地下の扉
《サイド:深海優奈》
長い、長い階段を下りました。
そして地下へとたどり着いた私達の視線の先には、
一本の細くて長い通路が続いています。
学園の魔術研究所と同じくらい薄暗い通路です。
通路の奥はどうなっているのでしょうか?
はっきりとは見えないのですが、
それでも突き当りには一つだけ扉があるように思えます。
…なので。
その扉の向こうが戦場だと私達は判断しました。
「あの扉の向こうに…兵器があるのでしょうか?」
「もしくは兵器の間へ続く広間…という可能性もありますね。王都でもそうでしたが、防衛部隊が待機する部屋があると思われます。」
…あ〜。
そういうお部屋があるんですね。
「だったら、あの扉の向こうには…?」
「アストリア軍がいると考えておいたほうが良いかもしれませんね。」
…やっぱり、そうですよね。
「だったら戦う準備をしておいたほうが良いですか?」
「ええ、そうですね。出来れば戦闘は回避したいところですが…おそらく不可避でしょう。」
「…が、頑張りますっ。」
お互いに、ですけれど。
私も足でまといにならないように気をつけなければいけません。
「ひとまず精霊を前衛として、私が援護を行う作戦でいきましょう。深海さん自身は後方に待機して、攻撃魔術の詠唱をお願いします。」
…は、はいっ。
「やってみます。」
「ええ、それでは行きましょう。」
作戦を決めてから栗原さんが動きだしたので、
その後を追って私も歩きだしました。
目指すのは通路の奥にある扉です。
その先に兵器があると信じて、
望むべき未来があると信じて歩き続けます。
「間もなくですよ。」
徐々に狭まる距離。
そして確実に近付く扉。
手を伸ばせば手が届くところまで歩み寄ってから、
栗原さんは一旦立ち止まって扉に手をかけました。
どうやら鍵はかかっていないようですね。
もしもかかっていたとしても、
魔術で吹き飛ばせば一瞬なのであまり意味はありませんけど。
罠が仕掛けられている可能性は否定できません。
だから扉を開けるだけでも緊張してしまいます。
「…行きますよ?」
「はい。」
私の返事を聞いてから、
栗原さんは扉を開け放ちました。
『キィィィ…。』と音を立てながら開かれる扉。
その向こう側には、
予想通り新たな戦いが待っていました。




