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こ、怖いけど我慢しなきゃ!
今は私なんかよりもお兄様達にレイヴィス様は目がいってるから大丈夫そうよね。
さっき、侯爵夫人が言った青の貴公子ってどういう意味なんだろう?お兄様達の事だよね?家に帰ったら聞いてみようっと!!
あの時、自分に嫌がらせをしてきたレイヴィスが目の前にいるのでカメリアは震える身体を必死に抑えて顔が強ばらないように努力した。
「レイヴィス嬢、先日のお茶会では私達の可愛い妹を可愛がってくれたようでありがとうございます。」
「私達にとってカメリアは唯一無二の存在なので可愛がって下さり大変嬉しく思います。そのお礼をせねばなりませんね。」
ニコニコと目の前のレイヴィスにルイディルとアランディルは詰め寄る。
「っ!!!え、えーと、その...可愛がるのはあ、当たり前ですわ。」
アラン兄様、ルイ兄様...私、この人に可愛がって貰った事無いのに...。寧ろ...
ルイディルとアランディルがユリシェのように冷気を纏って口は弧を描きながら目は笑っていない笑みを携えてレイヴィスに詰め寄っている事などカメリアは知らない。
「「お礼は何がよろしいでしょうか?」」
「あ!そうだ、ネックレスなど如何です?そちらのルビーのネックレスは先日キャットス男爵が娘に買ったのだと自慢していた物に良く似ていますね。」
「アラン、ネックレスより髪飾りはどうかな?今日している薔薇の髪飾りは、バードルト伯爵のご令嬢が婚約者に頂いたと仰っていた物に良く似ていますからね。」
「ネックレスはルビーよりも貴女の心に良く似たオニキスはいかがでしょう。真っ白な貴女の肌に真っ黒は良く映えるでしょうね。」
「では、髪飾りは向日葵はいかがでしょうか?薔薇では小さくて見つけられませんからね。貴女に良く似た大きな向日葵をプレゼントさせて下さい。」
ルイディルとアランディルはどんどんとレイヴィスに詰め寄る。侯爵夫人は、挨拶をすませて他の招待客をもてなしに行ったので、レイヴィスの味方はここには誰一人いない。
カメリアは、自分を虐めた相手に兄達がプレゼントをするのか...と落ち込んでいたがどうも雲行きが怪しくなっているのを途中から察した。しかし、何故そうなっているのか分からずに事の成り行きを静かに見守るしか無かった。
「おや?まるで黒と黄色で蜂みたいですね。」
「あぁ!綺麗な花の蜜を吸う蜂みたいですね。」
「「貴女に良くお似合いだ」」
「ヒィッ!!!」
ルイディルとアランディルは、最後にズイっとレイヴィスに笑顔で近寄るとレイヴィスは怖くなり小さな悲鳴をあげた。
すると自分の後ろから双子を止める声が掛かり助かったと後ろを振り向いた。
「はぁ、そのくらいにしておけ。」
「レッキス様っ!!!!」
「「...」」
先程まで自分を断罪する双子の勢いが無くなった。これで助かると思いレッキスへとレイヴィスは駆け寄る。
「不思議ですね。侯爵家は去年の大雨で領地は結構な被害が出ているはずだ。その為、税がいつもより少なくなってしまうと報告が上がっていた。だが、侯爵夫人とレイヴィス嬢は全てのお茶会に参加し毎回違うドレスに違う宝石を身にまとっている。そして、ドレスも宝石も他のご令嬢が被害を訴えている物と良く似ているのだが...何かご存知かな?」
レッキスはいつものニコリともしない真顔でレイヴィスに問う。
自分よりも年上で体格の良い美丈夫が真顔で詰め寄ってくるのは、この場と内容が違えば願ってもいない嬉しな事なのだが内容が内容だけにレイヴィスはこの場からすぐに逃げ出したかった。
「え、それは、その...し、知りませんわ!たまたま、一致したのでしょう。税だって関係ありませんわ!お父様からのお小遣いでドレスも毎回新調してるだけですもの!」
「お小遣い...か。まぁ良い。カメリア嬢、あちらでファージーが首を長くして待っている。行ってやってはくれないか?」
レイヴィスを見る時の鋭い目つきでは無く、優しさがこもった瞳をカメリアにするとルイディルとアランディルは、レッキスが来た時に一歩下がっていたが、レッキスからカメリアを隠すように一歩前へ出た。
「重度のシスコンだな。」
「「レッキス殿だって僕達と変わらないじゃないか」」
「まぁ、確かに。カメリア嬢お手を」
文句を言う双子を無視し、カメリアの手を取るとファージーがいる場所へとエスコートしてくれた。
カメリアとレッキスの後ろをルイディルとアランディルが着いてくる。
レイヴィスは、その場から動けずにいた。
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