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THE WORLD  作者: SEASONS
4月18日
992/1056

共闘

《サイド:天城総魔》



「オメガっ!!!」



幾度となく放つ衝撃波によって

アストリア軍が散り散りに吹き飛んでいく。



「「「うわああああああっ!?」」」


「「「っがぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」



神剣から放たれる膨大な衝撃波によって、

接近していた兵士達が紙切れのように吹き飛んでいった。



だが…それだけだ。



戦いは終わらない。



数千のアストリア兵を惨殺したところで、

戦いはまだ終わらなかった。



「恐れるなっ!!敵は一人だ!!休むことなく攻め続けろっ!!!」



大きな声で指示を出し続ける阿久津の指示を受けて、

残存する兵士達が次々と俺を目指して駆け出してくる。



その動きを眺めつつ、

何度も神剣を振りかざして迎撃を行っていく。



「オメガ!!!」



………。



何も起きない。


何も発生しなかった。



これまでと同様に神剣を振り下ろしたはずなのだが、

剣の軌道から衝撃波が放たれることはなかった。



その理由は一つしかない。



「ち…っ!」



たった一つしか考えられない事実に気付いてしまった。



それはつまり。


魔力が尽きたという事実だ。



「だが…まだだっ!」



自分自身に言い聞かせるように叫ぶ。



そして神剣を力強く握り締めてから傍に控える天使を前進させておく。



「敵を食い止めろっ!」



俺の意思に従って敵軍に攻め込む天使。



その実体は魔力であり。


物理的な存在ではない。



だからこそ。



魔力を消費さえしなければ、

ある程度の永続性は期待出来るはずだ。



天使を防衛網として使えば、

まだしばらくは時間を稼げるかもしれない。



そんなふうに考えながらも、

すでに別の作戦を考えていた。



その作戦はつまり…『自爆』だ。



天使に残る全ての魔力とルーンに宿した全ての魔力。



それら全てをかき集めれば、

あと一撃程度はアルテマを放つことが出来るだろう。



翔子が最期に想いを込めたように。


俺も最期の魔術をアルテマとして狙いを定めようと考えた。



狙うべきは最強の陰陽師、阿久津だ。



阿久津さえ倒せれば、

あとの兵士達は徹と優奈でも対処出来るだろう。



あるいはまだここには来ていない御堂や共和国軍の援軍に任せるという選択肢もある。



「…あとを託すしかないな。」



もはや俺が生き残ることはできないだろう。



俺の命はここまでだ。



だが最後の一撃が発動できれば、

周囲のアストリア軍は全滅する。



そして陰陽師達も消え去り。


阿久津も確実に死を迎えるだろう。



ここでの脅威は一掃されることになる。



その代償として俺の命は消え去るだろうが、

今更悔やむことは何もない。



全てを叶えるというのは難しいからな。



魔術だけで全てが解決できるわけではない。


できないことも沢山ある。



…だとしたら。



出来ることをやりきれればそれで良い。



最終的に兵器の破壊さえ実現できれば、

共和国の勝利は確定するはずだ。



仮に徹と優奈が兵器の破壊に失敗したとしても、

俺がここで自爆すればおそらく御堂は気づくだろう。



そして様子を見に来るはずだ。



俺の死体が残るかどうかは分からないが、

敵の全滅さえ実現できれば、

御堂一人でも兵器までたどり着ける。


再び戦う意思を持ってくれるかどうかは分からないが、

信じてみる価値はあると思っている。



俺を捕まえるためだけにここまできた男だ。



俺の死を知れば、

自分が何をするべきかに気づくだろう。



そう信じられる程度には御堂を信頼している。



だから。


ここで死ぬことに悔いはない。



俺自身の復讐も、

ほぼ完遂されているからな。



国境の砦は失われて王都は壊滅した。



王族は全滅して倒すべき最後の一人も目の前にいる。



あとは阿久津さえ殺せば俺の復讐は全て終わりだ。



共和国を守るという目的が果たせるかどうかは現時点では徹と優奈にかかっているが、

今は二人を信じるしかない。



「徹、優奈、すまない…。」



俺はここまでだ。



最後に残る二人の為に。


全ての想いを込めて最期の力を展開する。



「阿久津。お前だけは俺が殺す。」



宣言して意識を集中させる。


そしてアルテマの発動に入ろうとしたのだが。



その直前に異変が起きた。



「…これはっ!」



懐かしささえ感じる気配。


魔力の感知が、友の気配を感じていた。



「この魔力の波動!ようやく目覚めたか!」



微笑みを浮かべた俺は、

自爆作戦を中断して持久戦に気持ちを切り替えた。



もはや死ぬ必要はないだろう。



この戦場に…最後の援軍が訪れたからだ。



「御堂…待っていたぞ。」



呟いた直後に。



「セイント・クロス!!!!」



御堂のルーンから放たれる光が、

アストリア軍を背後から飲み込んだ。



アルテマ級の閃光と爆音だ。


瞬間的に発生した断罪の光による圧倒的な破壊。



その光に飲み込まれた数千のアストリア軍が瞬く間に消え去った。



そしてさらに続く第二波が、

残存するアストリア軍に襲い掛かろうとしている。



「スーパーノヴァ!!!!」



再び輝き出す御堂のルーン。



そこから生まれる強大な光の塊が上空から降り注ぐ。



まるで流星だ。



