9.5話:月夜に拾われた剣(後編)
外伝の後半です。
セレナの見た目のイメージですが、とあるライトノベルに出てくるドМ騎士です。
ただし、性格は真逆です。ドМではないです。
ポニーテールの長身グラマーが性癖なんです。すいません。
王道の女騎士って感じの見た目が好きなんです。くっころ!
それではどうぞ。
お嬢様の怪我は、幸いにも数日で消える程度の軽いものでした。
けれど、私の中に刻まれた「無力」という傷跡は、日に日に深く、疼くようになっていきました。
(……このまま、守られるだけの子供でいてはいけない)
お嬢様は、私のような孤児にさえ、震える手でリボンを差し出してくださった。
ならば私は、その慈悲に甘える存在ではなく、彼女に害なす全てを退ける「盾」になりたい。
孤児である私が、貴族の令息が集う学園に、しかも騎士クラスに通うなど、本来なら夢のまた夢。一般の民も通えるとはいえ、身の程知らずも甚だしい望みです。
ですが、私は止まれませんでした。
私は、侯爵夫妻の前に跪き、床に額を擦り付けて願い出ました。
「旦那様、奥様。お願いがございます……。私を、学園の……騎士クラスへ行かせてください!私は一生を懸けて、マリアンヌ様を守り抜く騎士になりたいのです!」
身の程知らずな願いに、広間は静まり返りました。
ですが、私は顔を上げ、お二人の瞳を真っ直ぐに見つめました。
幼いながらも、私の目には並々ならぬ熱意と、何者にも折れぬ覚悟が宿っていたのでしょう。
「……セレナ。騎士の道は、お前が思うよりもずっと過酷だよ。あそこは、幼少期から英才教育を受けてきた貴族の嫡男たちが競い合う場所だ。家柄も、血筋も、そして身体のつくりも……。女であり、孤児であるお前とは、スタート地点があまりにも遠すぎる。男社会の洗礼を受け、彼らと同じ土俵に立つだけでも、並大抵の努力では届かないだろう。……それでも、マリアンヌの側にいたいと言うのかい?」
その言葉は、冷酷な現実でした。
ですが、私の心は一分たりとも揺らぎませんでした。
「はい。血筋や性別で劣るというのなら、その十倍、百倍の汗を流すまでです。男たちに力で勝てぬのなら、彼らが音を上げるほどの修練を積み、技術で圧倒してみせます。私は、お嬢様を支える剣になりたいのです。そのためなら、どのような試練も厭わない所存です!」
その熱意に感銘を受けた侯爵夫妻は、私の学園入学を認めてくださいました。
それからの私は、死に物狂いで修行に明け暮れました。お嬢様に心配をかけぬよう隠れて岩を運び、木剣が折れるまで振り抜く日々。
学問でも、武術でも、誰にも文句を言わせぬ結果を出し続けました。
やがて入学の際、侯爵様は「グラサージュの姓を名乗れ」と仰ってくださいました。
ですが、私はそれを辞退いたしました。
「私は、キャンベルと名乗ります」
キャンベル。それは、私を拾ってくれた教会が立つ土地の名。
自らの熱意で勝ち取ったこの騎士への道を、私は一生忘れない。
一人の自立した騎士として、実力でお嬢様を支え抜くための、私の誇りなのです。
――現在。
眠りについたマリアンヌ様の横顔を、青白い月光が照らしています。
「……マリアンヌ様。もう、あの日のような思いはさせません」
暗闇を切り裂く月光の剣として、貴女を貶めるすべてをなぎ倒してみせましょう。
たとえ学園中を敵に回そうとも、このセレナ・キャンベル、どこまでもお守りいたしますわ。
外伝いかがでしたかー?
今後も章のメインストーリー終了後に外伝を入れていくのでお楽しみに!
明日からは第3章です!やっっと本格的に冤罪の証拠集めが始まります。待たせてすまない。
ここからが「氷の令嬢〜」のメインです!
マリアンヌの逆転劇をお見逃しなく!
※R8年2月12日現在、累計ユニークアクセス200人越えました!ありがとうございます!読んでくださった皆さんに感謝です!




