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THE WORLD  作者: SEASONS
4月4日
96/185

治療不可能

《サイド:北条真哉》



総魔と翔子の試合が終わったあと。


意識不明に陥った翔子は急いで医務室に運び込まれた。



俺は回復魔術が得意じゃないから治療には参加できないが、

沙織は泣きそうな表情を見せながらも翔子に寄り添って必死に治療に参加している。


もちろん医務室に待機していた医師や救急班である美春達も含んだ多くの治癒魔術師達によって緊急集中治療が行われているのだが、

瀕死の重傷を負ってしまった翔子の治療は難航している様子だった。



「出血を止めろっ!!」


「止血作業を急げっ!!」


「輸血の準備はまだかっ!?」



慌ただしく指示を出す医師達。


すぐ傍で助手として行動している生徒達もあわただしく走り回っている。



そんな作業の最中。


翔子の知り合いらしい鈴置美春も治療に参加しているのだが、

その表情はどこか苛立っているように見えた。



「この馬鹿っ!こんなになるまで無茶するんじゃないわよっ!!」



言葉では責めているが、

心配している気持ちは痛いくらい伝わってくる。


瞳から溢れる涙が、

美春の想いを表わしているからだ。



「…絶対!絶対に助けてあげるからねっ!」



必死に叫んでいるが、返事は返ってこない。


意識を失っている翔子の体は誰がどう見ても重体だ。



総魔のソウルイーターによって全ての魔力を失ったせいで昏睡状態という理由もあるだろうが、

それ以上に『アルテマ』による肉体的被害が大きすぎるからだ。



全身に及ぶ傷は目も当てられない。


数分前までなら多くの男子生徒どもが羨望を向けていたはずの体はもう…見る陰もない。



今は数え切れないほどの裂傷と

骨まで見えるほど深い傷口から溢れ出すどす黒い出血によって

手の施しようがない状況になってしまっている。



よくこれほどの状態で最後まで魔剣に立ち向かえたもんだと感心さえしてしまうが、

あの場にいたのが俺だとしてもきっと同じように立ち上がっていただろう。



逃げるという選択肢は選べねえ。


選べるわけがねえ。


逃げてしまえば楽なのはわかる。


だけどな。


そうしてしまうことで自分の中で何か大切なモノを失ってしまうような気がするからだ。



だから俺達には逃げるという手段が選べねえ。



単に意地を張ってるだけかもしれないが、

それが俺達の性格なんだ。



だから最後まで戦う意志を貫いた翔子を馬鹿だとは思わねえ。


むしろ負けても誇れる意志を貫いた覚悟は素直に尊敬できるほどだ。



…でもな?



