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うわごと
《サイド:深海優奈》
「…ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!!」
ごめんなさい!!
そんなふうに必死に謝ることしかできませんでした。
…ですが。
栗原さんはもう何も応えてくれません。
力尽きて倒れた栗原さんの目は、
すでに視力を失っているように思えます。
すぐ傍にいるのに。
私は目の前にいるのに。
栗原さんの目は…私を見てくれませんでした。
「栗原さんっ!!」
必死に呼びかけても反応してくれません。
全く関係のない天井を見つめているんです。
…たぶんもうすでに。
聴力さえも失っているのかもしれません。
おそらく…言葉も失っていると思います。
それに。
崩れ落ちた手も…すでに温もりを失っていました。
「栗原さん…っ!」
全ての感覚を失ったように見えます。
…ですが、それでも。
それでも栗原さんは、
最期まで何かを想い続けていました。
「……り…」
…えっ?
何かを呟いているのが聞こえたんです。
「何ですか?」
問い返してみました。
ですが返事はありません。
「…い…。」
すでに意識もないようです。
ただただ…うわごとのように。
懸命に何かを呟いていました。




