930/1056
今はまだ
《サイド:栗原徹》
そっと触れる深海さんの髪。
戸惑う深海さんと向き合った僕は、
涙を流しながらも出来る限り優しく微笑みました。
「良く似ていますね。その表情、そして、その心。まるで愛里ちゃんを見ているようですよ。」
深海さんの姿に…愛里ちゃんを重ね見ました。
外見は同じとは言えませんが、
心や表情や性格が…とても愛里ちゃんと似ているように思えたからです。
「きっと、あなたも優しい人なのでしょうね。」
愛里ちゃんと同じなら、
きっとそうだと思います。
すぐに深海さんから手を離しましたが、
微かに感じた深海さんの温もりは愛里ちゃんと同じだと思います。
「僕はくじけません。まだやらなければいけないことがありますからね。だから…だから今はまだ絶望するわけにはいかないのです。」
心に秘めた想いを言葉にしてから、
天城さんから受けとった食糧を口に運びました。
「僕にはまだやるべきことがあります。だから今はまだ…くじけません。」
お腹がすいているとは思いません。
ですが今は無理をしてでも食事をとることにしました。
最後の戦いに向けて。
涙を堪えながら…食事を始めました。




