第10話:魔王、降臨……?
ここからが第3章になります。
ここで今までの登場人物のおさらいです。
第2章の情報をメインに紹介します。
マリアンヌ
突然婚約破棄を言い渡された令嬢。冤罪を晴らしてみせますわー!と意気込むも早速暗雲が……?
セレナ・キャンベル
グラサージュ家侍女でマリアンヌの友人。孤児だったが人一倍の努力を積み重ね騎士クラスに入学した。
マリアンヌのご両親
マリアンヌのお父様とお母様。マリアンヌの顔の強さは父親由来、性格は母親由来だとか
アルフォンス・フォン・グラサージュ
マリアンヌの兄。温厚で頭もいいイケメン。3章外伝で何かがわかる……!?
ハミルトン先生
学園の歴史教師。ほんわか系イケオジ。教育方針は「答えは全て教えない」
3章は本格的にマリアンヌが冤罪事件の証拠を集めるパートです。2章より長くなりました。
多分4日目からが本番。
それでは本編どーぞ。
猶予2日目。
昨日の廊下でのひと騒動から一夜明け、学園内の空気はさらに冷え切っていました。
わたくしと目が合った瞬間、生徒たちは「ヒィッ……!」と悲鳴を上げながら道を開けます。
「マリアンヌ様、素晴らしい覇気です!昨日の今日で、皆さんさらにマリアンヌ様の威光にひれ伏しています!」
「セレナ……。それ、フォローになっていませんわ……」
セレナから少し(?)ズレたフォローを頂きながらわたくしたちはは図書室へ向かっていました。
なぜなら、借りていた本の返却期限が本日までだったからです。
ちなみに本のタイトルは、
『初心者でも失敗しないハーブの栽培方法。これで貴方もハーブマスターだ!』
セレナが煎れたハーブティーが飲みたくて庭園の隅っこを使ってハーブ園を作ったはいいのですけれど……あっという間にハーブが他の植物を侵食してしまい、このままではいけないと思って借りたのですわ。
(……結局、あのハーブたちは今日も元気に庭を征服し続けておりますけど)
冤罪をかけられ一刻を争う事態だというのに、こんな本を持って図書室へ行くなど我ながら暢気だとは思います。けれど、図書委員の方に迷惑をかけるわけにはいきません。
図書室の重い扉を開けると、そこには静まり返った空間が広がっていました。
(騒動が収まったら、また本を借りに来ようかしら……)
返却しようとカウンターへ向かおうとした、その時です。
「ぅあ……っ!」
高い棚の最上段に手を伸ばしていた小柄な男子生徒が、脚立を踏み外して宙を舞うのが見えました。
(危ない――!)
考えるより先に、身体が動いていました。
落下してくる彼の真下へ滑り込み、わたくしは腕を大きく広げました。
ドンッ、と、鈍い衝撃が両腕に走ります。
「ぐっ……!」
重い。けれど、絶対に落とすわけにはいきません。
わたくしは必死に奥歯を噛み締め、少年をがっしりとお姫様抱っこの形で受け止めました。
「…………だ、だいじょうぶ、かしら?」
わたくしは、腕の中で震える少年に声をかけました。
間一髪で救い出せた安堵。けれど、落とすまいと必死に力んだわたくしの顔は『生け贄を求める魔王』のような恐ろしい形相になっていたのです。
「ひっ、……あ、が…………」
少年は、感謝の言葉を紡ぐどころか至近距離でわたくしと目が合った瞬間、彼は白目を剥いてガタガタと震え、そのままわたくしの腕の中で事切れたかのように硬直してしまったのです。
(小声)「マリアンヌ様……!助けたはずの生徒が、衝撃ではなくのマリアンヌ様の顔色で死にかけています!」
(小声)「な、なぜですの!? わたくし、今のは完璧な救助だったはずですわー!」
わたくしは気を失いかけた少年をそっと近くの椅子に座らせると、混乱したまま図書室を後にしました。
返却期限の本だけを、カウンターにそっと置いて。
——マリアンヌが男子生徒を助けていた、その背後。
一部始終を見ていた図書委員や生徒たちが、ひそひそと囁き合っていた。
「……今のって、『氷の令嬢』のグラサージュ様よね?」
「突き飛ばしたんじゃなくて……助けていたわよね?」
「顔は……生け贄を求める魔王みたいだったけど……」
ほんの少しだが、氷が溶け始めた。
けれども「また怖がらせてしまった」と失意の底にいる当人は、それを知ることなく去ってしまったのである。
一週間の猶予:残り5日
証拠集め……やってないじゃないか!
ちなみにマリアンヌはメンタルはちょっぴりよわよわですがフィジカルもそこそこあります。セレナやお父様の影響もあるかも
今回ちょっぴり更新遅くなってスマーン




