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THE WORLD  作者: SEASONS
4月18日
981/1060

階段の捜索

《サイド:栗原徹》



………。



施設の内部に侵入してから数分が過ぎたでしょうか?



通路を進む僕と深海さんは、

兵器の破壊を目指して施設の1階を走り続けていました。



「…うーん、困りましたね。」



どこかに『地下』への階段があるはずなのです。



ですが。


どこから地下に向かえばいいのかがわかりませんでした。



地図がないために適当に予想しながら施設内の探索しているのですが、

やはり直感だけで進むのは難しいようですね。



「地下へ向かう階段はどこでしょうか?」


「ここにある兵器も地下にあるんですか?」


「おそらく…ですけどね。」



確信があるわけではありませんが、

王都での経験から『兵器』は地下にあると予測しています。



「王都の研究所にあった兵器は地中に埋め込むように設置されていました。」



もしもここにある兵器も同じものであるのなら、

兵器の性質上、地中に埋め込む形で設置されているはずです。



「だからこそ、地下に向かいたいのですが…。」



広さだけは十分にある施設内。



地下への階段を探して走り続けているのですが、

やはり地図がないというのは不便ですね。



龍脈研究所の時のように案内図があればいいのですが、

残念ながら入り口付近や通路において方向を示してくれるようなものはどこにも見当たりません。



…ただ。



不思議なことに。


内部に潜入してから今まで誰かに出会うこともありませんでした。



静まり返る施設内において、

人の気配は一切、感じられないのです。



「誰もいないのでしょうか?」



…さあ?



どうでしょうね。



疑問を感じる深海さんですが、

僕にも答えようがありません。



護衛の兵士達がいてもおかしくはないのですが、

施設の内部には兵士どころか職員さえ見当たらないのです。



その事実に不自然さを感じるのですが、

その理由を確認しようにも誰にも出会えないので話を聞くことさえできません。



そのせいで。



現在は深海さんを引き連れて施設の内部をさまよっている最中になります。



「理由は分かりませんが、今は考えている時間がありません。天城さんが倒れる前に何としてでも兵器を破壊することが先決です。」



兵器さえ破壊してしまえば、

この地から離脱することも可能になります。


無理に戦い続けなくても、

逃げるという選択肢が選べるのです。



「今は先を急ぎましょう。」



まだ行ったことのない場所を探せば目的の階段は見つかるはずです。



そのために走る速度を落とさずに答えた私の視線が、

ようやく地下への階段を捉えました。



「ありました!」



地下へと続く階段を発見したことで微笑みを浮かべました。



…とは言え。



まだまだ気を抜くことはできません。



今はまだ入口を発見しただけで

目的の兵器は見つかっていないのです。



「まだ先は長そうですね。」



絶え間ない緊張感を感じながら、

ゆっくりと階段に歩みを進めてみます。



どこまでもどこまでも続くかのような長い長い階段。



その階段の先を見つめながら、

深海さんに問い掛けることにしまし

た。



「おそらく兵器はこの先にあります。ここを進めばもうあとには引き返せないかもしれません。それでも…宜しいですか?」


「は、はい。もちろんです。覚悟は出来ています。」



やはり引き返すつもりはないようですね。


すでに分かってはいたことですが、

深海さんに戸惑う様子は見られませんでした。



「亡くなっていった人達の為に、私に出来ることがあるのなら精一杯やってみようと思います。それが沙織先輩や翔子先輩の望みでもあると思いますから。だから後悔はしません!」



…なるほど。



気持ちは僕と同じですね。



まっすぐに向き合う深海さんの視線を受けたことで微笑みを返しておきました。



「やはり、あなたは愛里ちゃんと良く似ていますね。」



深海さんの頭を撫でてから、

忠告だけはしておくことにしました。



「この先の地下には兵器の護衛の兵士が少なからずいるはずです。現在、ほとんどの戦力が天城さんに集中しているとはいえ、それでも全くの無防備とはいかないでしょう。」



天城さんがいる限り施設内に敵の増援が来る可能性はほぼ0だとは思いますが。


施設内に敵がいないという保証はどこにもないのです。



…と言うよりも。



確実にいるはずです。



侵入者の迎撃部隊は確実に用意されているはずです。



そうでなければ兵器の防衛はできません。



敵の侵入を許してしまった時点で兵器の防衛が不可能になるような間抜けな対応はありえないでしょう。



ですので。



兵器にたどり着く前に遭遇する可能性が高いと思います。



「どれほどの敵がいるのかは不明ですが諦める訳にはいきません。」



僕達が失敗すれば、

もう誰にも兵器を止められないかもしれませんからね。



「共和国の平和の為に。そして守るべき人達の為に。最後まで戦いましょう。」



改めて目的を説明してから、

深海さんの頭から手を離しました。



振り返る視線の先には、

地下へと続く階段があります。



ここを下りれば最後の戦いが始まるはずです。



「行きましょう。」



一歩一歩。


想いを込めながら歩みを進めます。



そしてこれまでの出来事を思い起こしながら、

地下を目指して歩み続けました。



「兵器を破壊して戦争を止める。それが戦場に散っていった多くの仲間達の願いです。」


「…はい。」



呟いた僕の言葉を聞いて、

深海さんは頷いてくれました。



朱鷺田秀明さん。


三倉純さん。


琴平愛里ちゃん。



それが僕にとっての大切な仲間です。



常盤沙織さん。


北条真哉さん。


美袋翔子さん。


米倉美由紀代表。



それが深海さんにとっての大切な仲間なのでしょう。



それぞれの仲間の『死』を胸に抱えながら、

僕達は地下へと歩みを進めました。



戦争を止める為に。


兵器を破壊する為に。



…そして。



大切な人を守る為に…です。



「行きますよ。」



階段を下りた僕達は、

最後の戦場へと向かいました。



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