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氷の令嬢は超がつくほどお人好し 〜婚約破棄から始まる本当のわたくし〜  作者: 境知屋
第2章 氷の令嬢の逆襲準備〜あの、早速心が折れそうなのですが〜

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第9話:真実を紐解く「鍵」は

続きです。

ハミルトン先生は彼女の敵なのか味方なのか…!?

「……おやおや。朝から激しい『歴史の分岐点』に立ち会ってしまったようだね、グラサージュ君?」


 穏やかな、けれどどこか楽しげな声に顔を上げると、そこには歴史の講義を担当しているハミルトン先生が古書を抱えて立っていました。


「ハミルトン先生……! 見ていらしたのですか?」

「ええ。廊下から声がしていてね。もちろん、キャンベル君の見事な守護ガーディアンぶりも。……だがグラサージュ君、あまりに顔に力が入りすぎているのか、血管が切れそうになっているよ。まずは深く、息を吐きなさい」


(ひ、ひえぇぇ……。先生にまで顔の怖さを心配されてしまいましたわ……!)


 セレナが隣で「クスクス」と喉を鳴らして笑い、わたくしは震えながら「はふぅ……」と大きく息を吐き出しました。

すると、先生は少し真剣な眼差しで続けました。


「歴史とは、時に声の大きな者の主観で歪められるものだが……真実という名の『足跡』までは消えないよ。記録、記憶、そして当時の状況……。グラサージュ君、君が本当にその手を汚していないのであれば、過去は必ず君を助けてくれるはずだ。そして、君の本当の『姿』もね」


 先生の言葉に、わたくしの目から一粒の涙がこぼれました。それは悲しみではなく、自分の真実を信じてくれる人がいることへの、救いの涙でした。


「さて、次の講義までには顔の力を抜いておきなさい。今の君の顔は、まるで暗殺者に狙われた時の暴君のようですよ」


 フフフ……と笑いながら去っていく先生の背中に、わたくしは深く一礼しました。


「……ありがとうございます、先生。絶対、証拠を見つけ出しますわ」



 ——放課後になっても、廊下の向こうからは冷たい視線が突き刺さり、耳を澄ませばわたくしを「悪女」と呼ぶ声が聞こえてきます。

証拠は見つからず状況は何一つ変わっていません。けれど。


(……もう大丈夫。わたくしは、戦う)


 隣には手を握りしめてくれるセレナがいて、前には信じていると言ってくれる先生がいる。



 その夜、自室のベッドに入ったわたくしは、昨夜のような絶望感に襲われることはありませんでした。


明日からの一分一秒を、無駄にはしない。窓の外に広がる星空を見つめながら、わたくしは静かに瞳を閉じました。


「必ず、見つけてみせますわ。……おやすみなさい」

ここまでが2章のメインです……が、2章自体はもうちょっと続きます。

明日は外伝です。更新をお楽しみに!


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