過去と現在
《サイド:御堂龍馬》
「行くぞ、御堂!」
「ああ、総魔。僕達で終わらせよう!」
悲しみしか残さないくだらない戦いは僕達の手で終わらせる!
そのために…僕は戦うんだ!!
僕の手には聖剣『シャイニングソード』
総魔の手には神剣『ザ・ワールド』がある。
僕達はそれぞれのルーンを手に、
陰陽師軍へと攻め込んだ。
「オメガ!!」
「ジ・ハード!!!」
二人の魔術が炸裂する。
総魔の闇の衝撃波と僕の光の衝撃波。
互いの属性は異なるものの。
どちらも威力は同程度だ。
これ以上の大規模魔術の使用は魔力の残存量が不安だからねp。
僕も総魔も魔力を温存しながら魔術を発動している。
闇と光に重なり合う対極の魔術。
陰陽師の旗印そのものともいえる陰陽の攻撃によって大多数の陰陽師が何もできないまま力尽きていった。
「「「ぐはっ!!」」」
「「「がぁぁ…っ!」」」
「「…結界を突き抜けて…っ!?」」
僕達の攻撃を受けて倒れる陰陽師達。
先程の大規模魔術と比べれば、
一撃の威力は遥かに下回るけれど。
それでも陰陽師達の結界を突き抜ける威力は十分にあったようだ。
…いや。
あるいは対極の魔術であったために
単純に対応が間に合わなかったのかもしれないね。
片方を潰しても、
もう一方が襲いかかってくるんだ。
よっぽど強固な結界でも展開しない限り。
僕達の攻撃を防ぐのは難しいと思う。
「突き抜けるぞ!!」
一気に踏み込む総魔はルーン以外の魔力を消費しつつ。
前線に飛び出して、
直接陰陽師達に切り掛かっていく。
『ズバッ!!!』
『ザシュッ!!!』
響く斬撃音。
その度に陰陽師達の悲鳴も響き渡っていく。
「ぐっ!?」
「ぁぁっ!!!」
総魔の攻撃を受けて倒れる陰陽師達。
その戦いの後方から、
僕は魔術を発動させることにした。
「支援するよ!スーパーノヴァ!!!!」
3メートルを越える強大な光の球が陰陽師達に襲い掛かる。
隕石のように大地に激しく激突して炸裂する光の球。
その衝撃を受けた陰陽師達は、
悲鳴をあげながら散り散りに吹き飛ばされた。
「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」
「「「ぐっ!がっ…ぁっ!!」」」
次々と倒れていく陰陽師達。
だけど陰陽師達も諦めてはいないようだ。
必死の抵抗を試みている。
「「「「「急々如律令!!!」」」」」
その手に構える護符を総魔と僕の二人に向けて放ってきた。
放たれた護符に対して、
総魔は陰陽師軍の中へと飛び込むことで影響を逃れている。
対照的に僕は正面から迎え討つことにした。
「全てを破壊する!!」
聖剣に魔力を込めるほど刀身が輝きを増して、
より強力な一撃へと変わっていく。
「ジャッジメント!!!」
聖剣の先に幾十もの小さな星の煌めきが生まれて円を描くように回りだす。
そうして徐々に円の大きさを増していく星の煌めき。
それは瞬きほどの瞬間で、
僕の体を覆い隠すほどの大きさになった。
「裁きの力!!」
星の煌めきが護符に向かって降り注ぐ。
次々と解き放たれる星の煌めき。
幾百にもおよぶ星の煌めきが全ての護符を吹き飛ばして、
その先にいる陰陽師達にまで襲い掛かる。
僕の魔力が続く限り、
止めどなく降り続ける攻撃。
核を破壊しない限りは、
決して止まることのない魔術だ。
これは僕が総魔との初戦で使用して以来。
一度も使うことのなかった支配特性の魔術になる。
破壊力は他の魔術に劣るけれど。
その分、魔力の消費も多くはない。
限られた魔力での戦闘で広範囲に発動できるこの魔術は僕にとっては思い出深い魔術かもしれない。
総魔に破れて初めて経験した敗北。
かつては絶対の自信を持っていたこの魔術も今では忘れられた力だ。
最強を名乗っていた頃のこの魔術と比べて、
今の僕が扱う魔術は数十倍もの威力を秘めている。
『セイント・クロス』
『スーパーノヴァ』
『オーバードライブ』
どれも『ジャッジメント』を大きく上回る魔術だ。
だけどそれらは僕が総魔と出会って、
総魔に追い付こうとして、
努力を重ねて手に入れてきた力になる。
総魔と出会い。
敗北したからこそたどり着いた力なんだ。
『過去』と『現在』の違い。
それらを思いながら総魔の姿を探してみる。
もちろん魔術に巻き込まれる心配はしていないけれど。
それでも広範囲魔術の射程内にいるはずだからね。
状況判断のために総魔を捜していると、
総魔は余裕の表情で陰陽師軍の中を突き進んでいた。
「は…ははっ。総魔…やっぱりきみは凄いよ。あの時のきみはまだ僕とそれほど変わらなかったはずなのに…。今のきみはこの魔術の影響を受けないほどに成長したんだね。」
かつては総魔を敗北寸前にまで追い込んだ力が今もう届かないんだ。
その事実をまざまざと見せつけられたような気がした。
「やっぱりきみには…届かないのかな?」
互いの成長を実感しながらも総魔の背中を見つめ続ける。
「…それでもね。僕は願い続けるよ。いつの日かきみを…きみを越えて見せるとね。」
呟いてから僕も駆け出す。
目的は陰陽師軍の殲滅だ。
そのために。
僕も突き進むことにした。




