総攻撃
《サイド:常盤沙織》
…えっ!?
「きゃぁぁぁっ!!!」
突然、砦が揺れ始めました。
「ぬうっ…!?」
鞍馬様も驚いている様子です。
地震が起きたのはすぐに分かったのですが、
これほど大きな地震は今まで経験したことがありません。
砦だけではなくて、
地面そのものが揺れているのがはっきりとわかるからです。
震源がどこなのかは分かりませんが、
国境付近の砦にも大きく影響を及ぼしているようでした。
…何が起きているのでしょうか?
周囲の状況を確認してみようと思ったのですが、
徐々に大きくなっていく揺れによって足元に違和感を感じました。
「あ…っ!?」
突然起きた小さな地割れによって、
地面に足をとられてしまったのです。
…ですが。
「ちっ!」
鞍馬総司令官が私の体を拾い上げてから即座に後退してくれました。
そのおかげで怪我をせずに済んだのですが、
次の瞬間に水路を作る為に掘られたと思われる地下の空洞が姿を見せてしまうほど大きく地面が陥没したのです。
「地盤沈下を起こすほどの地震か!これはまずいぞっ!!」
陥没の被害は砦内の至る所で発生しているようですね。
各所で魔術師達の悲鳴が上がっています。
「包囲網が崩れるぞっ!」
鞍馬総司令官は私を解放してから各部隊に指示を出しました。
「早急に軍を立て直せ!手間取れば敵が動き出すぞ!!」
アストリア軍と牽制を続けていた共和国軍の一瞬の隙。
その隙は鞍馬総司令官の予想通り、
敵が動き出すきっかけになってしまったようです。
「敵の陣営が崩れた今が好機!!全軍、攻撃を開始せよ!!」
アストリア軍の幹部の指揮によって、
砦のあらゆる窓から一斉に矢が放たれました。
数百、いえ、数千でしょうか。
頭上から降り注ぐ鉄の雨です。
その攻撃をきっかけとして正門からもアストリア軍が突撃を開始しました。
「敵を分断して攻撃せよ!!」
共和国軍の隙をついて、
一気に攻勢に出るアストリア軍。
この攻防戦をきっかけに、
鞍馬総司令官は決断を下しました。
「仕方がない!!全軍、突撃!!アストリア軍を押し戻せ!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」」」」」
指示を受けて、一斉に動き出す共和国軍。
砦に残るアストリア軍と、
包囲網を崩された共和国軍の総攻撃が始まってしまったのです。




