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恐怖の再来
《サイド:阿久津信成》
「天城か…やはり恐ろしい一族だな…。」
小さな声で呟きながら天城総魔を眺め続ける。
残念だが、並の陰陽師では歯が立たないようだ。
迎撃どころか足止めすら出来ていない状況だからな。
…父を超えるか。
信頼する部下達が紙切れのように切り裂かれていくのだ。
次々と朽ち果てていく様子を眺めて思うことはただ一つ。
「父子揃って…とんでもないバケモノだな。」
15年前に天城総魔の父である天城総司と戦った時。
一度は死を覚悟した。
1対1では絶対に勝てないと思わせるほどの恐怖を感じたからだ。
長年魔術師狩りを行ってきた私が初めて恐れた人物。
それ以前も、それ以降も、
死の恐怖を感じたことは一度もない。
私にとって最大の障害となった存在。
決して忘れることの出来ない存在である天城の名。
魔術師ですらないたった一人の男を殺す為だけに、
5千を越える陰陽師を犠牲にしたのだ。
そうまでしなければ倒せなかった相手。
陰陽師軍にとって恐怖の象徴となった天城総司。
その血を継ぐ天城総魔の存在は、
この15年間一度も感じることのなかった恐怖の再来でもあった。
「まさしく悪魔だな…。」
同士討ちを避ける為に陰陽術の使用をためらう陰陽師達。
その陰陽師達の部隊の中へと飛び込んだ天城総魔は、
淡々と陰陽師達を斬り殺し続けていた。




