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THE WORLD  作者: SEASONS
4月17日
816/1212

朱鷺田の性格

《サイド:三倉純》



「まあまあ、情報収集は良いけれど。その服で街中を歩くのはまずくない?」



…さすがにね?



マールグリナ医術学園の制服を着てるのはまずいと思うのよ。



国境を越えたのは深夜だったし。


砦の内部は兵士の服だったから良いんだけどね。



ノーストリアムでは軍隊がほとんどいなかったからあまり気にしてなかったし。


王都潜入も夜間で人目を避けて行動してきたから別にいいの。



だけどね。


ここから先はどうかと思うのよ。



互いに交流のない共和国とアストリア王国では服から地域を特定するのは難しいと思うわ。



それだけで魔術師だってバレることはないと思うの。



…でもね?



絶対に安全とは言えないわ。



街中で情報収集を行うのなら、

服装にも気をつけるべきよね?



だからこそ。


二人の学園の制服を眺めながら、

念のために聞いてみたの。



「もしも着替えを持ってるなら、着替えておいたほうが良いんじゃない?」


「えっと〜…。」



制服を脱いで着替えられるかどうかを訊ねてみたことで愛里ちゃんが答えてくれたわ。



「一応、この制服は物理耐性があるので、出来れば着ておきたいです。」



…あ~。



物理耐性か~。



それだと脱ぐのはもったいないわね。



控え目に答える愛里ちゃんに続いて、

栗原君も不安そうにしていたわ。



「みなさんの服も同じだと思いますが、イザという時には便利なので、普通の服に着替えると少し心細いものがありますね。」



…うん。



まあ、ね。



一応、敵地だし。


身を守る手段は必要よね。



「ひとまずこれを着て制服を隠しておきます。」



栗原君は自分の荷物の中から薄手のコートを取り出したわ。



そのあとに続いて愛里ちゃんも荷物の中から上着を取り出したわね。



愛里ちゃんの場合は薄手のセーターだけど。



少し大きめかな?



だぼだぼな感じがね。


すっっっっっっごく可愛いわ。



そのせいか。


セーターを着ただけで愛里ちゃんの制服はほとんど分からなくなったわね。



スカートはそのままだけど。


さすがにそれだけで情報を割り出すのは無理じゃない?



共和国に限らず。


制服のスカートなんてどこも似たような感じだし。



見えてても問題はないはずよね?



とりあえずはまあ、

ちょっとしたごまかしに過ぎないけれど。



何もしないよりは良いと思うわ。



着替えを終えた二人の姿を確認たことで小さく頷いてみる。



「うんうん。まあ、良いんじゃない?」



あまり勝手なことは言えないしね。


王都の人達に紛れ込めるなら不満はないわ。



…と言うか。



私自身も治安維持部隊の制服の上に薄手のコートを羽織ってるような状況だから。



人のことは言えないのよ。



それでも見た目的に冒険者風の服装を心がけてるからそれほど違和感はないはずよ。



朱鷺田さんもそうだけど。


天城君はちょっと微妙よね?



見た感じは暗殺者?って感じだし。


全身黒ずくめって、昼間は目立つわ。



まあ、特に問題を起こさない限り注目を浴びることはないと思うけど。



ひとまず全員の服装を確認し終えたことで、

栗原君と愛里ちゃんは制服のままで行動することになったのよ。



「それでは各自行動を始めましょうか。」



率先して立ち上がる朱鷺田さんの言葉をきっかけとして全員が席を立つ。



「集合はここで宜しいですね?」



問い掛ける朱鷺田さんに天城君は頷いてた。



「ああ。集合時刻は日暮れ頃でいいだろう。最終的な目標を何処にするにしても、忍び込むのは夜間のほうがいいからな。」



それまでに休息と食事を済ませておくことになったのよ。



さくっと方針を決めた天城君は室内を出てしまうみたい。



「またあとで会おう。」



あっさりと行っちゃったわ。



いつもそうだけど。


単独行動が多いわね。



まあ、だからって不満なんてないし。


気にするほどでもないけどね。



自由気ままな天城君に続いて、

栗原君と愛里ちゃんも部屋を出ていくみたい。



「行ってきます!」



二人揃って元気良く出ていく姿を見送ってから、

朱鷺田さんと一緒に私も動き出す。



「行きますか?」


「ええ。ささっと調べて、ご飯でも食べに行きましょ」



ほぼ丸一日ご飯を食べれてないのよ?



さすがにお腹が鳴りそうだわ。



…と言うか。



実はちょくちょく鳴ってるんだけどね。



誰にも気づかれてないと願いたいわ。



あるいは聞こえていても知らないふりをしていて欲しいかな。



そんな願いを込めて微笑む私に笑顔を返してくれる朱鷺田さんが歩きだす。



「ここからが本番ですね。」


「そうね。上手く乗り切れればいいわね~」



心から願ったんだけど。



「そのために先に食事を済ませてしまいましょうか。」



…うあ。



「腹が減っては何とやら、と言いますからね。」



…くっ。



やっぱり聞こえてたのね?