小太陽とも呼ぶべき光の玉がアストリア軍を押しつぶして大地を大きく抉りとっていく。



「「「「「うぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」」


「「「「「ぐうぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」



着弾して激しく炸裂する光の塊。


破壊の嵐に襲われて苦しむ兵士達に再び狙いを定める。



「穿て!!」



俺の指示によって、

天使の翼からオメガが放たれた。



身動きの取れないアストリア軍に対しての一方的な攻撃だ。



天使が放った衝撃波は外れることなく、

アストリアの兵士達の体を徹底的に切り刻んでいった。



「「「「「っ!!!!!!!!!!」」」」」


「「「「「ぐぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」」」」」



御堂と俺。


二つの魔術を受けたアストリア軍は一気に半壊した。



この一瞬の出来事。



御堂の登場によって、

戦局は一気に逆転したことになる。



もちろん援軍はまだ増えるかもしれないが、

現時点での兵の数は3千にも満たない。



…今が好機だ!



突然現れた御堂に驚くアストリア軍の混乱を感じ取り、

一気に攻勢に出ることにした。



「ヴァルキリー!!!」



天使の名を叫んだ直後に、

精霊は一瞬で消失した。



精霊の魔力を回収したことで、

魔力を失いかけていた神剣に魔力を送り直す。



これでルーンは僅かに力を取り戻したことになる。



万全な状態から見れば2割程でしかないものの。


御堂がいる現状を考えれば、

2割でも十分に戦えるだろう。



「御堂!一気に片付けるぞ!!」



まだ姿の見えない御堂に呼び掛ける。



「総魔っ!」



御堂は即座に返事を返してくれた。



「遅れてすまない!心配をかけてしまったけれど、僕はもう大丈夫だ!これからはきみと共に戦うよ!」



大声で叫び返してから、

御堂もルーンに力を込めたようだ。



「全ての想いをこの一撃に…!」



おそらくは森の奥に潜んでいたのだろう。


全力で力を込める御堂の手のシャイニングソードがまばゆい光を放ち。


その存在を示している。



「全力で放つ!!オーバードライブ!!!!」



御堂が放ったのは光の衝撃波だ。


だがその威力は俺のオメガを遥かに上回っている。



数倍…いや、十倍に届くだろうか?



威力よりも魔力効率を重視していたオメガが攻撃力で劣るのは当然なのだが。


これほどの大規模魔術と互角の魔術を考えるとするなら、

それこそアルテマぐらいしか思い浮かばない。



…とはいえ。



今の俺にアルテマは使えない。


それだけの魔力が足りていないからな。



…だから今は。



御堂の光に合わせるために、

俺も魔術を発動させることにした。



これはおそらく御堂にとって忘れることの出来ない魔術だろう。



愛する人物がたどり着いた最高位の魔法だからな。



その軌跡を…俺は選ぶ。



「アストラルフロウ!!!!」



俺が放ったのは沙織が扱う最強の魔法だ。



数多の魔術が御堂の魔術と組み合わさり。


残存する兵士達を完全に消し去っていく。


巻き起こる砂埃と爆発の影響でえぐれる大地。



『御堂』の魔術と『沙織』の魔法。



2種類の極大魔術によって、

残存するアストリア軍は全滅した。



「………。」



静まり返る戦場。



破壊の嵐が消え去った視界の先に、

御堂と俺は互いの姿を発見した。



「良く戻ってきたな。」



話しかけてみると、

御堂は照れ臭そうに微笑みながら答えてくれた。



「僕はきみを助けると決めたんだ。」


「…そうか。感謝する」



俺を助けるためだと答えた御堂の言葉を聞いて微笑みを返しておく。


そうして御堂を出迎えたことで、

ついに最後の敵に立ち向かう準備が整った。



倒すべき敵はまだ存在している。



アストリア軍は全滅したが、

阿久津が率いる陰陽師軍はまだ健在。



陰陽師を全滅させない限り、

戦いはまだ終わらないままだ。



「敵を殲滅するぞ。」



神剣を構え直す。



残る敵は1000人にも満たないが。


陰陽師軍に対するのは魔力が尽きかけている俺と、

すでに大半の魔力を消費している御堂だけだ。



1000対2。



普通に考えれば勝てるはずがない。



だが、今なら。


今なら自信を持って断言できる。



「御堂。お前がいるなら負ける気がしない。お前がいる限り、俺はまだ戦える。」


「ははっ。その気持ちは僕も同じだよ、総魔。きみがいる限り、僕は戦える。きみがいるから僕は戦えるんだ!」



互いに意思を通い合わせる。



この戦争において、

初めて俺達の共闘が実現した。



おそらく、これが最初であり最後だろう。



共に生き残れるのか?


それとも共に死ぬのか?



あるいは片方だけが生き残るのか?



結果はまだ分からないが、

俺と御堂が協力し合うのはこれが最初で最後になるはずだ。



この戦いさえ終われば、

戦争は終わるはずだからな。



少なくとも今後アストリアが戦争を仕掛けてくることはなくなるだろう。



もはや御堂が命をかける理由はない。



他国に関しては何も知らないが、

アストリアを潰すことさえできれば俺の戦いも終わる。



これ以上戦う理由もない。



だからこそ…最初で最後の共闘だ。



俺と御堂。



互いに最強を目指した俺達の戦いが始まる。




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