第36話:彼女の本音
続きです。
まぁ、最後の最後にやるわよね。
さてクライマックスになるですよ!
陛下が締めくくろうとしたその時、クラリス様がスッと立ち上がります。
「待ちなさいよ」
その声は普段のクラリス様の声ではなく、昨日わたくしたちへ見せた本性のような憎悪と執念が入り混じった声。
先ほどまで震えていたのが嘘のようにわたくしの方を見据え、鋭い眼光を向けます。
「お父様も、陛下も、エドワード様も……みんな揃ってわたしを『可哀想な、間違いを犯した娘』扱いして……。笑わせないで。わたしがこの学園で、どんな思いで過ごしてきたか知りもしないくせに!」
彼女はふらりと、一歩わたくしの方へ足を踏み出しました。
「わたしの家は、お父様が爵位を買ったような成り上がり。格式も伝統もないと指を差され、マナー1つで鼻で笑われる。……そんなわたしにとって、この学園は戦場だったの。アンタみたいに、生まれた時から『侯爵令嬢』という城に守られている女には、一生理解できないでしょうけどね!」
クラリス様は堰を切ったように話を続けました。
その矛先は、隣に立つエドワード殿下へも向けられます。
「エドワード様、貴方もよ。貴方に擦り寄ったのは、あの大嫌いなマリアンヌから全てを奪うための最短ルートだったから。貴方がマリアンヌを嫌えば嫌うほど、わたしは愉快でたまらなかった……! だから毒を流し込み続けたのよ。『彼女は貴方を愛していない、貴方を縛る鎖だ』……ってね!」
「クラリス……? 君は、何を……」
「でも、いつまで経っても婚約破棄にならない……! だから、あの事件を仕組んだのよ。自分の体を傷つけて、アンタを『悪女』に仕立て上げて! ……やっと、やっと行きたかった世界に行けると思ったのに!」
クラリス様は顔を真っ赤にし、喉を掻き切らんばかりの勢いで叫びました。
「アンタが足掻くから! 真実なんて暴くから!! 男爵に格下げ!? 北の開拓地!?…… 笑わせないでよ、そんなのわたしが思い描いた人生じゃない!! マリアンヌ……アンタが……アンタさえ居なければ……ッ!!」
彼女が口にしたあまりにも悲しい本音……自分を愛してくれた人への暴言、自分の人生を誰かのせいにし、今日まで必死に積み上げてきたはずの彼女自身の「努力」さえも汚してしまったその姿が、たまらなく悲しくて。
「……っ!!」
わたくしはスカートの裾を掴み、無我夢中で壇上の階段を駆け下ります。
「マリアンヌ!?」
「「マリアンヌ様!?」」
お父様、セレナ、クロエ様が驚いた声をかける中、もう、止まることはできませんでした。
視界が涙で歪む中、わたくしは呆然と立ち尽くすクラリス様の目の前まで詰め寄り――。
――バチィィィンッ!!!
バチーン!と響く音
続きます。
連載ですが、本編は何事もなければ残り2話、外伝で1話の計3話更新予定です!
残り3日となりましたが、最後までお付き合いくださいね




