近づく終わり
《サイド:米倉美由紀》
…くっ!
そろそろ、まずいわね。
アストリアの各地で戦いが進む中。
山岳地帯の麓の荒野で続いていた私達の戦いは、
ついに終わりを迎えようとしていたわ。
「さすがにもう…限界かしら?」
北条君と翔子と私。
たった3人による防衛戦なんて、
どう考えても上手くいくはずがないのよ。
3万を越えるアストリアの正規軍を相手に戦いを挑んで必死の足止めを行ってきたけれど。
やっぱり私達に出来る足止めには限界があったわね。
翔子の大魔術によって壊滅的な被害を受けたアストリア軍はすでに半数以上が滅んでいるわ。
だけど全てを止めるには至らずに、
多くの敵に囲まれた状況で翔子の魔力は底を尽きてしまってる。
それでもここまで戦い続けてこられたのは護衛部隊の仲間がいてくれたからなんだけど。
アストリア軍の増援が駆けつけてきた段階で仲間達は全滅。
今残っているのは私達3人だけ。
残る敵の数はざっと1万5千というところかしら?
もともと布陣していた正規軍はすでに全滅状態だけど。
駆けつけてきた増援部隊がそのまま残ってるっていう感じになるわね。
だけど、これが全てとは言い切れないのよ。
まだまだ増援部隊が駆けつけてくる可能性があるの。
魔術が使えない代わりに倒れた兵士の弓と矢を拾い集めて懸命に抵抗を続けてくれる翔子が今も頑張ってくれているけれど。
魔力が尽きたのは翔子だけじゃないわ。
それは北条君も同じなのよ。
鞍馬元代表と同様に一撃の威力は劣ってもルーンによる長期戦を得意とする北条君だったけど。
彼の魔力にも限界が訪れてしまったことで、
魔術を使えなくなってしまっているの。
その手にある『ラングリッサー』だけが最後の武器ね。
そんな状況で生き残る為の最後の希望は私の魔術だけだったのよ。
…だけど、ね。
私の魔力にも限界はあるの。
「スパイラル・シャドウ!!!」
大声で叫んでみたけれど何も起きなかったわ。
「くっ…!?」
思わず唇を噛み締めてしまう。
掲げたルーンからは魔術が発動しなかったからよ。
「まずいっ…!!」
魔術が発動しなかったその一瞬の隙に。
前線で敵を食い止めてくれている北条君に向かって、
多くの兵士達が一斉に襲い掛かってしまったのよ。




