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「リヒト...」
確かドイツ語で光って意味だったよね。おばさんにとって飼ってた猫くんが「私達夫婦を照らしてくれる光」だからってリヒトっていう名前を付けたって言ってたような。
「リヒト?格好良い名前ね。どういう意味なの?」
「え、えーと、ね。ご本で読んだの、光って、意味」
「え?カメリア、貴女もう本が読めるの?」
前世の事がバレないように本で読んだことにしたらユリシェとベアードが目を見開き驚いた顔をしてカメリアを見る。
本?ここに置いてあった本は読めたけど読んではいけなかったのかな!?
「アラン兄ちゃまと、ルイ兄ちゃまが、貸してくれた、ご本は、読んじゃいまちた。ごめんなちゃい...」
「謝らなくて良いのよ。怒ってるんじゃないんですもの。アランとルイが持ってきたものってコレよね?このご本、読めたの?誰かに読んでもらった?」
アランディルとルイディルがカメリアへと持ってきたのは3歳児が読むような絵本では無く、隣国の言葉で書いてある旅行記やこの国の歴史、女の子らしいもので言えば花言葉などである。
結論から言うと3歳児が読めるようなものは無かった。
「ううん、兄様達が、貸してくれたから、1人で、読んでたの。」
「あの子達の思惑はハズレたのね。ふふ」
そう、アランディルとルイディルは読めないであろうカメリアが『お兄ちゃま、読んで』『お兄ちゃま、すごい!!』を期待してあの3歳児には難しい本を渡したのだった。
「お嬢は、天才児ですぜい!」
「ええ、カメリアは天才だわ。誰にも教えられてないのに文字が読めるなんて凄いわ!アイバートやアラン、ルイにも教えないと!きっと驚くわ!」
ユリシェを初めとしベアード、マリーにアンナ、屋敷の使用人達が『凄い凄い』とカメリアを褒めるのでカメリアは恥ずかしくなり抱いているのリヒトに顔をうずめるのだった。
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夕飯までまだ少しあるのでカメリアを褒める皆から逃げるようにリヒトと共に自室に向かった。
「リヒト、ここがわたちの、お部屋よ。あ!自己紹介が、まだだったわね。わたちは、カメリアって、いうの。よろちくね、リヒト」
リヒトは『にゃー』と返事をしてカメリアの手を舐める。
カメリアは自分の髪と同じ色のリヒトに最初会った時から親近感が湧いていた。瞳の色は綺麗な碧色の為、兄達を彷彿とさせる。
「リヒト、とっても綺麗ね。やっぱり、飼われて、いたのかなぁ?だったら、飼い主ちゃん、探してるよね...はやく、知らせて、あげなきゃ!リヒトも、飼い主ちゃんの、ところへ、はやく戻りたい、よね。」
撫でながら此方を見ているリヒトに言うと恰も帰りたくないと言うように首を横に降ったのだ。
「ふぇ?わたちの、言葉、わかるの?それに、戻りたく、ないの?」
そうと言うように『にゃー』と鳴き、頷いてみせた。
「リヒトは、凄いのね!貴方こそ、天才だわ!リヒトは、お利口ちゃんね!帰りたくないなら、ずっとわたちの、ところに、いて良いよ。」
『にゃーん』
リヒトは立ち上がりソファに腰掛けてるカメリアの膝の上に乗り、丸くなって寝てしまうのだった。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
ベアード (35)
サーチェ伯爵家専属庭師
クマの獣人
体格が大きく筋肉質手先が器用
赤茶の短髪に丸い耳が可愛らしい
リヒト
見た目はロシアンブルーの仔猫
詳細は謎