第3話:冤罪リストは真っ赤に染まる
第3話です。
ここからマリアンヌがやったとされる「悪行」が晒されます。
まーみんなの前でここまで晒されると本当きっついですよね。
「マリアンヌ、シラを切るつもりか? 貴様がクラリス嬢へ行ってきた悪行の数々、すべて分かっているのだぞ!」
エドワード様の怒声が、華やかな会場に冷たく響き渡ります。
あまりの剣幕に驚いたのか、それとも空気を読んだのか。
先ほどまで軽快なワルツを奏でていた音楽隊は、いつの間にか、短調の物悲しいセレナーデへと曲目を変えていました。
すすり泣くようなバイオリンの旋律が、わたくしの断罪を劇的に演出するかのように会場を包み込みました。
(……音楽隊の皆さま、空気をお読みになるのが早すぎませんこと?これではまるで、わたくしが今から処刑される悲劇のヒロインのようですわ!)
そんな内心のツッコミも虚しく、エドワード様は指を突きつけ、次々と「罪状」を読み上げ始めました。
「まず貴様は入学早々、その冷酷な瞳で彼女を威圧し、学園内を迷わせたそうだな!」
(えええっ!?あの件は教室移動で困っていたクラリス様に案内を申し出た瞬間、彼女がキッとわたくしを睨んで走り去っただけですわ!)
「……ふん、黙っているということは認めるのだな。悪行はまだまだあるぞ!数学の講義中、インクを切らして困っていた彼女に、禍々しい真っ赤なインクを押し付け『これで書きなさい。貴女にふさわしい色ですわ』と言い放ったそうだな!」
(ほぇーーっ!?あれはわたくしの予備の中で一番書き心地が良くて、先生が添削する時も目立って便利だろうなと思ってお貸ししただけですわ! 応援したつもりが、血の色なんて恐ろしい解釈をされていたなんて……!)
「さらに刺繍の授業だ!必死に作品を仕上げた彼女に、貴様はあざ笑うように『……なんて、独創的な。わたくしには、真似できませんわ』と吐き捨てたそうではないか!」
(嘘でしょーー!?クラリス様の刺繍、独創的で本当に可愛らしかったんですもの! 伝統に縛られがちなわたくしには逆立ちしても真似できないって、本気で尊敬して褒め称えたんですのよ!?)
悲痛なバイオリンの音が、一段と高く響きます。 エドワード様の口を通すと、わたくしのすべての行動が「極悪非道な悪女の嫌がらせ」へと華麗に変換されていきました。
周囲の参加者からも、
「その程度にしか思っていないのか」
「なんて傲慢な……」と心ない声が漏れ聞こえてきます。
ショックで立ち眩みがしそうでしたけれど、ここで倒れては二度と起き上がれない気がしました。
必死に耐えているわたくしに、エドワード様は冷酷なトドメを刺したのです。
「――そして二週間前だ。貴様はついに、取り返しのつかない罪を犯した。学園の西階段でクラリス嬢を突き落とし、殺そうとしただろう!」
その瞬間、音楽隊の演奏がピタリと止まりました。
静寂が、今日一番のどよめきを連れて会場を支配します。
(…………は?)
あまりの言いがかりに、わたくしの頭の中は真っ白になりました。
ラストの王子の発言、衝撃的でしたねー
突き落としたこに対してマリアンヌはどう反論するのか…!
次で1章ラストです。




