初めて見る涙
《サイド:深海優奈》
「翔子は最期まで戦い抜いた。今の衝撃は翔子の最期の想いだ。」
…最期の?
総魔さんは最期の想いだと言いました。
だとしたら今の振動は…?
翔子先輩の魔術なのでしょうか?
それも遠く離れたこの場所まで影響を及ぼすような魔術だとすればそれは…?
「アルテマ…ですか?」
「ああ、そうだろうな。」
やっぱり…そうなんですね。
魔術が発動して、翔子先輩が亡くなった。
その結果だけを考えれば。
それはつまり。
翔子先輩がアルテマによる自爆を仕掛けたということです。
どういう理由でそうなったのかは分かりません。
ですが翔子先輩は死を覚悟の上で戦い続けたのだと思います。
「翔子先輩は…最後まで戦い続けたんですね…。」
「ああ、おそらくそうだろうな。」
…やっぱり。
…そうなってしまうんですね。
「翔子先輩…っ。」
事実を確認してしまったことで、
私はその場に泣き崩れてしまいました。
もう否定できなくなったからです。
翔子先輩が生きていると願うことが出来なくなってしまったからです。
沙織先輩に続いて。
北条先輩と米倉理事長。
そして翔子先輩。
私にとって大切な人達が次々と亡くなっていく絶望によって我慢できずに歎き悲しんでしまいました。
「そんなの…嘘ですっ。だってみんな…私よりも、ずっと強くて…ずっと優しくて、ずっと…ずっと…っ!!」
現実を受け入れられなかったことで、
堪えきれない涙を溢れさせながら総魔さんに願いました。
「…お願いです、総魔さん。嘘だって…何かの間違いだって言ってください…っ!」
「………。」
どうしても受け入れられなくて、
必死に泣き叫んでしまったのです。
…そのせいで。
栗原さんに注意されてしまいました。
「…それ以上は言ってはいけません。辛いのは…辛いのは彼も同じなのですから。」
…えっ?
栗原さんの言葉を聞いた私は、
ゆっくりと総魔さんを見上げました。
一瞬だけ交わる視線。
その瞬間に。
「…っ!?」
私は自分に嫌悪してしまいました。
「…ご、ごめん…なさい…っ!」
触れてはいけない心を刺激してしまったからです。
口に出してはいけない言葉を言ってしまったからです。
私が目にした現実。
それは初めて見る総魔さんの涙でした。
声には出さず。
決して想いを言葉にせずに。
総魔さんは静かに涙を流していたんです。
「………。」
現実を否定したい気持ちや受け入れたくない事実。
その感情と現実が。
総魔さんの心までも破壊しようとしているように見えました。




