皆殺し
《サイド:栗原徹》
『ザシュッ!!!』
「うあああああっっ!!」
『ズバッ!!!』
「ぐああああっ!!」
次々と響く王族達の悲鳴。
天城さんは王族とそれに連なる全ての者達を殺し続けました。
妃を殺し。
子を殺し。
血を継ぐ者全てを虐殺したのです。
その光景は残虐そのものだったと思います。
ですが。
今の僕に天城さんを止めるつもりはありません。
王族に罪があるかないかは別として、
既に愛里ちゃんを殺されているからです。
ここで王族を憐れんで生存を認めるほど僕は聖人君子ではありません。
「これで最後でしょうか?」
「ああ、おそらく最後だろうな。」
天城さんは返り血で真っ赤に染まる神剣を手に、
最後の一人を追い詰めているところです。
感情もなく告げる天城さんの目の前には、
国定の義弟である治之がいます。
「たった二人の魔術師の為に警備と王族が全滅だと!?やはり貴様等はバケモノだ!!」
大声で叫ぶ治之はすでに天城さんの攻撃を受けて血まみれになっているのですが、
それでも最期まで戦う意志を見せていました。
「貴様等がいなければっ!貴様等『魔術師』がいなければっ!この戦争は起きなかったのだっ!」
「…お前達の言い分など聞くつもりはない。」
殺気を込めて睨みつける治之の視線を受け止めながらも天城さんは神剣を構えました。
「『兵器』は失われ、王族も『全滅』する。これでもう戦争は終わる。」
…そう。
これで全てが終わるのです。
兵器が失われて指導者である王族が全滅したとなればアストリアの敗北が確定します。
…そのはずなのですが。
終わりを告げる天城さんの言葉を聞いた治之は歪んだ笑みを浮かべていました。
「ははははっ!!!」
突然笑い出したのです。
その態度を見た瞬間に、
僕はかっとなって治之につかみ掛かっていました。
「何がおかしいのですか!?あなた達のせいで、どれだけの人々が死んだと思っているのですか!!」
「ははははははははっ!!」
怒りの感情をあらわにしながら治之に詰め寄ったのですが、
笑いを止めない治之は信じ難い一言を告げました。
「…兵器が失われただと?一体それは、どの兵器の話だ?」
…なっ!?
予想外の発言に戸惑った瞬間。
緩んでしまった僕の手を振り払った治之は、
剣を構える天城さんに向けて叫びました。
「言ってみろっ!どの兵器を破壊したのかをなっ!!」
大声で叫んだ治之は、
高らかに笑い声をあげています。
その姿はまさしく勝ち誇るかのような態度でした。
「貴様等が破壊したのは試作品でしかない!!本物はすでに稼動しているはずだ!間違えるな!追い詰められているのは我々ではない!貴様等の方だっ!!」
そ、そんな…っ!?
治之の言葉を聞いた僕は戸惑うばかりでしたが、
天城さんは冷静に問い返していました。
「兵器はどこにある?」
「馬鹿がっ!教えるわけがないだろう!」
もはや戦う力さえない治之ですが、
それでも天城さんを見下しながら最期まで笑い続けていました。
「全滅するのは貴様等だっ!!」
「………。」
余裕の笑みを浮かべる治之の笑みを眺めていた天城さんは話し合いを諦めた様子ですね。
何も言わずに神剣に力を込めていました。
そして治之に刃を向けたのです。
「消えろ。」
「ぐぅ…っ!?がはっ!!!」
天城さんの神剣に体を貫かれたことで、
最後の王族である治之も絶命しました。
これでアストリア王家の血筋は断絶したことになります。
「…これからどうしましょうか?」
全ての王族を殺し終えた天城さんに話しかけてみました。
本当の兵器の在りかは不明ですが、
存在していることは事実だと思うからです。
朱鷺田さんと三倉さんの命をかけた破壊作戦はまだ完了していなかったのです。
その事実を知った天城さんも思案していました。
「研究所はすでに崩壊。王族も全滅。残る手がかりは…?」
僅かな可能性を考える天城さん。
次の言葉を待つ僕の視線を受けながら、
天城さんは一つの可能性を考慮してくれました。
「幸長の私室なら何らかの手がかりがあるかもしれないな。」
…なるほど!
可能性は高そうですね。
全ての報告を受ける国王の幸長の部屋になら兵器の記録か、
あるいは設置場所に関する情報が見つかるかもしれません。
そう考えたことで、
僕達は急いで動き出しました。
向かう場所はさきほど妃を殺した部屋です。
国王の私室へと向かって移動を開始しました




