演技?
《サイド:三倉純》
…ふう。
どうにか作戦成功ね。
朱鷺田さんと栗原君が研究所に忍び込んだのを見届けたことで、
さっさと入口から離れることにしたわ。
「ご丁寧にありがとうございます。多分…行けると思いますので、これで失礼します。お世話になりました。」
兵士達にお礼を言ってから歩き出す。
もちろん兵士の指示通りの道を進んでいくわよ。
そうして研究所から死角に入ったところで、
ほっと息を吐いてみる。
「…うわぁぁ~。久々に緊張したわ。」
さすがに直接話し合うっていうのは難しいわね。
もうすでに把握できてるのに、
わからないふりを続けるっていうのも大変だったわ。
「もう二度としたくないわね~。」
「………。」
結構本気で疲れたんだけどね。
並んで歩く愛里ちゃんは、
何故か私に尊敬の眼差しを向けていたわ。
なんて言うか…ね。
すっごくキラキラとした目で見つめてくるのよ。
「…やっぱり純さんは凄いです!」
…え?
…どうして?
「そんなに凄いことをしてた?」
「はい!」
…うぅ〜ん。
何だか照れくさいわね。
尊敬の眼差しを向けてくれる愛里ちゃんを見て苦笑してしまったわ。
「もう一度やれって言われても上手くやる自信はないけどね~。」
今回はたまたま上手くいっただけよ。
…と言うか。
むしろアレよね?
愛里ちゃんが泣きそうな演技(?)をしてくれていたから兵士達を油断させることができただけで、
私一人だったら成功してたかどうかは分からないわ。
…まあ、喜んでくれたならそれで良いんだけどね。
「とりあえず、元の場所に戻りましょう。」
天城君も帰ってくるだろうしね。
愛里ちゃんを連れて、
来た道を迂回しながら路地裏まで戻ることにしたのよ。




