意味はある
《サイド:近藤悠理》
「悠…理…。」
…し、慎吾?
呼び掛けてくれる声が聞こえたことで、
私も痛みを堪えながら必死に慎吾に近付いてみたわ。
「慎…吾?」
囁くのがやっとの状態みたい。
体を斬られた時に肺もやられちゃったのかな?
はっきりと声を出すことさえ出来なかったのよ。
…でもね。
それでもね。
私は必死に慎吾に近付こうとしたの。
「慎吾…っ。」
囁く声で呼びかけて。
体の痛みを堪えながら。
ゆっくりと距離を詰めて。
慎吾の傍までたどり着く。
「…慎…吾。」
目の前で倒れる慎吾の体からはとめどなく血が溢れていて、
いつ死んでもおかしくない状況に見えたわ。
「馬鹿…。馬鹿よ…あんたは…。私なんか、守っても…何の意味もないのに…。」
それなのに。
慎吾は笑顔で答えてくれたのよ。
「意味は…あるさ。僕は、僕は悠理が好きなんだ。だから…だから悠理には…生きていてほしいんだ…。死んでほしくは…ないんだよ。」
見えない瞳で…。
動かない体で…。
それでも慎吾は後悔なんて感じさせない笑顔で。
…微笑んでくれたのよ。
「悠理が好きなんだ…。ただそれだけで…僕が命を賭ける意味は…あるんだ。」
「…何で、よ?何でそこまで私のことを…」
必死に想いを言葉にする慎吾の言葉を聞いて、
私は今までずっと疑問に感じていたことを問い掛けることにしたんだけどね。
「…は、はは…っ。」
慎吾は少しだけ照れくさそうな表情で想いを告げてくれたのよ。




