15年前の再来
《サイド:????》
…ふむ。
若さゆえに戦況が読めない愚か者かと思ったが、
どうやらそうでもないようだな。
仲間の安全を優先して後退したことを考えれば、
少なからず戦況を見る力はあるようだ。
さすがは天城の血を引く者…と言うべきか?
父親とは異なる能力者として育ったようだが、
危険度という意味では父親以上かもしれん。
…まさかあの男の息子が魔術師として育っているなどとは夢にも思わなかったが。
もはや疑う余地はないだろう。
あの瞳は父親と同質だ。
守るべきモノのためならば、
死を覚悟の上で戦い続けるだろう。
その意思の強さだけは揺るがないように思える。
だが…だからこそ、言えることもある。
小僧の欠点は明確だ。
無理に小僧自身を相手にするよりも、
足でまといの仲間を狙い撃ちにすれば良い。
それだけで小僧を追い込むことができる。
…仲間を守りながらこの戦いに勝てるなどとは思わないことだ。
部隊を預かるものとしてやすやすと侵入者に道を譲るつもりはないが、
小僧だけは要注意だ。
天城の一族は必ずアストリアに災いをもたらすだろう。
あの一族だけはどんな手段を使ってでも確実に始末しなければならない。
それができなければ、
こちらが滅ぶことになるのだからな。
「全軍を召集しろ!!」
配下の陰陽師達に指示をだす。
ここは総力戦で挑むべき場面だ。
「敵は小数だが油断は出来ん!集められるだけの戦力をかき集めろ!!」
指示を出すことで、
配下の陰陽師達が即座に動き出す。
「即刻、召集を行います!」
各地に布陣している部隊を呼び戻すために動き出す陰陽師達。
そんな配下達の動きを見送ってから、
もう一度小僧に視線を向ける。
敵は天城の血を引く者だ。
仲間を庇いながらアストリア軍と戦う小僧の姿は15年前にこの手で殺した『天城総司』の姿と重なって見える。
「血筋とは悲しいものだな。親子揃って同じ運命を辿るか…。」
思えば…あの日も似たような状況だった。
数少ない仲間と共に我等陰陽師軍に立ち向かい。
最後まで足掻き続けた父親と同じように。
今は小僧が戦い続けている。
その実力はまさしく15年前の再来と考えるべき異常な力だ。
たった一人で軍隊と互角の戦いができるという事実は異常としか表現できんからな。
…とは言え。
父親がそうであったように。
小僧もいずれは倒れるだろう。
数の力は暴虐だ。
一騎当千の将といえども、
永遠に戦い続けられるわけではない。
いずれ力尽きて数の力に屈するのだ。
その結果がわかっているからこそ。
全ての陰陽師の頂点に立つ者として小僧の運命を哀れんでしまう。
「その命を賭けて何を守る…?」
問い掛ける声は小僧には届かない。
だがそれでも問い続けた。
「お前はその命で何を守るつもりだ?」




