一刀両断
《サイド:吉澤圭吾》
「…恐ろしいモノだ。これが魔術師の力か。」
多くの仲間達の死体が転がる大地をゆっくりと踏み締めて共和国軍へと歩み寄る。
すでに私以外は全滅したからだろうか。
包囲はされても攻撃される気配はない。
…私を捕獲するつもりか?
大人しく捕まるつもりはないが、
最期を迎える前にせめて相手の顔くらいは見てみたいものだ。
周囲を取り囲む魔術師達。
その様子を見回していると、
指揮官らしき男が歩み出てきた。
…見たことのない顔だが、まだ若いな。
「お前が指揮官か?」
「ああ、そうだ。」
男は臆することなく頷いて答えた。
「国境警備隊隊長の近藤悠護だ。」
「…若いな。だが、強い。」
若き指揮官の実力を認め。
この手の剣をギリギリと強く握り締める。
…敗北は認めよう。
だが、それだけだ。
諦めることも逃げることも許されん!
この命尽きるまで、
突き進むしかないのだ!!
「最期まで付き合って貰うぞ!」
全力で踏み込む。
手加減抜きの一撃だったのだが、
近藤は銀色に輝く剣で軽く受け止めてしまう。
全力で斬り掛かったのだが、
あっさりと防がれてしまったのだ。
…魔術師相手に剣の技量で負けるのか。
それでも勢いを止めずに、再び斬り掛かる。
「死ねっ!!!」
振り下ろす刃。
二度目の攻撃に対して、
近藤も全力で剣を振るってきた。
「うおおおおおおおおっ!!!」
気合の咆哮と共に薙ぎ払われた刃によって私の持つ剣が弾かれる。
そしてそのまま叩き折られてしまったのだ。
…凄まじい豪剣だな。
砕け散る刃。
武器を失ってしまった瞬間に死を覚悟した。
近藤が剣を構えて、私の体を横薙ぎに斬り裂く。
「ぐっ…がはぁっ!?」
吐血するほどの苦痛。
焼けるような痛みを感じながら地面に膝をついた。
その瞬間に。
「が…ぁっ…!?」
全身を襲う激痛によって表情を歪めてしまった。
腹部から吹き出す出血によって返り血を浴びた近藤の手を赤く染まっている。
…もはやここまでか。
死は避けられない。
悔いはある。
やり残したことは星の数ほどある。
だが…私の人生はここで終わりだ。
抵抗さえできないまま地面に崩れ落ちた。
…最期とは、あっけないものだな。
上半身と下半身が二つに分けられてしまったのだ。
この状況で生きていられるわけがない。
最後まで戦い抜いたものの。
戦いに敗れて生涯を終えることになった。




