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初めて自分の意志で
《サイド:近藤悠理》
…はあぁぁ~。
「ったく、もう、あの馬鹿は…。」
どうしてこうも私の言うことを聞けないのかしらね?
行っても足でまといになるだけなのに。
それなのに私を守るとか言って最前線に行っちゃうとか。
頭がおかしいんじゃないかな?って思ってしまうわ。
だけど…ね。
だからこそ。
あいつらしいとも思ってしまうのよね。
この状況でも。
本気で自分の想いを口に出せる馬鹿を見ていたら、
私も自然と微笑みを浮かべていたみたい。
「馬鹿もあそこまで到達出来れば立派な才能なのかな?」
意味不明な才能だけどね。
それでもちょっとは認めてあげようかなって思う気にはなったのよ。
だから、まあ。
「ついでだから、あんたも守ってあげるわよ。慎吾。」
自分でも不思議なくらい自然とそう思えたの。
それは自分自身でも気付かない小さな心境の変化だったと思うけれど。
それでも私は初めて自分の意思で、
慎吾の名前を呼んでいたのよ。




