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失われた命
《サイド:深海優奈》
悲しみを堪えながら食事を続ける栗原さん。
その側にいる私も悲しみを隠せませんでした。
失われた命があることを知ってしまったからです。
『沙織先輩』と『琴平愛里』さん。
二人の命が失われたことで、
御堂先輩と栗原さんは落ち込んでしまっています。
…ですが。
誰に対してどう答えれば良いのかが私には分かりません。
何も言えないことで、
黙り込んでしまうことしかできませんでした。
それでも栗原さんは満足しているように思えます。
私に愛里さんを重ね見る栗原さんの表情は、
優しさに満ちているように思えたからです。
「僕のことは気にしないでください。」
微笑み続ける栗原さんの言葉に頷いてから、
私も静かに食事を始めました。




