焼き討ち
栗原さんが扉を開くと。
扉の向こう側には百人くらいの兵士が待機していました。
「「「侵入者が来たぞーっ!!!」」」
「「「戦闘準備っ!!!」」」
「「「迎撃しろーっ!!!」」」
…あうぅぅぅぅ。
大声で叫ぶ兵士さんの声に恐怖を感じてしまいます。
ですが栗原さんはすでに魔術の詠唱を開始しているようでした。
「強引に突破しますよ!!」
短時間で詠唱を終えた栗原さんが魔術を発動させました。
「フレア・アロー!!!」
両手の間から生まれたのは数十本の炎の矢です。
空気を引き裂いて放たれる炎の矢が、
待ち構えていた兵士さん達に襲い掛かります。
…ですが、その前に。
攻撃が届く直前に、
幾つもの護符が放たれてしまいました。
「急々如律令!!水神衝破!!」
「…くっ!」
…うわわわわっ!?
ここにも陰陽師がいるみたいです。
護符は水の槍に変わって、
炎の矢を打ち落としてしまいました。
水を浴びて消える炎。
兵士達の背後に控えていた陰陽師達によって、
栗原さんの炎は相殺されてしまったようです。
「ここにも陰陽師がいるのですか…っ!」
「あぅぅぅ…。」
焦る私達の視線の先に、
十数人の陰陽師が控えているのが見えました。
広々とした大部屋なので全体が見渡せるのですが、
見た感じだと他にはいないと思います。
この部屋の奥がどうなっているのかまでは分かりませんけれど。
ここにいる人達が全てだとしても、
陰陽師がいるというだけで十分すぎるほど脅威に思えてしまいました。
百名の正規軍を盾として、
陰陽師が背後に控えている状況だからです。
「軍の兵士だけなら何とかなると思っていたのですが…。ここにも陰陽師がいるとなると、強引に突破するのも厳しそうですね。」
…ですよね。
さきほどの地上での戦闘でさえ、
私達は何もできなかったからです。
待機している陰陽師の数が違うとは言っても、
私と栗原さんでは陰陽師と相性が悪すぎます。
陰陽師が一人いるだけでも上手く戦えるかどうかが分からないのです。
それなのに。
10名以上もいるとなると、
強引に次の部屋を目指すことさえ難しいと思います。
「陰陽師を何とか出来ればいいのですが…。」
「攻撃を仕掛けるのも難しいですよね…。」
前衛のアストリア軍が邪魔になって攻撃が届きません。
まずは百人規模の正規軍を何とかしないと、
陰陽師の方々に攻撃を仕掛けることさえできないのです。
…ですが。
こちらの攻撃は陰陽師の攻撃によって迎撃されてしまいます。
兵士を攻撃したくても、
陰陽師の妨害を受けてしまいます。
反対に陰陽師を攻撃したくても、
兵士の妨害を受けてしまうのです。
そんな状況では次の部屋を目指すどころか、
ここでの戦いを生き残れるかどうかさえも分かりません。
「どちらかが囮になって一人で奥へ進むという案も考えられますが…この先の状況も不明なので賭けに出るのは危険でしょう。勝てるかどうかは分かりませんが、ここは当初の予定通り協力して戦うしかありませんね。」
「はいっ!」
方針を決めた栗原さんの隣に立って、
私はミルクを地面に下ろしました。
「ミルク…お願い。」
お願いをしただけで、
ミルクは敵軍へと駆け出します。
会話ができるわけではないんですけど。
それでも私の気持ちは通じるみたいです。
「みゃ~♪」
魔力を込めた鳴き声が室内に響き渡り、
重力攻撃を受けた一部の兵士が床に倒れました。
「がはっ!!」
「ぐぁぁっ!!!」
「かっ、体がっ!?」
ミルクの重力攻撃によって強力な重圧を受けて倒れたのですが。
「急々如律令!!呪詛散開!!」
陰陽師の放った護符が青白い光を放って、
ミルクの力を打ち消してしまいました。
