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「本当に汚らしいわ!」
騒ぎに近付くと少女が汚れている男の子に罵声を浴びせている。
...あら?あれは、確か...あ!リーファ侯爵令嬢の
「ねぇ、アンナ、あの方」
「はい、あれは元侯爵令嬢ですね。」
「え?元?」
「はい、色々とありまして爵位剥奪されたのです。...まぁ当然ですね。私達の可愛いカメリアお嬢様に酷い事をなさったのですもの。」
「色々と...。では、今は平民なのね。」
後半アンナが何か言っていたけれど今はそれどころではないわ!あの男の子を助けないと!!
「本当に最悪だわ!」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい。」
「何をしてらっしゃるの?」
「は!?部外者は...っ!!!貴女は!!!」
カメリアを見て元リーファ侯爵令嬢は動きを止めた。
「お久しぶりです。レイヴィス様」
「な、にしに来たのよ!笑いにでも来たわけ!?平民に落ちた私を!!」
2年前のお茶会で見たような豪華なドレスや宝石は一切付けておらず簡素なワンピース姿たった。そして、少しだけ痩せていた。
「い、いえ。その事については先程知ったばかりなので...あのそちらの方は」
「この汚いゴミが私にぶつかって来たの。だから、教育しているだけよ。部外者はさっさと何処かへ行きなさいよ。」
「ゴ、ゴミってその方は同じ人間です。そ、それに部外者ではありません!」
お腹を蹴られていたらしくお腹を抑えて蹲りながらに何度も謝っている。
なんて、酷い...まるで前世の私を見てるみたい...
「だったら何だと言うのよ!」
「わ、私の専属護衛見習いです。なので、私は部外者ではありません。主人である私の教育不足ですわ。教育し直すのでこれで失礼します。...さあ、行きましょう。」
「え?あ、あの?ぼ、僕...えと、あの」
蹲っていた彼を起こしこの場を離れようとする。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!主人だと言うなら貴女が私に謝りなさいよ。」
「...レイヴィス様、いえ、レイヴィス。何か勘違いをしているのでは?」
「はっ!?」
「以前は、レイヴィス様は私より身分が上の侯爵令嬢でした。しかし、今は私の方が身分が上だということをお忘れなのかしら?」
「...くっ!!!」
今の状況が自分に不利であることを察して彼女は去っていった。
「ふぅ、怖かった〜。」
「お嬢様!格好良かったです!ご立派に成長なされてますね。アンナは感激です。」
「ガルシア先生が色々と教えて下さったおかげだわ。今度お礼をしなくちゃ!」
「あ、あのっ!!!」
「ふぇ?あ、ごめんなさい。ホッとして忘れてたわ」
カメリアは、怖かったが去り安堵していた為、彼の存在を忘れてしまっていた。
「助けて頂きありがとうございます。」
「ううん、そんな大したことしてないから。じゃ、またね。」
と、カメリアは買い物の続きをしようと彼にお別れの言葉を告げた。
「あの!ぼ、僕を雇ってくれませんか!?」
「え?」
「...あそこの孤児院に僕はいたのですが、色々あって逃げてきたんです。」
「色々?」
「...はい、あそこの孤児院にいた神父様が亡くなって新しい人が来てから変わってしまって...もうあそこには戻りたくないんです。だから、僕雇って下さい。お願いします!」
勢い良く頭を下げてくる彼を無下には出来ず、とりあえずお父様達に話すと言って買い物を済ませて彼と一緒に屋敷へと帰るのだった。
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