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番外編⑤ : 孤児院の裏側で

 



「は!?もう一度言ってくれ!」


「ですから、貴方のかわいい愛娘のカメリアお嬢様が例の孤児院に向かったそうです。至急旦那様も向かって欲しいとマリーからの伝言です。理解したのならさっさと行きますよ。全ての用意は整えてあります。マリーにはお嬢様を心配している奥様と一緒にいてもらうつもりです。」


「カメリアがあの孤児院に行ったのか!?」


「先程から何度も申し上げております。お嬢様はルカの知り合いに会い、助けを求められて例の孤児院へ向かったそうです。ですので、さっさと行くぞアイバート」


 動揺していたアイバートを叱咤しロージは素早く準備をしていく。


「あぁ、よし行こう」


 とロージがアイバートが出やすいように扉を開くと


「やあ、アイバート殿。話しは聞かせて貰ったよ。さあ、行こうか。」


「...クソ」


 目の前にいたのは、ニコリと微笑んでいるザイードといつにも増して無表情なレッキスだった。





 ───────

 ─────





 孤児院へ急ぐ途中で馬車の中にカメリアがいつも可愛がっている青い小鳥が入ってきた。


『チュンチュン』


「ん?この小鳥は...カメリアのだよな?」


「はい、名前は確か...あやめと言ってましたね。」


「ねえ、アイバート殿その小鳥の脚に何かついてない?」


 ザイードの言葉でアイバートは小鳥の脚に目線をやる。そうすると紙が括り付けられていた。


「...っ!!カメリアからの手紙だ!」


「へえ...なんて書かれているんです?」


 カメリアからの手紙だと聞いたザイードは、嬉しそうなアイバートに鋭い視線で見て先を促す。


「...今日あの孤児院で人身売買がされるそうだ!」


「アイバート殿、本当にカメリア嬢が書かれたのですか?その手紙」


 今まで黙っていたレッキスが口を開いた。


「ん?そうだが、なんでだ?」


「いえ、人身売買などの単語を5歳であるカメリア嬢が知っているとは思わなかったので...」


「まあ、確かに...だが、カメリアだからな〜。あの子はもう学園で学ぶ全ての教科は終了しているんだ。...さて、あやめ、カメリアの元へ戻って大丈夫だぞ。もうすぐ私達も着くからね。」


 アイバートの口から出た言葉は、レッキスだけでは無くザイードも驚愕するほどのものだったが、アイバートは驚いている2人を無視してあやめに声を掛けた。


『チュン』


 アイバートに返事をして、あやめはカメリアがいる孤児院へと飛び立った。




 ──────

 ────





「お父様!」

「おぉ!カメリア!」


 やっとカメリアに会うことが出来てアイバートは顔が緩みっぱなしだったが、カメリアの最後の小さな一言で一気に変わった。


「...あのね、ここに地下があるそうなの。」

「...ほう、地下、ね。」


 神父を睨みながらどうやって地下の事を聞いていこうかと考えていると


「ん?なんですかな、こんなに人が集まって...おや?なんと可愛らしい少女ではないですか。神父殿、良い商品を手に入れましたな。」


 口髭を生やした男がかわいい愛娘のカメリアをねっとりとした気持ちの悪い目で見ていてそして、良い商品だと言い放った。

 コイツをどうしてやろうかと考えていると気持ち悪い視線を受けたカメリアは怖くなったのだろう、その視線から逃れるように俺の背に隠れた。


「い、いや、コールネル様、商品では無くて...その、ちゃんとした商品は、いつも通りの場所に並べていますので」


 ほう、いつもの場所というのが地下なんだろう。まさか自分から言ってくれるなんて思いもしなかったな。この神父、俺がサーチェ伯爵だとわかってないのか?コールネル子爵もカメリアにしか興味が無いみたいだな。


 なんと馬鹿な男どもだ。


「ゴホン、この子は私の愛娘だ。自分から言ってくれるとは、有難い事ですね。」


 咳払いをして後ろにいるであろう2人に声をかけた。


「...もう少し長引くかと思ったけど良かったよ。」


 サーチェ伯爵専属騎士に紛れていた黒いフードを被った2人が1歩前へ出てアイバートの横へ来た。そしてフードを取る。


「コールネル子爵、久しぶりだね。君の息子には散々頭を悩ませられたよ。」

「コールネル子爵、神父殿、詳しく聞きたいので我々と来てもらおう。」




 ───────

 ─────




「はぁ、なんでカメリアと一緒に行けないかな〜僕はカメリアと一緒にいたかったんだけど」


「それを言うなら俺も出来ればカメリア嬢とが良かった。」


 カメリアとアイバートが地下へと行ってしまった。本当は着いていきたかったが自分達は、神父とコールネルから詳しい事を聞き、そして他の貴族も関与していないのか調べなくてはいけない。


「これが顧客名簿だね。...わりと多くの貴族が関わっていたとはね。」


「でも逆にこれで少しは膿を出せるのでは?」


「うん、そうだね。これで大半の膿は出せるかな〜でも、芯の部分はまだまだかな。一気に出し切りたかったけど無理そうだね。」


「この件でアイバート殿や宰相殿も味方に出来るはずなので近い内に芯まで出し切れるかと」


「...味方ねぇ〜。なってくれれば良いけど...さてと、孤児院の今後をどうするかを財務大臣と教会本部にも行かないとだね。はあ、まだまだ前みたいに頻繁にカメリアに会いに行けないな〜最悪。」


 とレッキスの足を蹴り八つ当たりをする。


「八つ当たりはやめろ」


 もうひとつ用意してあった馬車でザイードとレッキスは城へと戻るのだった。













ここまで読んで下さってありがとうございます。


だいぶ風邪も完治してきました!

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