『バチンッ!!』と小さな炸裂音を発して一瞬で消える重力攻撃。
ミルクの力から解放された兵士達は一斉に立ち上がって、
他の兵士達と共に私達を目指して駆け出してしまいます。
「「「「「魔術師を殺せーっ!!!」」」」」
「くっ!やはり相性が悪いですね…っ。」
一斉に駆け出すアストリア軍を恐れながらも、
栗原さんは冷静に魔術の詠唱を終えていました。
「クエイク!!!」
地系の上級魔術だったと思います。
以前、沙織先輩に教わったことがあるのですが、
直接的な攻撃力がない代わりに行動阻害効果が高いそうです。
「きゃ…ぁ…っ!?」
栗原さんの魔術によって、
地下室を巨大な地震が襲いました。
これまでにも何度か地震は経験していますけど。
震源地にいたのは初めてです。
あまりにも大きな揺れなので、
アストリア軍だけではなくて、
私達も立っていられないほどの地震でした。
「「「くっ!?」」」
「「「うぁぁぁっ!!」」」
激しく揺れる地震よって倒れ込む兵士さん達。
その揺れの影響を受けた陰陽師さん達も混乱状態に陥っている様子です。
…ただ、それは私達も同様でした。
敵が接近してこないのはありがたいのですが、
私達もこの場から動けなくなってしまったのです。
お互いに一歩も身動きが取れない状況です。
それでも栗原さんは私に指示を出してくれました。
「地震中でも精霊なら動けるはずです!!押さえ込むのではなくて吹き飛ばしてくださいっ!」
「…は、はいっ!」
即座にミルクに指示を出しました。
「ミルクっ!」
名前を呼んだだけなのですが、
それだけで十分だったようですね。
「みゃ~♪」
地震の影響を気にせずに平気な顔で鳴き声をあげるミルクは、
慌てふためく兵士さん達に襲い掛かりました。
「みゃ~♪」
今度は下方向ではなくて横方向に向けての重力攻撃です。
ミルクの鳴き声と共に、
多くの兵士さん達が地面ではなくて壁に向かって吹き飛ばされました。
「「「がはっ!!」」」
「「「ぐぁっ!!」」」
「「「うっ…あっ…!?」」」
激しい勢いで壁に叩き付けられたからでしょうか。
兵士さん達は意識を失ったようです。
ミルクが可愛らしい声で鳴くたびに、
地に伏せている兵士さん達が次々と後方の壁へと吹き飛ばされていきました。
「「「「「ぐあぁぁぁっ!!!」」」」」
地震で身動きの取れない兵士さん達が、
次々と戦闘不能になっていくんです。
その様子を見てこのまま全てを片付けられれば良いと思ったのですが。
やっぱりそう上手くはいかないみたいですね。
「急々如律令!!」
陰陽師の手から放たれた護符が、
ミルクに向かって放たれたからです。
「ミルク…っ!?」
思わず叫んでしまいました。
…ですが。
私は動けませんし。
ミルクが反応する前に、
護符が届いてしまいました。
「悪鬼退散!!」
放電する護符。
陰陽術で放てる最高位の雷撃なのでしょうか?
ミルクの小さな体を圧倒的に上回る強力な雷撃が、
ミルクの体を飲み込んでしまいました。
「ミ…ミルク〜〜〜っ!!」
周囲にも影響を与えるくらい強力な一撃です。
その攻撃によって私も陰陽師さん達もミルクが消えてしまうと思い込んでいました。
…ですが。
「みゃ~♪」
ミルクは消えていません。
平気な顔をして鳴き続けているのです。
…えっと。
…平気なの?
一切影響を感じていないように思えます。
だからでしょうか。
新たな重力攻撃によって吹き飛ばされた兵士さん達が意識を失って倒れたようです。
…無事で良かった。
どうしてなのかは分かりませんけれど。
陰陽術が効かないみたいです。
これはもう、凄いとしか言いようがありません。
ミルクは雷撃の影響を受けないのでしょうか?
