戦いの結末
《サイド:米倉美由紀》
「もう…悔いはない?」
やり残したことがないかを問いかけてみると、
翔子は笑顔で答えてくれたわ。
「いえ、後悔で一杯です!!もっとやりたいこととか…伝えたい気持ちとか沢山あります!でも…それでも…これが私の『生き様』です!」
…ふふっ。
北条君が最期に宣言していたように。
翔子も笑顔で宣言していたのよ。
「あなたらしいわね、翔子。あなたのそういう考え方はとても素敵だと思うわ。」
本当よ?
可愛くて。
格好よくて。
とても輝いて見えるの。
「最後まで…良く頑張ったわね。」
一人の大人として。
そして引率者であり、保護者として。
翔子の努力は認めてあげようと思ったわ。
「あなたの努力は、私がちゃんと見届けてあげるわね。」
「はい。ありがとうございます、理事長。それと…最期までご迷惑をおかけしてすみませんでした。」
「ふふっ。いいのよ。これも、私が望んだ結果だから…。」
自らの意志で翔子と共に残ることを決意したの。
悔いがないとは言い切れないけれど。
それでも私はこの結末を受け入れようと思うわ。
「最後は翔子の思うようにしなさい。」
翔子に全てを委ねて瞳を閉じる。
色々と思い浮かぶことはあるけどね。
「悪くない人生だったわ。それだけは…自信を持って言えるわね。」
だから…かしら?
とても穏やかな気持ちでいることができたのよ。
「これも翔子の影響かしらね?」
「…あはははっ。どうでしょうか?だけどその気持ちは私も一緒です。短い時間でしたけれど…。理事長や総魔と出会えて…一緒にいることが出来て、それだけで私は幸せでした。」
天城君…ね。
私としては胃が痛くなるような存在だったけれど。
良い意味で翔子を育ててくれたのは感謝してるわ。
一か月前までの翔子なら、
こんなふうに堂々とした姿は見せられなかったでしょうからね。
理事長としては頭痛の種だったけれど。
代表としては頼りになる存在だったと思うかしら?
まあ、翔子にしてみれば最愛の存在なんでしょうけれど。
「もう、いいのね?」
「はい。準備は整いましたから。」
約束の120秒はもう過ぎているわ。
あとは翔子が魔術を発動させれば全てが終わるのよ。
全てが…ね。
「お疲れ様、翔子。」
「理事長こそ、お疲れ様でした。」
翔子の手の光が、
より一層輝きを増して私達の体を包み込む。
「ばいばい…総魔♪」
最後に呟いた翔子の手が究極の魔術を発動させたのよ。
「アルテマ!!!!」
全力で叫んだ翔子の声。
それが私が聞いた最後の言葉だったわ。
発動する最強の魔術。
翔子の魔力を…
翔子の想いを…
翔子の命を込めた最期の魔術は…
周囲を取り囲むアストリア軍を巻き込んで、
戦場から全ての命を消し去ったでしょうね。
北条君の体も…
私の体も…
翔子自身の体も吹き飛ばして…
戦場には爆発の衝撃でえぐり取られた巨大な大穴だけが残されたと思うわ。
『生存者は0』
それが…
それがこの戦いの結末だったのよ。




