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THE WORLD  作者: SEASONS
4月17日
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これから頑張ればいい

《サイド:朱鷺田秀明》



「朱鷺田さんのおかげですよね。」



…いえいえ。



それほどでもないですよ。



琴平さんに尊敬の眼差しで見つめられてしまったことで、

少し照れ臭さを感じてしまいました。



「今回はたまたま成功しただけです。」



これでもかなりの部分で『賭け』に近いことを繰り返していましたからね。



「運良く作戦は成功しましたが、どこかで失敗していたらこれほど上手くは行かなかったでしょう。」



自分で言うのもどうかとは思いますが、

私の作戦は『陽動』自体が一種の賭けでした。



放火による『火災』に対して兵士達が消火活動に動かなければその時点で作戦は失敗していたでしょう。



もちろん炎を放置して火事が酷くなれば研究所の警備どころではなくなりますので、

これは必ず成功すると考えていました。



ですが三倉さんと琴平さんによる『引き付け』は二人の演技力と兵士達の油断が必要ですので必ずしも成功するとは言い切れません。



そして私自身が行った受付での女性との会話もそうです。



これも相当な賭けだったと思います。



咄嗟に口に出した『嘘』



その場しのぎで『新人の職員』であると適当に言ったことですが、

今回は運が私に味方して更衣室にたどり着くことができました。



これらはどれも確実に成功する作戦ではありません。



運がよければ上手くいくという程度のギリギリの作戦なのです。



ですので。



あまり褒められても心苦しい部分があるのですが、

それでも琴平さんと栗原さんは褒め続けてくれました。



「職員のふりをして堂々と更衣室の場所を聞き出したのは、僕も凄いと思います。」



それこそ詐欺に近いごまかしなので、

褒められると複雑な気持ちになってしまいますね。



「あれこそ、運が良かったと言うべきですよ。」



…とは言え。



かなりの確率で成功するだろうとは考えていましたけどね。



今はまだ4月です。



人事異動や新人職員の採用など、

人の出入りの多い時期でもあります。



ですから、

不慣れな職員がいても決して不自然ではないはずなのです。



なおかつ受付の女性は夜遅くまで仕事に追われていて『忙しさ』を全力で表現していました。



その表情を見れば寝不足であることも明らかであり、

まともな判断力を維持しているようには思えません。



そもそも軍隊が守る研究所に侵入者がいる可能性など考慮していなかったのかもしれませんね。



女性は私の正体を疑うこともせずに、

所属や名前も聞かずにあっさりと更衣室の場所を教えてくれたのです。



まあ、聞かれていたとしても適当にごまかすつもりではいましたけどね。



ひとまず今回は幾つもの偶然が積み重なって潜入作戦に成功しました。



「完璧な作戦などありません。上手くいったのは単に運が良かったのですよ。」



私自身はたいしたことはしていませんし、

私一人では出来ないことを皆さんが協力して助けてくれたから出せた結果です。



称えるのならそれぞれの役目を果たした全員を褒めるべきです。



そんなふうに考える私の言葉を聞いて、

三倉さんと琴平さんは笑顔を見せてくれました。



…ですが。



「今のところ、僕だけは何もしてないんですけどね…。」



栗原さんは落ち込んでしまった様子ですね。



何か役目を割り振れていれば良かったのかもしれませんが、

さすがにそこまで頭が回りませんでしたし、

特に必要もなかったので気にしていませんでした。



ただそれは現時点では…というだけです。



何もしていないと気に病むくらいならば、

これから頑張ればいいのです。



「出番はまだまだありますよ。」



ここは敵地ですからね。


それも単なる潜入作戦ではなくて破壊工作を目的とした潜入です。



もしもこの研究所に問題の兵器があるとしたら私達は全力で兵器の破壊を遂行しなければなりません。



そうなれば戦闘はもちろん、

命懸けの戦いになるでしょう。



その時に後方支援として活躍して頂ければ私達の生存率は高まりますし。


生きてマールグリナに撤退することができるかもしれません。



今までがどうかに関係なく。


今後活躍する場は確実にあるのです。



なので、深く考える必要はないでしょう。



「それぞれに意見はあるかもしれませんが、あまりゆっくりと話をしている時間はありません。今後の活動について早急に話し合いましょう。」



私の提案をきっかけとして、

研究所内部での行動に関して話し合うことになりました。



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