退路の確保
《サイド:天城総魔》
「侵入者を逃がすなーーっ!!」
研究所に響き渡る兵士達の声。
脱出を急いで研究所の入口に辿り着くと、
すでに研究所の外は数百人もの兵士達によって完全に封鎖されていた。
「攻撃用意っ!!」
指揮官の指示によって待機していた兵士達が一斉に弓を構える。
…そして。
「放てーーっ!!!」
容赦なく幾百もの矢が放たれた。
闇夜の空気を切り裂きながら迫り来る物理的な凶器だ。
それらに怯むことなく、
神剣を構えて迎え撃つ。
「オメガ!!」
剣の軌道から放たれる衝撃波が研究所の入口と外の大地を破壊していく。
そして迫り来る矢を全て吹き飛ばして弓を構える兵士達へと襲い掛かった。
轟く爆音。
吹き抜ける暴風。
たった一撃による一方的な殲滅。
衝撃波を受けて散り散りに吹き飛ぶ兵士達は圧倒的な破壊力によってあっさりと壊滅してしまう。
「くそっ…!バケモノめ…っ」
苦々しく呟く指揮官も、
その言葉を最期に力尽きたようだ。
静かになる入口。
破壊の爪痕が残る入口のすぐ側の受付には恐怖で震える女性がいる。
「い…いやぁっ!?殺さないでっ!」
俺から逃げだそうとしているが、
恐怖で体が動かないのだろう。
その場にしゃがみ込んだまま涙を流しながら懇願していた。
「お…お願い、殺さないで…っ!」
怯えた目で俺を見つめる女性だが、
わざわざここで命を奪う必要はないだろう。
朱鷺田達が作戦を遂行すれば王都は壊滅するからな。
放っておいても死ぬことになる。
「殺すつもりはない。逃げたければ逃げろ。」
女性から視線を逸らして入口に視線を戻してみる。
…この近辺にはいないようだな。
数えきれないほどの死体が転がる研究所の外の様子を眺めながら、
周囲の気配を探る為に意識を集中させてみた。
「…まだ研究所内にいるのか。」
徹と愛里。
二人の魔力の波動は、
まだ研究所の内部にある。
「こちらへ向かっているのは間違いない。少しだけここで待つか…?」
救出に向かうのも良いが、
退路の確保も重要だ。
ひとまず二人の到着を待つことにした。