死んでしまったらそれまでだ。


さすがにそこまでの結果は望まねえ。


出来ることなら助かって欲しいと心の底から願ってる。



だがここで問題になるのが出血だ。


傷口から溢れ出す出血が翔子の体を赤く染めているが、

その反面として翔子自身は白く染まり始めている。



溢れ出した血の量が多すぎるらしい。


血が失われ過ぎて死に近づいている。


それはド素人の俺でもわかる状態だった。



このままだと傷口の治療は間に合っても、

出血多量による死は回避できねえ。



どれほどの医師を集めても。


どれほどの魔術を極めても。


血液を作り出す魔術なんて存在しないからだ。



人それぞれに異なる血液の成分を完璧に再現する魔術なんて存在しねえ。


刻一刻と弱っていく心臓を動かすための血液だけは、

輸血による物理的な方法で供給するしかねえ。



それなのに。



確実に低下していく心拍が血液の循環を遅れさせちまってる。



複数の治療班による回復魔術によって、

少しずつ治療が進んでるってのに。


学園で対応できる範囲を逸脱するほどの重度の怪我によって翔子の治療は手詰まりに陥りかけていた。



…この状況はマジでやばいぞ。



「いい加減、目を覚ましなさいよ、翔子っ!!」



美春は回復魔術を駆使して懸命な治療を進めてくれている。


沙織もありとあらゆる魔術を展開しているが、

それでも翔子が目覚める様子はねえ。


あまりにも絶望的な状況によって、

誰もが深刻な表情を浮かべてしまっている。


これまで数多くの生徒の治療をしてきたはずの医師達でさえもお手上げの様子だった。



「いまから病院に搬送するしかないか?」


「いや、医療に関してはここが最先端だ。ここで対応できない治療となると、それこそ『あの街』に託すしか…」


「それこそ手遅れだろう!あの街まで何日かかると思っているんだ!?」


「そうは言っても、これほどの重傷になると手の施しようがないんだぞっ!」



目の前で死にかけている翔子を眺めながら口論する医師達。


すでに翔子の治療は間に合わないと考え始めている彼らだが、

だからと言って何もしてないわけじゃねえ。


学園の粋を集めた技術力と高度な治癒魔術によって翔子の治療を進めてくれている。



しばらくすれば怪我の治療は終了するだろう。


傷の治療だけなら魔術で十分に追いつくから問題ないはずだ。


だが、心臓の鼓動だけはどうにもならねえ。



『生命の蘇生』を行える魔術は存在しない。



翔子は血を失いすぎた。


そのせいで徐々に弱っていく心臓。


これだけは何十人の魔術師が集まってもどうにも出来ない問題だった。



「ちっ!翔子っ!!目を覚ませっ!!!」


「お願い、翔子…っ!死なないでっ!!」



俺と沙織がどれほど願っても翔子は目覚めねえ。


それでももう、こうなってしまったら祈る以外に方法がなかった。


怪我の治療以上の手段なんて、

魔術師の国にも存在しないからだ。



「起きろ、翔子っ!!」



何度も呼びかけてみるが、

それでも翔子は目覚めない。



俺達の必死の祈りも通じずに。


確実に『死』に近づいていく翔子の身体が、

徐々に冷たくなっていく。


その結末を回避する為に。


誰もが懸命に治療を続けているのだが。


沙織達の治療は結果を出せずに、

ついに翔子は…呼吸さえも止めてしまった。



「し、翔…子…?」



沙織の呼びかけに翔子は応えない。


心臓が止まったせいで、

体の機能が停止してしまったからだ。



どれだけ呼びかけたとしても、

死者が応えることはない。



血の気を失い。


冷たくなってしまった翔子の死に様。


必死に振り払おうとしても、

とめどなく沸き上がる感情が抑え切れなくなってくる。



…天城総魔ぁぁっ!!!!!



翔子を死に追い込んだ男だ。


翔子は自らの意思であいつと戦って、

最後まで全力で戦った。


もちろん正々堂々と戦ったってのは分かってる。


だから結果がどうであれ、

あいつを怨むのは筋違いだ。



…そんなことは十分わかってる!!



だけどな。


頭では理解していても、

心は納得できねえんだ。


翔子にとどめを刺した最後の一撃も翔子自身が望んだ事だ!


だからあいつを責める事は出来ねえ!


それも十分理解してる。


だがそれでもっ!


今の翔子の姿を見て仕方がないと割り切る事なんて出来るわけがねえだろ!!



…これがっ!



これが翔子の選んだ結果だとしてもだ!!



