一方的な蹂躙
《サイド:栗原徹》
「突撃するぞ!」
行動開始を宣言した天城さんが右手にルーンを発動させながら、
同時に精霊を召喚しました。
総魔さんの右手と背中から、
それぞれ光り輝く力が具現化しています
神秘的な光を放つルーンは神剣『ザ・ワールド』
荘厳な光を放つ精霊は天使『ヴァルキリー』
二つの力を発動させた天城さんは、
施設を守る兵士達に向かって攻撃を開始しました。
「全て殲滅する!!」
先行する天城さんが放つ光。
アストリア軍が気付いて体制を整える前に、
攻撃魔術を発動させるようです。
「アルテマ!!!」
天使の翼から放たれる大魔術。
それは僕も何度か目にしたことのある破壊魔術でした。
天城さんに放てる最強の一撃が、
有無を言わさずアストリア軍を飲み込みます。
施設の前方で轟く爆音。
広域に吹き抜ける衝撃波は僕達も巻き込みそうなほどでしたが。
左手を突き出した天城さんが防御結界を展開して、
衝撃波を別方向に散らしてくれていました。
そのおかげで僕達は無傷で耐え凌げたのですが、
結界の外では大変なことになっている様子ですね。
「「「「「うわあああああああああああっ!!!!!」」」」」
震える大地に響き渡る数多の悲鳴。
施設を守る多くの兵士達が一撃で死んでしまったようです。
もちろん即死をまぬがれた兵士達も少なからずいるようですが、
それは死ななかったというだけで、
瀕死の重体なのは間違いないと思います。
「内部に潜入するぞ!」
周辺のアストリア軍を一掃した天城さんが施設に向かって走り始めました。
そのあとを僕と深海さんが追いかけているのですが、
たった3人での特攻です。
もしも突入を遮られてしまったら、
もう二度と施設に接近することが出来ないからもしれません。
だからこそ。
この一瞬で上手く走り抜けたかったのですが、
やはり奇襲だけで敵の防衛を完全に崩すのは無理だったようですね。
森を抜けて施設へと向かう僕達の前方に、
残存するアストリア軍が立ちはだかってしまったからです。
「内部に侵入させるなっ!!」
「魔術師達を食い止めろーっ!!!!」
立ち塞がるアストリア軍の軍勢は、
ざっと見ても千人規模でしょうか?
それでも天城さんはアストリア軍を恐れずに、
全力で駆け抜けるつもりのようです。
「邪魔はさせんっ!!全力で穿つ!!オメガ!!!」
放たれたのは強烈な衝撃波です。
アルテマのような圧倒的な破壊力はないように思えますが、
指向性の攻撃としては十分すぎるほどの威力があるのではないでしょうか?
前方に立ちふさがっていたアストリア軍の兵士達が、
まるで紙切れのように吹き飛ばされているからです。
これはもう一方的な蹂躙としか思えませんね。
神剣から放たれる巨大な衝撃波が、
施設を守るアストリア軍を一瞬で壊滅させていました。




