表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月18日
899/1068

少々きつい

《サイド:美袋翔子》



うああああああああ~~~~!!!!!



し・ん・ど・いぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!



戦場を離脱した私達は栗原さんの先導で西に向かって走り続けてる最中なのよ。



…でもね?


…でもね!?



陰陽師軍の包囲網を突破してからどれくらいの時間を走り続けてるのか分からないけれど。


延々と走り続けるのって無理があると思うのよ。



「結構…走るのって、キツイ…わね。」



息を切らせながら汗を拭ってみる。


まだホンの数キロ程度しか走っていないと思うけれど。


体力はすでに限界に近かったわ。



「私って…そんなに、体力が、ないんだけど…ね〜。」


「………。」



わりと本気で限界を感じる私の隣では、

すでに力尽きる寸前の優奈ちゃんが無言で走り続けてる。



表情的にはもう限界を突破してるっぽいわね。



たぶん、気を抜いた瞬間に倒れるんじゃないかな?


そんなふうに思えるくらい苦しんでいるように見えるのよ。



…うぅぅぅ~!!



もしもここに総魔か沙織がいてくれれば、

体力も疲労も一瞬で治癒できると思うんだけど。


残念なことにどっちもここにはいないのよね〜。



私も優奈ちゃんも回復魔術は得意じゃないし。


龍馬と真哉はもっと不得意なのよ。



理事長はよくわからないけど。


沙織ほどじゃないでしょうね。



…はぁぁぁぁぁぁ。



こういう時に沙織がいないのって結構不便よね?



…って、言うか、あれ?



そういえば、ここには今、一人だけいるわよね?



わりと、優秀らしい、魔術医師が。



「ね…ねえ?ちょっと優奈ちゃんが限界っぽいんだけど、回復魔術で何とかならない?」



近くにいた栗原さんに尋ねてみると。


栗原さんは一瞬だけ苦笑してから静かに頷いてくれたわ。



「…そうですね。僕も少々きついと思っていましたので、そろそろ休憩にしましょうか。」



栗原さんが足を止めたことによって、

私達は足を止めて体を休めることになったのよ。



当然、周囲にいる護衛部隊も停止したわ。


ただ、理事長としてはもう少し先を急ぎたいみたいね。



「シンドイ気持ちは分かるけど…。あまりゆっくりは出来ないわよ?」



理事長は呼吸を整えながら、

ずっと後方に視線を向けているわ。



…うん。



まあ、その理由はもうね。


嫌っていうくらい分かってるんだけどね。



私達の後方。


視線の先には陰陽師軍の追撃部隊が迫って来ているからよ。



「逃げ続けて振り切るか、迎撃して足止めしないことには…どこまでも追って来そうですね。」


「ええ、そうよ。だからゆっくりなんてしてられないわ。」



陰陽師軍が接近していることで、

理事長が歩みを進めてく。



「休憩時間を取るのなら、一度、叩いておく必要があるわね。」



逃げきれないと判断した理事長が魔杖を構えようとしてた。



だけど。



ここまでの戦いで魔力を消耗してる理事長に迎撃まで任せるのは何となく気が引けるのよね〜。



ここまでの移動中。



私は優奈ちゃんと栗原さんの護衛に集中していて、

ほとんど戦っていなかったから密かに魔力に余裕があるわ。



だからここは私が引き受けるべきだと思うのよ。



そう思うから。


理事長の前方へと歩み出ることにしたの。



「この程度なら楽勝、楽勝!!」



一撃の破壊力は誰よりも自信があるのよ。



それこそ龍馬にだって負けないわ!



「一撃必殺!!!!」



手加減を考えずにアドラスティアを構える。



さあ、見てなさい、陰陽師軍!!



これが究極の魔術よ!



光の弦を引いて魔術の矢を生み出す。


そして虹色の矢を放つ。



「アルテマっ!!!」



100を超える魔術の融合爆撃。


過去最大級の破壊を巻き起こした虹色の矢は、

背後から迫りつつあった追撃部隊を一瞬にして飲み込んでいったわ。



「「「「「うわああああああああああああああああっ!!!!」」」」」



アストリア軍の叫び声が響き渡ってく。



これはもう絶叫っていう感じ?



…う~ん。



これってあれよね?


圧倒的な破壊力ってやつよね?



千人くらいいたはずの陰陽師軍は、

たった一撃で全滅してしまったのよ。



…うっわぁ。



自分でも予想以上の威力で驚いたけど。



…もしかすると。



砦やこれまでの激戦をくぐり抜けてきたことで、

私の魔力も飛躍的に向上していたのかもしれないわ。



学園だとここまで全力の一撃なんて放てないけれど。


今は命懸けの戦闘中なんだから手加減なんてしてないし。



…だからかな?



たった一回で魔力を大幅に消費してしまったけれど。


それでもそのお陰で追撃部隊は全滅出来たのよ。



とりあえず。


これでしばらくは安心でしょうね。



「…うぅ~ん。何回見ても恐ろしい破壊力よね…。」



理事長も驚いてるみたい。



まあ、この状況を見てしまえばそうなるのも当然よね〜。



自分で言うのもどうかと思うけど。


総魔と龍馬も手に負えない破壊力だと思うわ。



単純な攻撃力『だけ』を見れば、

私も魔術師として最強の座を争う実力を手に入れつつあるんじゃないかな?



もちろん、優奈ちゃんには通じない可能性が高いけどね。



「威力は凄いけれど…魔力の配分には気をつけなさいよ?」


「…ですよね。」



忠告してくれた理事長と並んで西へと振り返ってみる。



この先に総魔がいて、兵器があるのよね?



だけど草原はまだまだ終わりそうにないわ。



目指す山岳地帯はまだまだ遠いみたい。



「少しだけ休んだら先を急ぐわよ。」



…うぁ~。



面倒だけど仕方ないわね。



大して休憩はとれなかったけれど。


数分だけでも休めたことで、

みんな一息つけたみたいだし。


とりあえず進まないわけにはいかないのよ。



だけど肝心の優奈ちゃんは、

まだまだ死にそうな顔をしているわ。



あらゆる魔術を吸収してしまう特性のせいで栗原さんの魔術も無効化しちゃったようね。



結局、優奈ちゃんの治療はできないまま、

再び西に向かって行軍を再開することになってしまったのよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