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「げっ...ザイード殿下、何故此方に?」
帰宅して早々にカメリアの隣のザイードを見たアイバートは嫌な顔を隠しもせずに問いかける。
「...可愛いカメリアに会いに来ただけだよ。双子といい父親といい、本当にいい態度するよね。」
「親子なのよねぇ。アナタ、殿下に失礼よ。それと、殿下が泊まってくそうよ。あ、後カメリアがお話あるって」
「えー何でだい!?殿下なんだから帰った方が良いのでは?カメリア、お話は夕食の時が良いかい?それとも、夕食後が良いかい?」
ユリシェに怒られて拗ねつつザイードが泊まると聞いて彼を見るが、もう決定事項だと笑顔で言われ溜息をもらす。
しかし、可愛い愛娘からお話があると聞きデレデレの顔でいつが良いか聞く。
「お父ちゃまに、合わせます。」
「そうかそうか、カメリアはお父様思いの良い子だ!では、夕食後にゆっくり聞こう。殿下は陛下達に許可おとりで?」
「ああ、勿論取ってあるよ。心配しないでくれ。」
「ほんと用意周到...アイツにそっくりだ。」
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「さて、カメリア、話を聞こうじゃないか。と、言いたいが、何故殿下までいらっしゃるんですか?それに、カメリアを取らないで頂きたい!!!」
夕食を食べ終えてアイバートは、カメリアを自分の膝に乗せてソファで寛ぐザイードを睨んだ。
「僕はカメリア不足なんだよ。この為に僕は泊まりに来たような物だ。カメリア、僕の膝の上は嫌かな?」
「ううん、でも、ザイードちゃま、重くない?」
「いいや、全くだよ。さ、アイバート殿に話してごらん。」
「えーとね、動物しゃんがね、増えちゃってね。自分で、ちゃんと、お世話しゅるから...」
「今度は何が増えたんだい?」
「小鳥しゃん、リスしゃん、ウサギしゃん、犬しゃん」
「殿下、カメリアが可愛すぎる。なので、こちらに返してもらおう。」
「?お父ちゃま?」
アイバートの一言でザイードが膝の上にいるカメリアを優しく撫でて、支える腕の力を強めた。
「...くそ。...カメリアがちゃんとお世話出来るなら、お父様は何も言わないよ。犬はもしかしたら、飼い主さんがいるかもしれないから一応探してみるが良いかい?」
「あい!」
「カメリアは本当に良い子だね。さあ、お父様の所においで!」
「...ザイードちゃま?」
ザイードから降りようとしたカメリアだったがザイードの腕の力が強すぎて降りられず、ザイードを見上げる。
「...」
コンコン
「「父上、早くカメリアを返して下さい。僕達もだけど、動物達が暴れる寸前。」」
「まだ抱っこしてない!さあ、カメリアおいで、お父様とカメリアのお部屋に行こう。だから、殿下、カメリアを離して下さい。」
「...チッ」
ザイードから開放されたカメリアはアイバートの元へ行き、今度はアイバートに抱かれて自分の部屋に向かうとリヒトを筆頭に動物達がカメリアに飛び付いたのだった。
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