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失点と共有

作者: 夜朝

流れてきた

それを受け止めて

開いて見つめる紙


一番上の線を見て

最初に転がり出て行ったのは

下へ向かって沈む疑問符


なんだ?


疑問を解決するために

下の方に続いている

文字の入った線を見つめて

また疑問符

今度は感嘆符とセットで


なに!?


痛み止めを探して

縁高をごそごそしていて

ふと気づく


違う

たぶん

そうじゃない


よくよく

線の引かれた紙を

じっくり

見つめて


以前から

繰り返し書かれている

同じパターンがあるのに気づく


大抵の線は

ちょっと輪郭がぼんやりしてるから

これも

ぼやかしてるんだろうと

思っていて


そもそも

脳内で

自分と結びつかない線だったので


あれ

でも

これがそのままの意味で

しかも

もしも

宛先が

ほかの誰でもなくて

私だったら


…………


まあ……


貧弱な思考回路が

停止して

ぽわ

となった頬を

両手で押さえる


ほわゎ

なりすぎて

どうしたらいいのか

分からなかったので


膝掛け代わりにしていた毛布に

緩んだ顔を埋めて


数秒後


むくっと

難しい顔で起き上がって

まじまじと考える


でも……

そうすると……


これまでの積み重ね

思い返して

抱くのは


気の毒なことをしてしまった


そのような感情


痛かったんじゃないかな

ほんとうに

それは

まるで

物理的なものみたいに

しっかりとした痛さで


それなのに

その痛いところと

つながっている手は

何度も何度も

差し伸べられて


そこまで

思い至ると

閉じた目が

じわりと熱くなって


自分のしてしまった

人として

というよりも

むしろ

生き物として

だめなくらいの

失点を思う


なので

今度はこちらからも

聞いてみるのだ


ごめんね

わかってなかった


でも

そのおてては

すごくうれしい


いたみがおさまるように

そっとにぎるから


すこし

らくになったら

お話しよう


あのね

そしたらね

君の

すごく貴重なものを入れる箱

共有させて

もらえますか?


横には幾つか

縦には長く

小部屋が並んだ

箱を広げて

指をさす


ここから

ここまでの中で

空いてる小部屋は……


言うけれど


ちら

様子うかがいの視線


本当に

いいのかな


君にとっては

お金なんかより

もっと大事なものを

入れる箱だって

知ってるのです


私の最初の予想では

箱にも入れないような

ちょっとしたカケラを

全力で回収しに行かなければ!

なんて


だから

なんだか

どりーみんぐ


でもあれだよね

きっと

何かが既に入ってて

シェアできない小部屋も

あるんだよね


それをふまえて

私には

どのくらい

シェアリングさせて

もらえるのかな

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