第17話:決断の時
続きです。
ハミルトン先生は講義をサボっているクロエを見てどう反応するのか……!?
今回のお話で第3章メインストーリーは終わりです。
「……えっ?あ、の……せん、せ……?」
呆然と見上げるクロエを余所に、ハミルトン先生は「よいしょ」と抱えていた古い文献を空いている机に置いた。
「そんなところで縮こまっていたら風邪を引いてしまうよ。いくら穏やかな天気でも……ね」
ハミルトン先生は美味しい紅茶を手に入れたから一緒に飲もうとクロエを誘いかけ、有無を言わせぬように文献を抱え込ませる。
――研究室は暖かな陽の光が差し込み、今まで過ごしていた棚の隅とはまるで違う雰囲気を纏っていた。
「……さて、何があったのか聞かせてほしいな。生真面目なデュラン君が講義をサボっているなんて余程のことだからね」
紅茶の香りがふわりと立ち込めるなか、ハミルトン先生は穏やかな雰囲気を纏いながらクロエに問いかけた。
促されるまま、クロエは震える声で話し始める。
食堂でクラリスの取り巻きに追い詰められたこと。逃げ場のない状況をマリアンヌが助けたにも関わらず、あの冷徹な瞳が自身のすべてを見透かされたと思い込み、恐怖に耐えきれず逃げ出してしまったこと――。
「……そうか。それは、怖い思いをしたね。……だが、デュラン君。 グラサージュ君もまた、君と同じように『怖がっていた』かもしれない、という可能性があるかも知れないよ?よく思い出してみてごらん?」
――確かに。あのときのマリアンヌは扇で顔を隠していたが手元は震えていた。足元も震えこそ見えなかったがスカートの裾をギュッと握りしめ、自身を鼓舞していたように見える。
「あっ……」
「グラサージュ君は、君と、君がその手で大切に守っている封筒を、ただ守りたかっただけなんじゃないかな?」
先生の穏やかな、けれど核心を突く言葉に、クロエの視界からボロボロと大粒の涙が零れ落ちる。
(……そうだった。マリアンヌ様は、わたしを庇うように立ってくださった。なのに、わたしは……!)
「先生、わたし……っ」
そこからクロエはハミルトン先生に封筒の中身がクラリスが渡してきた転落事件の指示書であること、そしてあの日の真相を打ち明けた。
話し始めた時の空は琥珀色だったのに、今はすっかり群青色に染まり夜が始まろうとしている。
「なるほど……。なら、尚のこと、私のような人間に預けて満足するべきじゃないよデュラン君……。このことは……この大切な思いは、私ではなく本当に知りたがっている人に伝えるべきではないかな?」
「……はい。明日一番に、わたし、その方のところへ行って参ります。……先生、ありがとうございました……!」
薄暗い廊下を歩くクロエの足取りは、不思議と軽かった。
明日になれば、すべてが変わる。そんな確信にも似た希望が、彼女の胸を静かに満たしていたのである。
クロエ……!よがっだねぇ……!
まぁ、書いたの私だけども!
さてさて、前書きにもありましたがメインストーリーは今日で終わりです。
明日からは外伝を4話送るのでお楽しみに!
(内容は16話後書き参照)
R8年2月20日現在、累計PVが1,000を超えました!
初投稿から2週間ですが、こんなに読まれているとは……!
ホント500くらいいけばいいや……と思っていたのでビックリしています。
これも皆さまが読んでくださっているおかげです。本当にありがとうございます!
これからの「氷の令嬢〜」は事件の真相に向かっていきます。
面白かった!続きが読みたい!と思えるようなお話を提供できたらと心がけておりますので、更新を楽しみにしていただけると幸いです。
それでは、明日の更新もお楽しみに!




