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THE WORLD  作者: SEASONS
4月18日
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沙織の想い

「みんな…ごめんね…。」




小さく呟きながら、

私は死の間際に願いました。




この心に思い浮かぶ人達の幸せを…です。



そして同時に謝罪しました。



もう二度と逢えない人達に…です。




私にとってのかけがえのない存在。




翔子と成美…そして龍馬。




残される3人のことを想いながら。



伝えられない想いを心に抱きながら。



死が訪れる最期の瞬間まで願い続けました。






「…ごめんね、翔子。」






一緒に帰るって約束したのに。



成美が待つジェノスに帰るって約束していたのに。




「約束を守れなくて…ごめんね。」




最初に思い浮かんだのは翔子への謝罪でした。




だけど…だけどね。



例えこの想いは届かないとしても。



それでも精一杯の想いを込めて祈ります。




翔子には…私の分まで幸せになって欲しいから。




今までも…そして、これからも。



心から願っています。




私は私自身の幸せよりも。



翔子の幸せを願っていたいのです。




だから。






「翔子は生きて…彼と一緒に幸せになってね。」






遠い地にいる翔子に…想いを馳せました。




…そして、もう一人。



愛する妹の姿を想い浮かべました。






「ごめんね…成美。」






翔子と一緒に帰るって約束していたのに。




約束を守れなくて…ごめんね。


悲しい思いをさせて…ごめんね。




…けれど。




成美には生きていて欲しいのです。



生きて幸せな人生を過ごしてほしいのです。




それが成美へのただ一つの願いです。




ごめんね、成美。





「最後まで駄目なお姉ちゃんで…ごめんね。」





結局…その目も治してあげられなかったわね。




私の生きる意味で。



ずっと望んでいた治療なのに。




それも…果たせなかったわね。




…だけど。



この願いが叶うのなら。




…もしも。



この想いが届くのなら。




私はいつまでも。



いつまでも。



成美の目が治るように祈り続けるわ。




もう二度と届かない想いだとしても。



私にはそれくらいしか出来ないから。




だからこれからもずっと。



ずっと願い続けるから。




いつか必ず治るって信じているから。






「だから絶対に…諦めないでね。」






それがジェノスに残してきた成美への私の最後の祈りです。




…そして最後に。



私が最期に想う人。




それはやはり龍馬でした。






「ごめんなさい…龍馬。」






ちゃんと…あなたの返事を聞きたかった。




ちゃんと向き合って。



この気持ちを伝えたかった。




…けれど。



結局、最後まで…あなたの顔を見れなかったわね。




龍馬への背中越しの告白。



私は向き合えなかったのです。




結局、私には龍馬の手助けが出来ませんでした。




守りたいと思っていたのに。



龍馬の助けになりたいと願っていたのに。




私には何も出来なかったのです。




それが私の後悔です。




全てを知ることを望んだ私のたった一つの後悔。




私だけが想いを伝えて。



龍馬は取り残されてしまったこと。



そのことを申し訳なく思ってしまって。



どうしても悔やんでしまうのです。






「…ごめんね、龍馬。」






私だけが想いを伝えたせいで。



きっと辛い想いをさせてしまうわね。




だけど。



だけどこの想いは本物だから。




あなたを『好き』と想うこの気持ちは変わらないから。



この想いだけは…私の大切な宝物です。




だから、ね。



私の想いだけは…覚えていてほしいの。




今となっては迷惑かもしれないけれど。



だけど誰よりも龍馬を愛しているから。




だから。



だから、せめてもう一度だけ。




…あなたに逢いたかった。




逢って想いを伝えたかった。






「ねえ…龍馬。」






…私は。



…常磐沙織は。









「あなたの大切な人に…なれましたか?」




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