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【累計1,500PV突破!】氷の令嬢は超がつくほどお人好し 〜婚約破棄から始まる本当のわたくし〜 【毎日お昼12時更新!】  作者: 境知屋
第3章 証拠探しのつもりが、なぜか恐怖の救世主!?

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第17.5話:軋みゆく歯車(中編)

続きです。

エドワードはクラリスに癒やしを求めようとしますが……?

翌日。


食堂で昼食を摂ろうとしたエドワードは、遠くの席に見慣れた栗毛の少女の姿を捉えた。クラリスだ。

友人数名と会話しているのだろう。彼女の話に皆同調している。近くにいるのはリボンの色的に下級生だろうか。


エドワードはクラリスを驚かせようと、彼女たちが座っているテーブル近くの柱に隠れて機会を待つ。


「………そうそう、今朝、マリアンヌ様が図書室で、気に食わない生徒を睨み倒して、事切れる寸前まで追い込んだんですって。恐ろしいわねぇ……」


周りの友人は彼女の言葉に同調している。下級生の黒髪の少女は同調こそしなかったものの、『氷の悪女』の行いに恐怖している様子だ。


(……やはりマリアンヌは悪女だな!クラリスこそ僕の婚約者に相応しい……!)


エドワードもクラリスの言葉に同調している。しかし、次の瞬間、彼女から耳を疑う言葉が紡がれた。


「今日の歴史の講義、ハミルトン先生ったら本当(ほーんと)酷いの。わたしが少し体調を崩して目を閉じていただけなのに、皆の前で厳しく叱責なさるんですもの!」


(…………何!?)


エドワードは思わず目を見開いた。


「……きっと、あの先生もマリアンヌ様に懐柔されているんだわ! わたしのような小さな存在が何を言っても、信じてくださらないのよ……」


クラリスの震える声。友人たちが「なんて酷い先生!」と口々に憤る中、柱の陰でエドワードの鼓動だけが不自然に早まる。


(……ハミルトン先生が? いや、そんなはずはない)


ハミルトン先生は、王族であるエドワードに対しても、一人の教え子として真摯に向き合ってくれる高潔な人物だ。学園一の慈父と謳われる彼が、体調不良の令嬢を晒し者にするなど、到底考えられない。


驚かせようとしていたことも忘れ、エドワードはふらりと柱の陰から姿を現した。


「……クラリス、今の話は本当かい?」

「あ、エドワード様ぁ!」


クラリスの顔がパッと華やいだ。だが、エドワードの額には一筋の汗がタラリと流れる。


「ハミルトン先生が、君にそんな……不当な扱いをしたというのかい? 彼は、そんなことをするような人ではなかったはずだが……」


恐る恐るクラリスに尋ねる。

その瞬間、エドワードは息を飲んだ。


向けられた瞳に、いつもの潤んだような輝きはない。代わりに宿っていたのは、射抜くような冷徹さと、自分の思い通りにならない者への、どす黒い侮蔑。


 それは、彼女が「悪女」と罵っていたマリアンヌの冷たさとは違う、もっと下卑(げひ)た、剥き出しの悪意そのもの。マリアンヌの冷徹さは気高かったが、今見えた彼女の顔はひどく醜悪に見えた。


(なっ……!?)


 ――心臓が嫌な跳ね方をする。

 だが、彼がその正体に気づくより早く、クラリスの表情は劇的に塗り替えられる。


「……エドワード様、わたしを疑っていらっしゃるの?」


 大きな瞳にみるみるうちに涙が溜まり、震える唇が哀れみを誘う。先ほどの凶悪な顔が幻だったかと思わせるほどの、完璧な「被害者」の顔。


「あの先生はマリアンヌ様と親しいのです。わたしが……わたしが、エドワード様の特別だからいじめられたのですわ。エドワード様まで信じてくださらないなら、わたし……っ」


 顔を覆って泣きじゃくるクラリス。

 周囲の友人たちからの「殿下、ひどいですわ!」という非難の視線にさらされ、エドワードは慌てて彼女の肩を抱き寄せた。


「あ、いや、すまない! 疑ったわけではないんだ。ただ、君がそんなに辛い思いをしていたなんて……」


 謝りながらも、エドワードの脳裏には、先ほど見た「あの顔」が焼き付いて離れない。


(見間違いだ。……そう、僕の見間違いに決まっている。彼女が、あんな……あんなマリアンヌ以上の悪女のような顔をするはずがないんだ)


必死に自分に言い聞かせるが、心に刺さった棘は抜けない。


彼女を慰める自分の声が、どこか空々しく響くのを、エドワードはどうすることもできない。


―― 1度軋んだ歯車は、知らず知らずの内にどんどんと不快な音を立てて回るのだから。

彼女の本性が垣間見えた瞬間でしたね。

一応ここまでの時系列はこんな感じです。

前編→パーティ〜猶予1日目

中編→猶予2日目


クロエが16話でマリアンヌの件を知っていたのはクラリスが2日目の昼に言っていたからなんですねー。


明日は外伝後編です。

本当マジで救われません!身分違いの『真実の愛』がどうなっていくのかお楽しみに!

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