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THE WORLD  作者: SEASONS
4月18日
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寄せ集めの意味

《サイド:鞍馬宗久》



「魔術師に屈するわけにはいかん!!」



…ちっ!



どこまでも頑固な男だな。



…だが。



決して考えを曲げることのない照栄の言葉を聞いて、

『とある疑問』を感じることになった。



…どういうことだ?



照栄の言動が理解できない。



いや…照栄の考えは一貫していると言うべきか。



そうではなく。


照栄の言動に沿わない行動をとっている者がいることに違和感を感じたのだ。



それは照栄の傍に控える『九条』だ。



九条は自ら敗北を認めて、

共和国軍に命を差し出してきた。



それは九条の独断か?


それとも照栄の差し金か?



どちらなのかが分からない。



…だが。



屈することを認めないアストリアが『敗北を認めている』のだ。



その矛盾に気づいたことで、

無視することのできない違和感に気づくことができた。



「照栄、お前は何を企んでいる!?ただ話し合う為に出て来たわけではあるまい!」



何かが隠されていると気づいたことで、

照栄は笑みを見せた。



「やはりお前だけは侮れんな、鞍馬。」



ワシの指摘を否定せずに、

照栄は九条に問い掛けている。



「例の準備はどうだ?」



準備だと?


やはり何らかの罠が仕掛けられているのか?



その意味を問いかける前に、

九条が即座に答えた。



「現在、展望台において兵藤が行っています。すでに『合図』は出されたかと…。」



合図だと?


何をするつもりだ?



照栄の意図は不明だが、

九条の言葉を聞いて満足そうに頷いている。



「残念な結果だが仕方があるまい。もとより『その為』に進めてきた計画なのだからな。悔いはない。」



…計画、か。



やはりまだ何か企んでいる様子だな。



「何を企んでいる!?」


「…企む、か」



照栄は常磐沙織に視線を向けてから話しだした。



「全て教えてやろう。我らの計画の全てをな。」


「………?」



常盤沙織は状況が飲み込めていない様子だが、

照栄が宣言した瞬間に、

激しい地鳴りと共に砦全体が揺れ始めた。



立っていられなくなるほどの揺れだ。


徐々に激しさを増す地震に耐え切れずに。



「きゃぁっ!」


「ちっ!」



常磐沙織とワシはその場にしゃがみ込んでしまった。



それでも止まらずに刻一刻と激しくなる地震によって、

照栄も椅子から崩れ落ちて九条もその場にしゃがみ込んでしまう。



終わることのない揺れ。


テーブルの上の物が床へと落ちる。


本棚が揺れて次々と倒れる家具。



それらの様子を眺めながら、

ワシは常磐沙織に手を伸ばした。



「怪我はないかっ?」


「は、はいっ。」



様々な物が散乱して足の踏み場もないような状況だ。


今は下手に動かないほうがいいだろう。



「くっ…!一体、何が…っ!?」



戸惑いながらも常磐沙織を地震の被害から守ろうとしたのだが…。


さらに悪化する地震によって一歩も動けないほどの揺れが発生していた。



地下室を支える柱や天井までもが音を立てて軋み始めていく。



『メキメキメキッ…』と軋む音が響いている。


その音に気づいて危機感を感じずにはいられなかった。



「まずいっ!急いで地下から逃げ出さなくては…!」



地下が崩壊する前に脱出しようと考えたのだが、

歩くどころか立つことさえままならない状況なのだ。



とてもと言っていいほど、

脱出が出来る余裕はなかった。



「どうなっている!?」



終わりの見えない大地震。


その揺れを感じながら、

照栄が終幕を告げ始めた。



「無駄だ!もはや脱出は手遅れだ!これまでの話し合いは全て『時間稼ぎ』なのだからな!!」



時間稼ぎだと?


どういう意味だ?



「一体、何を企んでいる!?この地震はお前達が起こしているのかっ!?」



魔術師でも陰陽師でもない照栄やアストリア軍にこれほどの地震を起こすことはできないと思うのだが、

照栄は隠すことなく自慢げに答えてくれた。



「まだ、分からんか?この地震こそが兵器の力だ!全てを破壊し!全てを無に還す!!この地震こそが神の裁きなのだ!!」



神の裁き?



それは兵器の名称であり。


その力の象徴でもあったはずだ。



「何も知らずにここへきたお前達に…全てを教えてやろう!」



兵器の発動を確認したことで、

照栄が兵器の力を語りだした。



「この揺れは前兆でしかないが…その力が発動した瞬間に、この砦は跡形もなく消し飛ぶことになる。」



消し飛ぶ…だと?



「だがそれすらも、我等の望んだ結果なのだ!!」


「望み通りだとっ?まさか自爆でもするつもりかっ!?」


「そう…そのまさかだ。この砦は最初から兵器の発動の場として用意されたのだ。貴様等、魔術師を道連れにする為に…な。」


「な、んだとっ!?」


「この砦に集められた兵士や一般の者達が何故、命を賭けてまで…そして何故、死を恐れることなく、お前達と戦ったのか?その意味が分かるか?」



…くっ!



やはりそういうことなのかっ!!



軍の兵ではない『寄せ集め』の部隊。



「それはやはり…そういう意味だったのかっ!!」


「ようやく気づいたようだな。だがそれもすでに手遅れだ。ここに集まった者達は全て…魔術師を憎み、恨みを持つ者達なのだからな。魔術師の暴挙によって全てを奪われ!行き場をなくした者達なのだ!!それがどういう意味か分かるか!?貴様等『魔術師』は、10万にも及ぶ人々の生活を破壊して…力なき者達の未来までをも奪ってきたということだ!!」



怒りとも言うべき意志を込めて全てを語る照栄。



その言葉を聞いた常磐沙織は、

再び『絶望』を感じた様子だった。



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