そこに残る結果
《サイド:美袋翔子》
「チェックメイト!!!」
全力を込めた魔法の矢を放つ。
高速で放たれた光は瞬時に拡大分散して、
数百本の光の矢に姿を変えて総魔へと降り注いだわ。
「ち…っ!」
ふふん!
ちょっとは驚いてくれたようね。
試合場を丸ごと飲み込むかのような無数の光の雨よ。
膨大な数の光に覆われて、
総魔の体が瞬く間に見えなくなった。
それでも容赦なく降り注ぐ光の矢はまるで流星のように試合場に突き刺さって数え切れない弾痕を生み出し続けていく。
…これが私の本気よ!
そしてこれが私の最大の攻撃でもあるわ。
出し惜しみなんてしない。
本気の全力攻撃よ。
「…これで通じなかったらバケモノよっ」
そんなふうに思うけれど、
絶対に油断はしない。
総魔の反撃を恐れてすぐにその場を逃げ出す。
無駄に広い試合場をジグザグに移動して、
総魔の反撃を警戒しながら様子を覗う。
…攻撃は通じたの?
その答えはまだわからない。
手応えはあったと思うけれど、
実際に確認してみないことには判断できないから最大限の警戒を続ける。
その数秒後。
徐々に光が消失する試合場でそこに残る『結果』を見た瞬間に、
周囲から歓声が沸き起こったわ。
と、同時に。
私の心は急速に冷え込んでしまう。
「こ、これって…っ?」
自分の目で見た事実。
ただそれだけのことに戸惑ってしまったのよ。
…これって、初めての事よね?
私にとっても。
総魔にとっても。
あらゆる試合において、
これは初めての出来事だったと思うのよ。
…通じるの?
自分自身にさえ驚いてしまったわ。
この結果は予想していなかったのよ。
「総…魔…?」
総魔は動かない。
開始線に立ったまま。
魔剣を構えたまま。
一歩も動けずにいるから。
「…ちゃんと、通じたのね。」
私や。
沙織や。
真哉や。
観客が目にしたのは、
致命傷を負う総魔の姿だったのよ。
「…と、いうことは…?」
素直に喜びたいと思う心とは別に、
ここから本気の戦いが始まることを直感で感じとってしまったわ。
総魔がゆっくりと、
私に向かって体勢を整えているのが見えてしまったから。
だからこの状況に危機感を感じてしまったのよ。
「ね、ねえ?これって、逆に危険じゃない…?」
攻撃が通じたことで総魔を本気にさせてしまったってことよ。
ここから始まる戦いは私が最も恐れていた方向へと向かってしまう気がするわ。
「ちょっ、本気で、怖いかも…っ!?」
総魔を本気にさせてしまったことに後悔すら感じてしまったのよ。
だけど。
「…ふっ。」
総魔からすれば、
この状況は予測範囲内の出来事だったみたい。




