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THE WORLD  作者: SEASONS
4月4日
91/185

それ自体が不可能

《サイド:美袋翔子》



「…とまあ、これがあいつらの試合内容になる。」



…うわぁ。



一息ついた真哉が試合に関する説明を終えたんだけど。


黙って話を聞いていた私と沙織はため息を吐くばかりだったわ。



真哉から聞いた話は私達を驚かせる内容だったから仕方がないんだけど。


ここまできた以上、

総魔の実力を認めるしかないわよね。



すでに総魔の実力が私を上回っているのは間違いないと思う。


そう思うからこそ考えなければいけない問題が数多くあるのよ。



第1に。


総魔の魔剣は岩永君と大森君のルーンさえも斬る事が出来たということ。


これはかなり懸念すべき事態になるわ。



真哉でさえも真面目な表情で分析を行っていたけれど、

私も真剣に考えなければいけない問題だと思ってる。



魔力の結晶であるルーンは物質化するほど高密度の魔力の塊なのよ。



魔力の特性がそのままルーンの特性になるからこそ、

総魔の魔剣は吸収の能力を持っているのは理解出来るわ。


だけど物質化したルーンまでも斬る事が出来るとは思っていなかったのよ。


確かに元は『魔力』なんだから、

吸収対象なのは間違いない。



それでも…ね。


それでも楽観的にだけど。


ルーンなら総魔に対抗出来るんじゃないかなって考えていたのよ。



ルーンだけは破壊されないって信じていたの。


だけど。


実際にはその考えは甘かったみたい。



物質化した魔力でさえも、

総魔は吸収する事に成功しているから。



総魔のルーンである『ソウルイーター』


魂を喰らうというその名の通り。


魔剣は物理的、精神的、魔力的、

いずれにも攻撃できて、

対象の力を『強制的』に奪うことができるのよ。



まさに強奪の為の武器としか思えないわね。


自分達の実力に自信がある私達でさえ、

まともにぶつかり合えば全ての力を奪われるのは間違いないと思う。


それくらい恐れるべき力なのよ。



「現状、考えられる対策としてはあいつのルーンを回避しながら、直接攻撃出来ればなんとかなるだろうけどな。」



…うん。まあ、そうね。



単純な作戦だけど、

真哉の提案は正しいと思うわ。



…近づければ、だけどね。



真哉の作戦を即座に否定してしまう。



…そもそもそれが出来ないから困っているのよ。



真哉と沙織はまだ知らないみたい。


総魔の『本当の実力』を見ていないのよ。



そもそも沙織は何も知らないみたいだけど。


今まで関わっていなかったからそれは仕方がないわ。


一応真哉は総魔と関わりを持っているけれど、

それでもまだルーンしか確認してないみたいね。



…でもね。



私は知ってる。



総魔の『本当の実力』を全て見てきたから、

ちゃんと知ってるのよ。



攻・防・魔の3種の力。



攻撃の『ルーン』

防御の『結界』

魔術の『翼』


それらの力を私はこの目で確認して

実際に感じてきたの。


確かに真哉の言うように直接攻撃できればそれが最善策だと思うわ。


けどね。


それが出来ない事を私は誰よりも理解しているのよ。



そもそも『総魔に接近する』こと自体が不可能に近いの。


総魔に接近する為には霧の結界を突破しなければいけないのよ。



だけど、それができない。



ルーンと同じで、

触れるだけであらゆる魔力を吸収する。


あの霧の中に飛び込むのは自殺行為に等しいから。



…総魔に接近戦を挑むことは出来ないわ。



次の試合において総魔は決して手を抜くような事はしないはず。


だから総魔は魔剣だけではなくて霧も展開するはずなのよ。



だって私が宣言したんだから。



全力で戦えって言ったのよ。


だから総魔は必ず全ての力を発動させて私と戦うはず。



そう思うからこそ、

私が越えなければならない壁は3つある。



まずは総魔の霧の結界をどうやって突破するのか?


そして翼が放つ高速魔術をどうやって防ぐのか?


なにより魔剣の致命的な攻撃をどうやって回避するのか?



いずれにしても私には不可能に思えてしまうわ。


まともに戦えば勝ち目なんて無いでしょうね。



多少小細工をした程度でどうにか出来るような甘い相手じゃないからよ。


考えれば考えるほど総魔の力を実感してしまうわ。



…だけど考えるべきことはそれだけじゃないのよね。



まだまだ問題があるのよ。


総魔はまだ『魔術』しか見せていないという事実。



そこが第2の問題でもあるんだけど。


総魔は『魔法』を使えるのかどうか?という部分よ。


もしも使えるのなら、どの程度の実力なの?


魔術としての霧の結界なら、

私でも吹き飛ばす自信があるわ。


だけどもしも総魔が魔法として結界を発動したら?


私に突破出来るかどうかは実際に確かめてみないと分からない。



そもそも結界以前の問題として翼があるのよ。


魔術であっても恐ろしいほどの威力を持つ

究極魔術アルテマ。


それが魔法ならどこまで破壊力が跳ね上がるの?



…私には想像すら出来ないわね。



どう考えても勝ち目のない戦いとしか思えないのよ。


実際に総魔の力を確認してない真哉と沙織の意見はあまり参考にできないし、

現状で把握しているのは私だけ。


その私でさえもすでに完璧とは言えない状況になってしまってる。



全く未知数の実力を持つ総魔に対してまともな作戦も思い付かないまま、

ただただ時間だけが流れてしまったのよ。



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