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【累計9,000PV突破!】氷の令嬢は超がつくほどお人好し 〜婚約破棄から始まる本当のわたくし〜 【完結済】  作者: 境知屋
最終章 顔に出さない断罪式〜わたくしの無実は揺るがない〜

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第35話:真の「断罪」(後編)

続きです!


ついに本編も前後編になりました。

「――以上が、わたくしの把握しているすべてにございます」


話し終え、わたくしが深く頭を下げると、陛下はゆっくりとエドワード殿下とクラリス様へ視線を移されました。


「……さて。では、このことについて相違ないか?」


先ほどまでの慈しみは消え、そこにあるのは断罪者の冷徹な響き。


「う、嘘です! 全て嘘! マリアンヌ様たちが、わたしを貶めるために作り上げた物語です! 陛下、騙されないでくださいませ!」


クラリス様は激しく叫びます。ですが、殿下は「まだ抗うのか」と言わんばかりに呆然とした顔で彼女を見つめていました。


「――いい加減にせんか! 見苦しいぞ、クラリス!!」


パーヴェニュー子爵の怒鳴り声が、彼女の叫びを無残に切り裂き、彼女は弾かれたように口を閉じ、肩を震わせました。


講堂には、ただ激しい呼吸の音だけが虚しく響いています。


陛下はそんな親子を冷ややかに見つめ、「ふむ……」と短く鼻を鳴らされました。その重苦しい沈黙がさらなる恐怖を煽ります。


「……エドワード。私は以前、お前に『真実の愛』を死ぬまで離すなと言ったのを覚えているな」

「……はい。父上」

「よし……。では改めて問おう。事実が白日の下に晒されたこの状況下でも、お前はパーヴェニュー嬢との『真実の愛』を貫くか?」


陛下の冷徹な眼光が、射抜くように殿下を見据えます。

しばらくの沈黙の後、ゆっくりと陛下を見据え震える声で宣言いたしました。


「……っ、貫きます。私の愛は……真実、でございます……っ!」


絞り出すようなその答えを聞いた瞬間、陛下は椅子に深く背を預けられました。


「その言葉……偽りではないな」

「……はい。僕は……クラリスとの愛を……貫きます」

「……相分かった。パーヴェニュー子爵、前へ」

「は、はいっ!」


名前を呼ばれた子爵が、這いつくばるようにして陛下の御前へ進み出ます。


「貴公の娘の不始末、および貴公の管理不行き届き……看過できぬ。本日を以て貴家を『男爵』へ降格処分とする」

「――っ!!」


一瞬の静寂の後、パーヴェニュー男爵は、額を床に打ち付けました。


「……寛大なご判断、痛み入ります……!あの愚娘(ぐじょ)のせいで家門を潰さずに済んだこと……心より感謝いたします……!」

「愚娘……?このわたしが……」


陛下は平伏する男爵を一瞥だにせず、再び殿下へと視線を戻されました。


「エドワード。お前がそこまで『真実の愛』を謳うのであればよかろう。わたくしも、その覚悟を尊重し相応の場所を与えてやる」


陛下は、隣に立つ文官から一枚の書状を受け取り、冷淡に言い放ちました。


「本日を以て、お前の王位継承権を剥奪する。……代わりに、お前を一代限りの男爵に叙し、北方の開拓領を任せる。明日、直ちに現地へ向かえ」

「開拓……領……?」


殿下の顔から、すうっと血の気が引いていくのが分かりました。

華やかな王都から遠く離れた、未開の寒冷地。そこでの生活が、贅を尽くした王宮暮らしとは正反対であることを、殿下も知らないはずはありません。


「左様だ。そこでお前が選んだその女と共に、泥にまみれ、自らの手で民を養い、その愛とやらを証明してみせよ。……もっとも、貴公ら2人きりで何ができるとも思っておらん。私が選んだ有能な教育係兼補佐官と、数名の騎士を目付け役として同行させる」


陛下の合図とともに、鉄面皮の騎士たちが一歩前へ出ました。


「彼らの言葉は私の言葉と同義。向こうでまた己の立場を忘れ、民を泣かせるような愚行を働けば……。その時は『男爵』の地位すらも剥奪し、法に基づき、最果ての地で相応の罰を受けてもらう。……わかるな?」

「…………はい、父上」


殿下は、重すぎる現実の重圧に押し潰されるように、力なく頭を垂れました。


講堂を支配したのは重苦しい、しかし一つの事件が決着したという安堵を含んだ静寂。

ですが、その静寂を、ひび割れた声が浸食していきます。


「……うそ。……そんなの、ありえないわ」


そう、クラリス様でした。

彼女は血の気が引いた顔で、がたがたと膝を震わせ、自分の肩を抱くようにして立ち尽くしています。


「わたしが、男爵夫人? ……開拓地で、一生? そんな、そんなはずがないわ……ありえない……ありえない……」


瞳の焦点は定まらず、ぶつぶつと同じ言葉を繰り返すその姿は、明らかに正気ではありませんでした。

誰もが彼女の異変に気づき、言葉を失って見守る中、陛下は最後の手向けとして、静かに問いかけられました。


「……さて。何か言い残すことはあるか?」


その問いが、彼女の細い糸を切る最後の一押しになるとも知らずに――。


――これですべてが終わる。

この場にいた誰もが、そう信じて疑っていなかったのです。

不穏な空気のまま終わる……


最後もう一発くるかも……!?


明日もお楽しみに!


※投稿遅れましたー!済まない……。

※昨日投稿した短編お読みになりましたか?よかったらそちらもどうぞ

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