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THE WORLD  作者: SEASONS
4月18日
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命の価値

《サイド:三倉純》



「コールド・ストームっ!!!」



両手で放つ冷気が階段を下りようとする兵士達に襲い掛かる。



「うわああああっ!!!!」



冷気を帯びた竜巻に巻き込まれて吹き飛ぶ兵士達。



ある者は壁に叩き付けられて、

ある者は階段を転がり落ちていったわ。



周囲に積み重なる遺体にぶつかって運よく壁への激突を逃れた兵士もいるみたいだけど。


魔術の冷気によって体中に凍傷を起こして、

立ち上がることさえ出来なくなっている様子に見えるわね。



「ぅぁぁぁ……。」


「ぐっ…ぅぅっ…」



呻くような声だけが響く階段。


苦しむ兵士達に向けて次の魔術を放つ。



「ライジング・アロー!!!」



追い撃ちの攻撃が生き残った兵士達の体へと突き刺さったわ。



「ぐああああああっ!!!!」



階段の各所で響く悲鳴。


その断末魔のあとには静寂だけが残ったのよ。



「はぁっ…。はぁっ…。」



さすがにちょっときついかも?



いくら並の魔術師より魔力の総量が多いっていってもね。



これ程の連続発動は今まで経験したことがないのよ。



魔力の残量に余裕はあっても、

精神的な疲労は蓄積してしまうみたい。



それに極度の緊張感による疲れも精神に大きく影響してると思う。



とめどなく続く警備兵の進行に嫌気すら感じていたのよ。



疲労が表情に現れて、

動きも緩慢になりつつあるわ。



「精神的にしんどいのよね…。」



正直な気持ちを呟いてみる。



いっそのこと階段を破壊して兵士の侵入を防げないかな?なんて考えてみたけれど。



即座に思い留まったわ。



だってそうでしょ?



階段を破壊しても、

完全に道をふさぐことは難しいからよ。



仮に階段を破壊した場合。



地下から1階に上がるのは難しくなるけれど。


1階から地下に下りるのは不可能じゃないわ。



完全に封鎖しない限り、

侵入は食い止められないの。



それにね?



そもそもの前提として。


敵の注意をここに引き付けて愛里ちゃん達の逃亡を手助けすることが目的なのよ?



敵の侵入を遮断してしまったら目的が果たせなくなるわよね?



だから私としてはあくまでもここに兵士を引き付けて、

愛里ちゃん達の危険を減らすことが目的になるの。



…敵の侵入を食い止めることに意味はないわ。



そんなふうに考えている間にね。



朱鷺田さんが駆け寄ってきてくれたのよ。



「三倉さん!」



駆け付けてくれた朱鷺田さんに微笑みを返してから即座に階段へと視線を戻す。


今はまだのんびりと話し合っていられる余裕なんてないのよ。



「それで?もう準備は出来たの?」


「ええ、兵器は起動しました。あとは発動を待つのみです。」



なるほど、なるほど。



一応、私の時間稼ぎは成功していたわけね。



朱鷺田さんの報告を聞いて満足することができたわ。



「それならあとはここを守りきるだけよね?」



静かに耳を済ませてみる。


上の階からはまだまだ敵が攻めてきそうな雰囲気があるわ。



「諦めるな!全部隊突撃せよ!」



階段の上で響き渡る指揮官の声。


その声を聞きながら魔術の詠唱を開始しておく。



「まだ負けられないのよ。ここは絶対に守りきって見せるわ!」



迫る警備兵に視線を向ける。


私の目と、私の手が、

次の標的に狙いを定める。



「最期まで守り抜くわよ!」


「…私達の犠牲と引き換えに戦争が終わるのならば、そして彼等が逃げ延びることが出来るのならば…。この命を失う程度、惜しくはありません!」



『命の価値』



私達の犠牲と引き換えに、

守るべき多くの人々の命が救える。



そう思うだけで、

死の恐怖なんて乗り越えられるわ。



「ここは絶対に通さないわよ!」


「最期の瞬間まで必ず守り抜きます!」



覚悟を決めた私達の魔術が次々と発動していったのよ。



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