私にもよく分からないのですが。
ミルクが存在し続けているのを見た陰陽師さん達も戸惑っている様子でした。
「どういうことだっ!?」
攻撃を受けても死なないミルクを見て、
陰陽師さん達も困惑してるみたいです。
「まさかあれは式神なのかっ!?」
式神?
それは何でしょうか?
言葉の意味すら分からないのですが。
陰陽師さん達は再びミルクを攻撃するつもりでいるようです。
「急々如律令!!式神返し!!」
護符が放たれました。
その護符がミルクに取り付いた瞬間に。
『バシュッ!!!!』と、
護符が弾け飛んだように見えたのですが。
これはどういう効果があるのでしょうか?
良く分かりませんけれど。
今のところミルクは平気そうです。
「馬鹿なっ!?失敗だと…!?」
…失敗?
…と言うことは。
今回もミルクには影響がなかったということでしょうか?
更に戸惑う様子の陰陽師さん達ですが、
今度はその陰陽師さん達に向けてミルクが鳴きました。
「みゃ~♪」
「うあああああっ!!!」
ミルクが鳴いた直後に、
前衛の兵士さん達が陰陽師達に向かって吹き飛ばされたんです。
大きな音を立てて激突する兵士さんと陰陽師さん達。
「「「「「ぐあああああああ!!!!!」」」」」
幾つもの悲鳴が響き渡り。
一部の陰陽師さん達が意識を失って倒れてくれたようです。
…やっぱりミルクは凄いです♪
これで少しは自由に戦えるようになったかもしれません。
…とは言っても。
まだ半数ほど残っているので、
油断できる状況ではありません。
それでもミルクは平気な顔をしてアストリア軍に迫って行きます。
地震の影響を受けなくて。
物理攻撃も通じなくて。
陰陽術も無効化しています。
ミルクは生物ではないので当然かもしれませんけれど。
もしかしたら魔力の塊という実態を持たないミルクにはどんな攻撃も通じないのでしょうか?
…あ、いえ。
少し違うかもしれませんね。
魔術を受ければ魔力が減少して弱体化するのは魔術大会で確認していますので、
直接魔力に影響を受けるような攻撃ならミルクを消し去ることができるかもしれません。
おそらく魔術以外でのミルクへの攻撃は空気を切り裂くような行為と同じで、
存在を消すことは不可能なのではないでしょうか?
ですが。
ここには私達以外の魔術師がいません。
なので。
ミルクが傷つくことはなさそうです。
その事実に気付いたのでしょうか?
陰陽師さん達はミルクではなくて、
私を狙って護符を放ってきました。
「「「急々如律令!!!」」」
陰陽師の手から放たれる複数の護符。
その護符を見た栗原さんが、
詠唱していた魔術を即座に発動させてくれました。
「ファイアー・ウォール!!!」
私の目前に現れる炎の壁に、
護符から生まれる力が激突しました。
拡大する炎。
歪む防壁。
おそらく護符から放たれたのは炎と風だと思います。
二種類の力は炎の壁とぶつかり合って勢いよく燃え広がっています。
そしてそのままうねるように燃え上がった炎なのですが、
炎で炎の壁を突き抜けるのは無理だったようですね。
私に向けて放たれた炎が消えて、
ほぼ同時に地震もおさまりました。
そして地下室に静寂が戻ったんです。
その瞬間に慌てて立ち上がる兵士さん達が再び武器を構えました。
「「「今だっ!攻め込めーっ!!!」」」
「「「「「うおおおおおおおおっ!!!」」」」」
指揮官の指示によって、
多くの兵士達が雄叫びをあげています。
「これはまずいですね…。」
危機感を感じながらも、
栗原さんは詠唱を続けています。
その間にも兵士達との距離は狭まっています。
数十人の兵士さん達がミルクによって倒れたのですが、
全滅までにはまだまだ遠いからです。
「深海さん!攻撃魔術は…?」
「すみません。魔術の詠唱は苦手で…」
実はまだ完成していませんでした。
簡単な攻撃魔術ならもう少し早く使えると思うのですが、
敵の数が多いことを考えてある程度強力な魔術が必要だと思ったからです。
なので。
今は最上級魔術の詠唱を進めていました。
現在は大体半分くらいでしょうか?
