』
リヒトに続き、あやめ達も返事をする様に鳴いた。
「ありがとう!!」
返事をしたリヒト達をカメリアは一匹一匹ハグをして「来てくれてありがとう」とお礼を言ったのだ。
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