…っていうか。



気づいてても聞こえないふりをしてよ!



普通に恥ずかしいんだからっ!



「朱鷺田さんって、たまに意地悪じゃない?」


「そうですか?これでも気を使ったつもりだったのですが…。」


「そこはほら、自分がお腹すいたからとか言えば格好良くない?」


「ああ、なるほど。その手がありましたか。すでに空腹を通り越して何も思わなくなっていたのでそこまで気が回りませんでした。」



照れくさそうに頭をかく姿から察するに、

これはたぶん本気ね。



私のお腹の音に気づいて意地悪してるわけじゃなくて、

純粋にお腹が空いてないから私のために…って考えてくれたみたい。



年長者の貫禄があるから頼りになるって思ってたけど。


肝心なところで女心は分かってないわね。



「ねえねえ?普段…結構、女の子に怒られるでしょ?」


「え…?あ、ああ…そうですね。ですが、どうしてそう思うのですか?」


「何となく分かるからよ。」



理由って言うほどの根拠はないわ。


だけど何となく想像できちゃったのよ。



周りの女の子に呆れられたり、

怒られたりする朱鷺田さんの姿がね。



強くて優しいところまでは良いけれど。


そこに天然が加わると厄介なのよ。



「あんまり女の子に優しくしないほうがいいわよ~?」



変に期待を持たされた挙句に、

そういうつもりはないんです的な雰囲気にもっていかれちゃうとね。


誰だって怒ると思うわ。



まあ、私の場合は単なる逆ギレなんだけど。


気が回りすぎるっていうのもね。


時として喧嘩の原因になったりするものなのよ。



「もうちょっと配慮って言葉を実践できたら、きっと女の子にモテるんじゃない?」


「…どうでしょうね。そういった部分を目的としているわけではありませんので。」



まあ、そうでしょうね。



「じゃあ、誰か好きな人とかいるの?」


「今はいませんね。お付き合いさせていただいた女性は何人かいますが、どの女性ともあまり長くは続きませんでしたので。」


「ふ~ん。どうして?」


「大きな理由としては仕事の忙しさもあったのだと思います。ギルドに寝泊まりすることが多く、自由な時間というのはほとんどありませんからね。」


「それじゃあ、小さな理由は?」


「性格…でしょうか。今回の任務もそうですが、命懸けの依頼を最優先で受けていますからね。いつ死ぬかもわからない男と結婚したいと思うような女性はいないでしょう。将来の不安もあるでしょうし、経済面の問題もありますからね。」



…ああ、なるほどね。



そう言われてしまうと擁護ようごも反論もできないわ。



実際問題、私も似たような立場だし。


人の恋愛をとやかく言えるほどの経験もないし。



だけど今の話を聞いてね。


やっぱり思うことがあるのよ。



「女の子を泣かさないようにしなさいよ〜?」



女の子に泣きつかれて対応に困り果てる朱鷺田さんの姿が何故かものすごく簡単に想像できちゃったのよ。



「最前線から身を引いて、純粋にギルド長をしてればすぐに結婚できるんじゃない?」


「そういう人生もいいとは思いますが、なかなかこの性格は直りそうにないです。」



…ふふっ。



まあ、そういうものかもね~。



性格に関してはお互い様かな?



「とりあえずご飯を食べに行きましょ。仕事はそれからでも十分に間に合うわ。」


「ええ。そうですね。そうしましょう。何だかんだで私もお腹が空いてきましたので」


「その台詞を最初に言えてたら完璧な紳士だったと思うわよ?」


「ははっ。結局、そこに戻るんですね。」


「気づかれちゃった以上、隠してもしょうがないしね~。」


「申し訳ありません。」



苦笑いを浮かべる朱鷺田さんがなんだかとっても可愛く見えるわ。



なんて言うのかな?



もしもお兄ちゃんがいてくれたら、

きっとこんなふうにじゃれてたんだろうな~っていう感じ?



「朱鷺田さんって、なんとなく父兄ふけいって感じよね。」


「ああ、それもよく言われますね。」


「主に、女の子に…でしょ?」


「ははっ。そうですね。どうして分かるのかは…」


「何となくよ。」


「…でしょうね。」



ホンの数日の短い付き合いだけどね。


朱鷺田さんの人間性?は、

なんとなく分かってきた気がするわ。



「とにかく行きましょ。ここにいても仕方ないし。」


「ええ、そうですね。それでは出発しましょうか。」



頼りになるお兄ちゃん?に先導してもらいつつ、

私も廃屋を出ることにしたのよ。



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