やり場のない怒りは止まらねえ。


自然と溢れ出る涙も止まらねえ。


翔子を心配する俺と沙織の努力も虚しく、

翔子は二度と目を覚まさない。


止まってしまった心臓はもう二度と動かない。


魔術師による懸命な治療は今も続いているが、

医師達の表情には諦めの色が浮かんでいる。



すでに確定してしまったんだ。



…翔子は死んだ。



この状況でどうあがいたとしても死者を蘇らせることはできねえ。



誰もが絶望して諦めるしかない状況。



魔術の詠唱と医師の指示だけが医務室に響き続けているが、

誰もが必死に涙をこらえているだけの状況になってしまった。



これ以上の治療はもう意味がない。


それでも沙織は諦めずにいる。


沙織だけは絶対に諦めようとしなかった。



「まだ、諦めません!」



あふれる涙を振り払う沙織が魔力の続く限り治療が進めているが、

それでも翔子は目覚めねえ。


千の魔術を極めた沙織でさえ死者を蘇らせる手段はないからだ。



どれほど優秀な魔術師が集まっても絶対に出来ない事はある。


その現実に直面した誰もが沈黙して魔術の展開さえ諦めてしまう。


そんな絶望的な状況を打開できる方法は…何もない。



「ごめん…。ごめんね…。翔子…っ!」



美春ですら涙を流して自らの無力を呪っている。


どれほど願っても翔子は救えない。


その現実に直面してしまった美春も、

翔子の治療を諦めてしまいそうになったその瞬間に。



不意に医務室の扉が開かれた。



…ちっ。



こんな大事な時に邪魔が入るのは迷惑だと思って入口に振り向いたのだが、

そこで俺の動きは止まってしまった。


扉を開いて医務室に入ってきた人物が誰なのかに気づいたからだ。



「お前…っ!!!」



その男の存在に真っ先に気付いた。


沙織や他のやつらは翔子に視線を向けているせいでまだ気づいていないようだが、

回復系魔術を苦手とする俺は翔子の治療に加わっていなかったからな。


すぐに『天城総魔』の存在に気付いた。



…怨むのは筋違いだっ!!



それでもっ!!


目の前に現れたあいつを許せるほど物分りのいい人間じゃないことは自分でも十分すぎるほど理解している。


頭では理解出来ても、

気持ちまでは割り切れねえんだ。


総魔を睨みつけながら文句の一つでも言ってぶん殴ってやろうと思った。



そのための一歩踏み出そうとしたんだが、

俺が動き出した矢先に

あいつは堂々と室内へと踏み込んでくる。



そして睨み続ける俺に話しかけてきた。



「お前と翔子には借りがあるからな。その借りを返しに来た。」



…はあ!?



こいつは何を言ってるんだ?


正直に言って理解出来ない。


天城総魔の行動は俺にも理解できねえ。


その全てが理解の範疇を超えてるからだ。


付き合いの短い俺にこいつの行動は理解できない。


それでも困惑する俺を気にする事なく、

総魔は翔子へと歩みを進めてしまう。



「お、おいっ…!!」



何をするつもりか知らないが総魔の行動を止めようと思った。



だがその前に。


総魔は周囲の視線を気にすることなく、

翔子の胸の上に手を置いた。



「ちょっと!何をするつもりなの!?」



憎しみを込めて総魔を睨みつける沙織の瞳は殺気に満ちている。


例え死んだとしても翔子の体を触れられるのは気に入らなかったんだろう。



それでも総魔は沙織や俺の憎悪を無視して行動を続けていく。



俺達には理解できない男が何かをしようとしている。


美春を含む周囲で困惑している医師や生徒達を気にする事もないまま、

何らかの『力』を解放した。



「リ・バース!!」



総魔が魔術を発動した直後。



「……っ!?」



…なっ!!


…なんだと!?



