全滅の代償
《サイド:近藤悠理》
「…ふふっ。」
馬鹿ね。
私の目の前で死なせるわけないじゃない。
私はもう…誰にも死んでほしくないのよ。
…だ、か、らっ!!
「仲間に…手を出すんじゃ、ないって…言ってる…でしょっ!!」
全力で放つ炎の球。
これが私に残された魔力で放てる最後の魔術だったと思うわ。
地面に着弾した炎の球が一気に燃え上がって火柱に変わっていく。
その炎に巻き込まれ兵士達がことごとく倒れていく姿が見えた。
「「「「「ぐあああああああっ!!!!」」」」」
戦場に響き渡る兵士達の悲鳴。
ほとんどの兵士達が倒れたことを確認してから、
私は微笑みを浮かべたのよ。
「ふふん…。慎吾…は、殺させない…わ。」
「悠…理…!?」
必死に強がる私に向けて、
慎吾が手を差し延べようとしてるわね。
だけどその前に。
生き残っていた2人の兵士達が、
私達に向かって襲い掛かってきたのよ。
「「死ねぇっ!!!」」
迫り来る剣の刃。
近付く2人の兵士達の姿を慎吾は怒りを込めた瞳で睨みつけてた。
「やめろーっ!!これ以上、悠理に手を出すなぁぁぁっ!!」
全力で叫んだ慎吾が最後の気力を振り絞って兵士達に立ち向かっていく。
…だけど。
慎吾の攻撃は届かなかったわ。
むしろ反対に2本の刃が慎吾の体を貫いていて、
血を吐きながら動きを止めてしまったのよ。
「ぅぅ…がはっ!!!」
体中を襲う激痛と溢れ出る血はどう考えても即死級だと思う。
…それなのに。
慎吾はうすれゆく意識を気合で留めながら、
目の前に迫る兵士達に刃を振るってみせたのよ。
鳴り響く2度目の斬撃音。
「がああああっ!!!」
響き渡る兵士の悲鳴。
「ぐぁぁぁっ!!」
慎吾の攻撃によって首を切られた二人の兵士は、
悲鳴を上げながら地面に倒れたわ。
慎吾の決死の努力によって、
追っ手の兵士達は全滅したみたい。
だけど、その代償はね。
…慎吾の命だったのよ。
「くっ、ここまで、か…っ。」
小さく呟いた慎吾も…崩れ落ちてしまったの。