すでに栗原さんも気付いていると思いますけれど。
私の詠唱は他のどの魔術師よりも遅いと思います。
「これはちょっと…間に合いそうにありませんね。」
…すみません。
これでも個人的には頑張っているつもりなのですが、
初心者程度の実力で高位魔術を使おうとしている状況だったりもします。
…ルーンで攻撃できれば良いんですけど。
相手は魔術師ではなくて陰陽師なので、
吸収の意味はありません。
たぶん攻撃しても通過して終わるだけの気がします。
そうなると魔術を使うしかないんですけど。
魔術というのはただ単に詠唱を唱えればいいというものではありません。
確実に成功させるためには魔術の精度を上げなければいけないのです。
そのための手順が色々とあるのですが、
私はそのあたりの技術が不足していますので、
どうしても発動までに時間がかかってしまいます。
だからでしょうか?
栗原さんは私の攻撃を諦めたようで、
微かな希望をミルクに託しました。
「僕が敵を足止めします!!深海さんは精霊を動かして敵を押さえてください!」
指示を出してから栗原さんが魔術を放ちました。
「コールド・フィールド!!!」
氷系の補助魔術ですね。
等級は上級だったでしょうか?
はっきりとは覚えていませんけれど。
栗原さんの放つ魔術は足元の床を広がって、
瞬く間に氷の膜が迫り来る兵士達の足を床につなぎ止めました。
その瞬間。
「みゃ~♪」
ミルクが鳴いて再び兵士達を吹き飛ばしています。
強制的に氷から切り離されて吹き飛ぶ兵士さん達。
その現象を見た陰陽師さん達が即座に護符を放ちました。
「「「「「急々如律令!!!」」」」」
叫び声と共に放たれる護符が氷に張り付いて青白い光を放ちます。
「「「「「呪詛散開!!!」」」」」
『バチンッ!!!』と炸裂音が響いた瞬間に、
栗原さんの生み出した氷は強制的に消失したようでした。
「くっ!ディスペルですかっ!厄介ですね…。」
悔しがってはいますが、
すでに次の詠唱を終えていたようです。
…早いですね。
…羨ましいです。
「バースト・フレア!!!!」
栗原さんの手から放たれたのは炎の炸裂弾です。
炎系の上級魔術ですよね。
私も何度か目にしたことがありますので、
この魔術はよく知っています。
炎の玉は最も近い兵士に命中してから勢いよく炸裂しました。
「よし、今回は成功ですね。以前、研究所では失敗した魔術ですが、今回は距離が近かったので上手くいきました。」
栗原さんも満足できる攻撃だったようです。
炸裂して一気に燃え上がる炎に巻き込まれて、
先頭集団が火だるまになっていました。
「うあああああああっ!!!!」
「熱いっ!体が焼けるっ!!!」
苦しむ兵士達の惨事の直後に、
ようやく私の魔術も完成しました。
「ダンシング・フレア!!!!」
炎系の最上級魔術です。
威力、範囲共に強力な攻撃なので、
この魔術ならきっと包囲網を突破するきっかけになるはずです。
室内の空気を炎に変えて踊り狂う炎が室内で激しく燃え上がりました。
地下室の半分を埋め尽くす程の勢いです。
接近していた兵士さん達が一瞬にして火だるまになっています。
…そのせいで…。
「「「うぁぁっ!…くっ、苦しい…」」」
「「「誰か…助け…」」」
「「「いやだ…死にたく、ない…っ」」」
「「「熱い…体が…焼ける…っ!」」」
私の攻撃のせいで、
死にきれない兵士さんが続出してしまったんです。
地下室は兵士さん達の苦痛の呻き声で地獄の様相になっていました。
…う、うわぁぁ。
誰も死んだようには見えません。
それ自体は良いと思うのですが、
もしかしたら魔術が失敗したのかもしれません。
攻撃範囲は良いとしても、
