好きになった理由
《サイド:武藤慎吾》
悠理を好きになった理由…か。
どんなふうに説明すればいいのかな?
上手く言葉にするのは難しいけれど。
…だけど。
…僕はきっと。
初めて出会ったあの日から。
初めて検定会場で悠理を見た時から。
ずっと気になっていたんだと思うんだ。
「最初は…ね。ごく普通に…気の強い子だと思ったんだ。」
明るくて。
元気が良くて。
可愛い子だな…って思ってた。
「だけど…ね。どうしてかな…?」
何となくだけど。
僕は気付いたんだ。
「初めて試合をしたあの時に…気付けたんだ…。」
悠理の瞳を見て。
悠理の笑顔を見て。
何かが違う…って気付けたんだよ。
「もしかしたら…本当は『間違い』なんじゃないかな?って…ね。」
本当は気が強いわけじゃないんじゃないかな?
明るく振る舞ってるだけで。
本当はとても弱い子なんじゃないかな?
なんて…そんなふうに思えたんだ。
「悠理が何に怯えて…何から目を逸らしているのか…僕は何も知らないよ。」
だけど。
だからこそ…かな?
「何も知らないから…だから僕は、悠理の心を…本当の心を、知りたいと思ったんだ…。」
ただ…それだけなんだよ。
気になっちゃったから。
好きになっちゃたから。
知りたいと思ったんだ。
「僕に何ができるかなんて…考えてないけどね。それでも、何かをしてあげたいって…思ったんだ…。」
それが始まりで。
それが全ての理由だと思う。
少し曖昧な説明になってしまったから、
上手く伝わったかどうか分からないけどね。
もしかしたら余計に困らせてしまったかもしれないけどね。
…だけど。
それでも想いを言葉にしようと思ったんだ。
「僕は…悠理が好きだ。」
はっきりと言い切った。
そんな僕の想いを聞いて、
悠理はどう思ってくれたのかな?