あいつが何かをした瞬間に翔子の体がピクリと動いたように見えた。


そしてそれが勘違いでないことは沙織が証明してくれた。



「…えっ!?」



翔子の変化にいち早く気付いたのは同じだったようだ。


沙織の視線が総魔から翔子に戻った次の瞬間に、

死んだはずの翔子の瞳が開かれた。



「し、翔子!?」



目覚めた事を驚きながらも喜びをあらわにした沙織が翔子に抱き着く。



「翔子っ!!!」


「えっ…あれ…?って、私…ここ、あれ、なんで?」



翔子は状況が理解出来ていないらしい。


まあ当然といえば当然の反応だな。


俺も全く理解できねえ。



実際に見ていたのに分からねえんだ。


死んでいた翔子はもっと分からねえだろう。



それでも翔子は戸惑いながらも、

周囲を見回して自分の状況を把握しようとしている。



「えっと、とりあえず、生きてる…よね?」


「翔子!…ねえ、大丈夫なのっ!?」



根本的な部分から問いかけてくる翔子に沙織は涙を流しながら話し掛けていた。



「どこか痛いところはない?」


「…え?あ…うん…。」



今もまだ戸惑い続けている様子だが、

それでも自分のことくらいはわかるだろう。


目覚めたばかりだからというよりも、

何がどうなっているのかが分からないという態度だが、

体のどこかに異常があれば気付けるはずだ。



「まあ、私は大丈夫なんだけど…?」



心配する沙織に曖昧な返事を返している。


そのすぐ側で戸惑っているのは俺も同じだが、

それは周囲に集まっている他のやつらも同じようだ。


誰一人として声すら出せない状況だったからな。


医師達は別の意味で驚愕の表情を浮かべているようだが、

驚いているのは同じだろう。



「…そ、そんな馬鹿なっ!?」



諦めかけていた治療が一瞬にして終了したことが信じられないらしい。


その事実に戸惑う面々には当然俺も含まれているけどな。



それぞれに様々な思いが駆け巡っているのは理解できるんだが、

総魔は何も答えようとしねえ。



ただ、ここへ来た目的はすでに果たしたと考えてるのはわかる。


翔子の治癒を終えた総魔は、

さっさと背中を向けて来た時と同様に静かに医務室を出て行ってしまったからだ。



何の説明もなく。


一言も説明せずに出て行っちまった。



そのせいでなおさら困惑が広がってしまう。



「………。」



残された俺達は戸惑うばかりだ。


状況を把握しきれない翔子はもちろん。


そんな翔子に必死に話し掛ける沙織でさえも、

総魔の行動に対してどうすればいいのかわからない様子だった。



「何なんだろうな…?」



俺もどうするべきか悩む状況だ。


驚く医師達も戸惑う美春や呆然とする救急班の連中も完全に思考が停止している。


この事態をなんとかまとめるためには、

とりあえず俺が率先して動くしかねえだろう。



「翔子、体の調子はどうだ?」


「えっ?あ、うん。大丈夫みたい。って言うか…絶好調?」



自分でも何を言っているのか分かってないといった雰囲気だが、

翔子は自分の体を見回して確認している。


傷一つない体。


それどころか血の跡一つ存在していなかった。


まるで風呂上がりのような綺麗な体だな。


破れた制服は元通りとは言えねえが、

それなりに綺麗にはなっている。


それらの事実には翔子自身も驚いている様子だった。



「えっと…どういう事?」



不思議そうに問いかける翔子だが、

その答えは俺にも分からねえ。


総魔が一体何をしたのか?


それこそ俺が知りたい事だからな。



「…さあ、な。」



困った表情を浮かべる俺の背後で呆然としていた医師達が突然怒鳴りだしていた。



「有り得ないだろう…っ!?」



何を叫んでるんだ?


振り返ってみると医師達が集まって意見を話し合ってる姿が見えた。


どうかしたのか?と尋ねるよりも早く医師達の会話が耳に届く。



「停止した心臓をどうやって動かした!?」


「いや…それ以前に、あれほどの大魔術を使用していながら、何故、被験者に副作用がないんだ!?」


「いやいや、それよりも『魔力の補充』なんて可能なのか!?」


「ちょっと待て!それも気になるが、やはり一番の問題は心臓に対してどういう治療を行ったのかという部分だろう!?」


「もちろんそうだが、魔力補充がなければ昏睡状態からの復帰はできないんだぞ!?これまでの学説に真っ向から波紋を投げかける技法だぞ!!」


「そんなことはわかってるが、蘇生魔術こそ解明すべき論点だろう!」



などなど、それぞれの意見がぶつかり合っている。


確かに医師達が驚くのも無理はねえ。


本来なら生死に関する魔術は存在しねえからな。


あったとしてもそれは『禁呪』として封印されているはずだ。


一般の生徒が知るどころか、

扱うこと事態が不可能な魔術のはず。


少なくとも俺は知らないし、

学園にそんな物騒な魔術書があると聞いたこともない。


だとしたら総魔は一体何をしたんだ?


