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 次の日、昨夜の言葉通りアイバートは仕事を休み家族を連れてお城の庭園へとやって来た。


 す、凄い!こんな素敵な所初めて!


「お母ちゃま、こっちの、お花は、なんてお名前なの、ですか?」


「これはマリーゴールドよ。」


「カメリア、こっちに薔薇が咲いているよ。」

「カメリアは、薔薇の花も似合うね。」


 目に入れても痛くないほど可愛い娘が愛しい妻に抱かれてその先をこれまた目に入れても痛くない息子2人が歩いている。


 その光景にアイバートは幸せを噛み締めていた。






 のだが、その幸せも長くは続かなかった。






「此方におられましたか。アイバート殿、探しましたよ。庭園にいらっしゃるとは宰相殿に伺っていたのですが、何しろここの庭園は広いので...。すぐに見つかって安心致しました。宰相殿がお呼びです。それから奥方様、王妃様が庭園にいらっしゃるならお会いしたいとおっしゃっておりました。」


 国王専属の近衛騎士であるリガードとリスキットがやって来た。


「嫌だ!今日は家族サービスの日なんだ!俺は今日休みを取ったんだ!可愛い娘のお願いを聞かない父親はいないだろ!俺は今日は行かない。」


「と言ってくるだろうから『急な申請は受け取らん。もっと事前に申請しろ。今日来ないなら当分城で寝泊まりして貰うぞ。』と宰相殿がおっしゃっておりました。」


「な、なんだと!城で寝泊まりなどするものか!そんな事したら家族と夕食を共に出来なくなってしまうじゃないか!あの野郎!...カメリア...すまない。悪い悪いとーっても悪い奴がお父様を呼んでいるんだ。その悪い奴の言う事を聞かないとお父様、カメリア達に会えなくなってしまうから今日は行かなければならないんだ...。」


 カメリアを抱っこして今にも泣きそうな顔でアイバートは言う。


「お父ちゃま、今日、お父ちゃまと、ここに来れて、カメリアしゅっごく嬉ちいの。寂ちいけど、会えなくなるのは、イヤだから、我慢しゅる!」


 こんな事言うのは、前世の有咲では考えられないが事だが、せっかく新しい人生を歩み、優しい家族が出来たのだからと自分の気持ちを素直に言ってそれでいてあまり我儘を言わないようにしようと心に決めていたのだ。


 お母さん...きっとすぐに呼ばれるのが分かっていてここに来たのね。


「ううっ、なんてカメリアは良い子なんだ!!どうだ、リガードにリスキット、俺のカメリアは可愛くて良い子だろう!」


 とドヤ顔で呼びに来たリガードとリスキットに自慢する。


 お父さん、こういうの親バカというのよね?前はそういうの無かったからよく分からないけど...親バカは家族以外には出さないで欲しい。すっごく嬉しいんだけど、とても恥ずかしいから。


「アイバート殿が自慢するだけありますね。本当にお可愛らしい。」


「こんなにお可愛らしいと自慢したくなるのも頷けます。」


「そうだろうそうだろう。やっぱり行くのやめようかな。」


「あなた、今日行かなければ私達に会えなくなってしまうのよ?それは嫌でしょう?私達も王妃様にお呼ばれしてるのだからお城まで一緒に行きましょう?」


「...そうだな。お城までユリシェ達が来てくれるなら行く。」


 リガードとリスキットはユリシェに深いお辞儀をして家族全員でお城に向かった。




ここまで読んで下さってありがとうございます。

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