流れ星
《サイド:北条真哉》
まあ、色々と思うことはあるが、
悪くねえ人生だったと思う。
それだけは自信を持って言える。
…惚れた女を守って死ねるんだ。
…惚れた女が俺のために泣いてくれてるんだ。
これ以上何を望むってんだ?
…悔いなんて、あるわけがねえだろ。
「じゃあな…翔子。お前とも、逢えて良かった。」
「…真哉ぁぁぁぁ…。」
…ははっ。
泣き顔なんて、お前らしくねえぜ?
せっかくの良い女が台無しじゃねえか。
「…泣くな、翔子。最後まで…。お前は最後まで…笑顔でいろ!」
俺のために涙を流して悲しんでくれる翔子に笑顔で応えてみせる。
女の泣き顔なんて見たくねえからな。
俺は翔子の笑顔が見たいんだ。
「…笑顔を見せろ。それが…最高の思い出だ。」
他には何もいらねえ。
ただ、笑ってくれれば…それでいい。
「悪いな理事長。あとのことは…任せたぜ。」
泣き続ける翔子に別れを告げて、
最後に理事長に願うことにした。
「翔子を…守ってやってくれよな。」
「え…ええ。北条君。あなたの想いは…決して無駄にはしないわ。」
ああ、なら…十分だ。
「…悔いはねえ。」
翔子さえ守れるのなら、
もう何も惜しくはねえ。
「…これが俺の…!!北条真哉の『生き様』だっ!!!」
全ての『力』を解放する。
そして最期まで意地を貫き通す。
それが俺の信念だ!
「翔べっ!!ラングリッサー!!!!」
力の解放と同時に。
俺の両手からラングリッサーが弾けるように飛び出した。
風を纏って光り輝く槍はまるで『流れ星』そのものだ。
親父から受け継いだたった一つの魔術に全ての想いを込める。
…見届けろ!!
最期の一撃は残存するアストリア軍を一掃してくれるはずだ。
「これが俺の力だっ!!!」
流星がアストリア軍へと襲い掛かる。
飛翔したラングリッサーが地上に堕ちた瞬間に轟く爆音。
広範囲に吹き抜ける衝撃によって揺れる大地が粉々に砕け散っていく。
「「「「「ぐああああああああっ!!!」」」」」
「「「「「うあああああああああっ!!」」」」」
「「「「「がぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」」」」」
膨大な風が渦巻いて吹き荒れる戦場。
この一撃だけはアルテマを超える自信があった。
「まとめて…吹き飛びやがれ…。」
舞い上がる砂埃。
薙ぎ倒される木々。
響き渡る兵士達の悲鳴。
俺の放った流星によって、
アストリア軍は一人残らず『全滅』したはずだ。
「これで…良い…。」
数分が経過して風が止む。
倒れる兵士達の悲鳴さえも途絶えて静まり返る戦場。
その場に立っているのはたった2人。
生存者はたったの『2人』だけ。
俺が起こした破壊の被害を免れたのは…
翔子と理事長だけだった。