その疑問だけが残ってしまう。



そして翔子の体を一瞬にして治療した魔術は明らかに異常だった。



回復魔術はその効果を増せば増すほど、

対象者への副作用が大きくなる性質がある。



一般的には体が回復に対応仕切れずに睡魔に襲われる程度だが、

時には体がしびれたりしばらく動けなくなったりと幾つかの副作用が起こりえる。


ただ、どういった副作用にしても体を治す為の、

あるいは良くする為に自然と起こる肉体の防衛反応ってやつだ。


回復魔術だけで即座に健康にはならないってのが現実ってやつだからな。


もちろん副作用自体に害はないねえ。


そういった副作用があるからこそ、

肉体が急激な変化に異常をきたす事なく急速な治療が行える。



それを前提に考えれば、

確かに今の魔術は異常としかいえねえだろう。



…誰もが死亡と判断するしかない状態だったんだぜ?



数多くの魔術師が集まっても諦めるしかない怪我を一瞬で治療したことも異常だが、

それほどの大魔術なら医師達の言う通りなんらかの副作用があるはずだ。



それなのに翔子本人に副作用は見られない。


だからこそ医師達は戸惑っている。



「こんなことがあり得るのか?」



医師達が驚くのも無理はねえ。


そして次の疑問が魔力だ。


翔子から感じる魔力。


これは間違いなく万全の状態に匹敵する。


かけらも残さずに全ての魔力を奪われたはずだが、

試合で消費した魔力を考慮すれば総魔が吸収した力は本当にごくわずかだったはずだ。


単純に見積もっても、せいぜい3割がいいところだろう。


それなのに今の翔子から感じる魔力は間違いなく上限といえる量になっている。


それだけの魔力が翔子には宿っている。



それを思えば総魔が翔子に魔力を返したのは間違いねえ。


だが、その量は明らかに吸収した分よりも多い。



そうなるとあいつは翔子から奪った魔力だけではなく。


翔子が戦いで消費した魔力まで補うために、

自らの魔力を流し込んだということだ。


そうでなければこれほどの魔力は有り得ねえ。



『完全な治癒』と『魔力の補給』



…これほどの大魔術を使ったあいつにどの程度の力が残ってるんだ?



考えてみても答えは本人にしかわからねえ。


そして俺が考え事をしている間に、

翔子は沙織に支えられながらゆっくりと体を起こしてベッドから下りようとしていた。



「動いて平気なのか?」


「ん~。全然平気?」



翔子はいつもと変わらない笑顔を見せてくれている。



「むしろ、絶好調って感じかも〜♪」



笑顔に嘘は感じられない。


復帰直後に見せていたような単なる強がりややせ我慢ではなくて本当に平気なように思える。


それでも心配は消えねえが、

心配そうに見つめる俺達に『大丈夫』と宣言してから自らの力で立ち上がってみせた。



呼吸し。


会話し。


笑顔を見せ。


自らの意思で動いている。



そんな翔子の様子を見て安堵する医師と医療班達は、

理由は不明でもひとまず治療が終了した事で散り散りに離れて行く。



ただ、医師達はいまだに議論しているようだ。


おそらく当分の間は議論が繰り返されるんだろう。



個人的に議論に興味はねえ。


放っておくべきだ。



「とりあえず動けるならそれでいい」


「うん。大丈夫っぽい」



笑顔を見せる翔子は美春達に一通りのお礼を言ってから医務室を出る事にしたようだ。



「みんな、ありがとうね~」



お礼を言ってから医務室を立ち去る。


その後を追う俺と沙織にはまだ多少の不安と疑問が残るものの。


総魔不在の状況では追求のしようがないからな。


ひとまず翔子と共に医務室を出る事にした。


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