攻撃力は栗原さんのバースト・フレアとあまり変わらなかったからです。
…あぅぅぅぅ。
死ぬことも気を失うこともなく、
ただひたすらに焼かれ続ける恐怖。
…これはもう。
いっそ死んでしまった方が楽なのかもしれません。
そんなふうに感じてしまいました。
「「「「ああああああああああっ!!!」」」」
呻き苦しむ兵士さん達。
地下室に響き渡る苦痛の声は地獄そのものです。
体は火傷でただれて。
痛みに苦しみ。
生きる力を失っているようにさえ見えます。
重度の火傷による苦痛と絶望。
私の攻撃は兵士さん達に死の安息を与えられず。
無限に等しい苦しみを与えていました。
…あぁ、ぁぁっ。
悲劇的な惨状。
私自身が行った惨劇。
苦しむ兵士さん達の呻き声を聞いてしまったせいで、
抑えきれない恐怖を感じてしまいました。
「ち、ちがっ…う…。わた…し…。こんな、つもりじゃ…。」
こんなつもりではなかったんです。
こんなふうに苦しめるつもりなんてなかったんです。
ただ単に兵士さん達を倒して、
前に進もうと思っていただけなんです。
…それなのに。
私は力を使いこなせないまま。
魔術を使いこなせないまま。
ただその力に頼ってしまったんです。
「ち、違、う…。私は…私は…っ…。」
私の放った魔術は、
アストリア軍に『絶望』を与えていました。
自分のした事に対しての罪の意識。
その罪悪感が…私の心に広がっていったんです。
「ご…ごめん…なさい…っ。」
その場に崩れ落ちてしまいました。
まだ誰とも戦ったことのなかった私にとって、
目の前の惨劇は地獄の象徴そのものに思えたからです。
私が引き起こした悲劇は、
中途半端な実力で魔術を使ってしまった結果です。
そのせいで。
兵士さん達は苦しみながら力尽きていきました。
「…く…苦しい…。」
「…嫌だ…こんなの嫌だ。…痛い…苦しい…っ」
「た、頼むっ…殺してくれっ!!もう…もう堪えられないっ!!」
必死に訴える想い。
その願いは叶わないまま。
兵士達は最期まで苦しみ続けて、
絶望の中で力尽きていきました。
その無残な結末を。
私はただ黙って見ていることしか出来なかったのです。
「…ごめんなさい…っ…。ごめん…なさい…っ。」
苦しむ兵士達に対してただただ謝り続けることしか出来ませんでした。
…そんな状況で。
「「「「「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!」」」」」
苦痛に耐え切れずに発狂した兵士達が突然暴れ出しました。
自らの体を傷付けて地面を転がり周り。
その体から血と肉を削り落としながら…力尽きたのです。
「ぁ、ぁぁ…っ。」
その様子を眺め続けていると。
更に別の場所では…
「がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
一人の兵士が自らの喉を引き裂いて絶命していました。
「い、嫌だ…死にたくない…っ。」
必死に泣きわめく兵士も焼けただれた両腕に視線を向けた瞬間に死を感じとったようです。
「腕が…腕がぁぁぁっ!!!」
皮が剥がれ。
肉が焼け落ち。
骨だけになった腕。
その両腕を眺めた兵士さんは、
気を失って…そのまま力尽きました。
…各地で続く呻き声と絶望の声。
その声は私の心を埋め尽くして、
私の心を蝕んでいました。
「ごめんなさいっ!ごめんなさい…っ!ごめんなさい…っ!!」
必死に謝り続けました。
ですが。
私の謝罪が兵士達に届くことはありません。
「お前のせいで…!」
誰かが言いました。
「これは…お前がしたことだっ!!」
………。
叫び、倒れる兵士さん。
その言葉が私の心に深く…深く突き刺さりました。




